2016.06.07

ISASよ、よみがえれ(2)

Astroh
Image Credit: Go Miyazaki

ずいぶん長いことブログの更新をサボってしまっていました。この間、ISASにもいろいろなことがありました。

310億円の科学衛星を喪失

イプシロンロケット初号機はこの記事を書いた日の8月27日には打ち上げ予定時刻の19秒前に不具合が見つかり自動的に緊急停止するというトラブルがありましたが、その後の調査と対策によって無事、9月14日に惑星分光観測衛星「ひさき(SPRINT-A)」の打ち上げに成功しました。

2014年12月3日には「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の探査を目指してH-IIAロケットによる打ち上げに成功、金星探査機「あかつき」は2015年12月9日に金星周回軌道投入に再挑戦し見事成功、計画より5年遅れての科学観測をスタートさせました。今年2月17日にはX線天文衛星「ひとみ(ASTRO-H)」がH-IIAロケットで打ち上げられ、西日本から関東までの広い範囲でロケットの噴射炎が目撃されるなど、明るいニュースが続いているかのように見えました。

しかし搭載されていた観測機器の初期機能確認を行っていた3月26日にASTRO-Hとの通信が途絶し、JAXAは4月28日に記者会見を開いて復旧を断念すると発表。会見に出席したISASの常田佐久所長は「そこ(組織的な問題にさかのぼっての原因究明)をやらずして宇宙科学研究所(ISAS)の復活はないと思っている」と危機感をあらわにしました。

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2013.08.27

ISASよ、よみがえれ

8ヶ月ぶりのブログ記事。ふと気がつけば、アームストロング船長が亡くなられた一周忌も過ぎていた。更新をさぼりがちでごめんなさい。

いよいよあと12時間ほどでJAXAの新型固体燃料ロケットイプシロンの打上げ。その前のM-V 7号機の打上げが2006年9月23日だから、ほぼ7年ぶりの鹿児島県内之浦宇宙空間観測所からの探査機打上げということに。

宇宙作家クラブ ニュース掲示板
No.1695 :イプシロン打ち上げ 26日午後1時からの記者会見
投稿日 2013年8月26日(月)14時15分 投稿者 松浦晋也

に松浦さんが記者会見の模様を掲載しておられますね。

共同通信「7年間の苦労を具体的に知りたい。」
森田プロマネ「M-Vより良いロケットを作るのは大変なことだった。M-V廃止はとてもくやしかったが、秋葉先生に「過去にとらわれずいいロケットを作って未来を開け」といわれた。M-Vより良いロケットを作るというのはどういうことかで3年は暗中模索だった。「ロケットを打ち上げる仕組みを変えることが大切なんだ」と気がついて、後は青春一直線で進むことができた。考えるべきはロケットの性能ではなく打ち上げシステムの改革だと気がつくのが大変だった。」
この間、関係者はいろいろと悔しい思いをされてきたことと思いますが、より「良い」ロケットとはどういうものかについて、深く悩む時間を持つことができたのは、結果的に日本のロケット界にとってとてもプラスになったのではないかと愚考します。

糸川博士が開発したラムダロケットが日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功したとき、管理人はまだ小学生でした。世界で四番目の人工衛星打上げ国となった日本の技術、すげーな、と大いに感動し、教科書やノートの片隅におおすみの絵をよく描いていたものです。

ただ、管理人は糸川博士以来の伝統である、カッパロケットからミューシリーズに至る「打上げごとにほぼ毎回、ロケットをペイロードにあわせてカスタマイズして最適の打上げを目指す」とでもいうべき思想(本番実験的精神?)には必ずしも傾倒しません。

ISASの伝統は理学系と工学系がそれぞれ知恵を出し合ってそれまで誰もなし得なかった観測や探査を他の国では真似のできない低予算で実行してきたことにありましたが、その黄金時代は1985年のM-3SIIロケットによるハレー彗星探査機「さきがけ」と「すいせい」の打上げまで。その後はM-Vの大型化とそれがもたらした衛星の大型化、システムの複雑化、一基あたりの予算増大に伴う打上げ機会の縮小、理学系と工学系の要求仕様の齟齬など、様々な歯車が微妙に狂いはじめます。

2003年の宇宙航空三機関統合が日本の航空宇宙産業にどのような停滞をもたらしたのかは今後の検証が望まれるところですが、管理人はあのタイミングでのJAXA発足は長い目で見れば新しい産業発展のためには不可欠な痛みであったと今でも考えています。

液体燃料ロケットと固体燃料ロケット、内之浦と種子島、MHIとIHI。官僚的目線からは一見無駄な投資のように見えるこれらの技術資産は、ロケットという極限環境の技術課題をそれぞれ異なるアプローチから解決するという日本の底力を象徴する存在であると思います。

日本の宇宙工学の発展を支えてきた第一世代が引退し、第二世代が活躍しつつある現在、JAXAはそれまでの相克を乗り越えて、輸送系や衛星系、宇宙科学・太陽系探査、衛星試験やインフラなど、それぞれの目的や課題に応じた真のシステム工学の総本山として生まれ変わってほしいと心から願います。

またISASは宇宙科学研究所の名前に恥じないよう、宇宙科学をさらに一歩先へ進めるためのしっかりとした技術とアイデア、そしてなによりも誰にも負けない科学探査へのモチベーションを抱き続ける研究所であって欲しいと願います。

なんのために探査機を宇宙へ送るのか。

その問いにずばり一言で答えられること。その気持ちが明日のISASを築いていくと管理人は考えます。

イプシロン初号機の打上げ成功を祈ります。

2011.07.26

油井さん大西さん金井さん宇宙飛行士認定おめでとう!

JAXAからプレスリリース。

国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士の認定について

2008年の宇宙飛行士選抜試験を経て、2009年2月25日に宇宙飛行士候補者として選ばれた油井亀美也さんと大西卓哉さん、それと日本の宇宙飛行士選抜史上初めて補欠合格として同9月8日に候補者に追加で選ばれた金井宣茂さんの三人が、二年間にわたるNASAの宇宙飛行士養成クラス(ASCAN)での訓練を無事に終えて、本日、晴れてJAXAの正式な宇宙飛行士として認定された。

この代の宇宙飛行士は、白崎ドクターの本や管理人が書いた「宇宙飛行士になるには」シリーズを読んできた世代なだけに、我がことのように嬉しい。( ´ ▽ ` )ノ

一時帰国している、という噂を聞いていたのは、この記者会見に出るためだったんだね。

スペースシャトル退役直後という劇的なタイミングだけど、しっかりメディアトレーニングも積んでインタビューに応えてくれるのだろう。

長かったね、おめでとう。

でも本当に長いのはこれからだよ。

また米国での暮らしがしばらく続くことになるのかな。お身体に気をつけて、頑張ってください。

2009.12.21

野口さん、二度目の宇宙へ

スムーズな打ち上げでした。いってらっしゃい!!

Tma17launch
Credit: NASA TV

Tma17crew
Credit: NASA TV

2009.12.15

Send Your Name to Venus, Now With ... Miku !!

[Note Dec/23: We have reached more than 10,000 people signed up the campaign. Hooray! Mike is going to Venus on a plate, and we could afford more as we will continue the campaign thru Jan/5.]

Remember Emily just introduced a new Send Your Name to Venus campaign of JAXA Akatsuki mission a several days ago on her Planetary.org blog? Akatsuki is a new spacecraft of JAXA/ISAS, bound for Venus sometime next year. JAXA accepts your name and a very short message to be on board the spacecraft, then send it to Venus. You must hurry up! Deadline is December 25. But, wait! [JAXA extended the deadline 'til Jan 10, and this Miku to Venus campaign will be extended 'til Jan 56 or so]

20091023_akatsuki_campaign
Credit: JAXA/ISAS

Now Japanese fan-loving young people gave it a new twist.

YOU CAN SEND YOUR NAME TO VENUS ON AN ALUMINUM PLATE WITH A FANCY ILLUSTRATION OF A NICE LOOKING VIRTUAL VOCALOID CHARACTER, "MIKU", IF MORE THAN 10,000 PEOPLE GATHER !! [Now we have more than 10,000 people! Thank you all for those who already signed, and welcome more names until Jan/5.]

Venus
Credit: @tripshots

Here's the story. Original JAXA Akatsuki campaign allow group entries to send a illustration if the members of group are more than 100. A space fan @chodenzi decided to gather names on the net, to send his favorite character, Miku.

Miku is a name of virtual Vocaloid character, produced by Crypton Future Media, Inc. Once installed on your PC, Miku can sing virtually any kind of song as you program, with a voice of sweet lady.

So passionated to Miku, @chodenzi created a miniature model of Mike onboard his small "satellite" that one day he could launch it into space. His determination eventually find him on an Arizona desert last September in a rocket contest XPRS (eXtreme Performance Rocket Ships).

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0910/08/news011.html

@chodenzi saw the Akatsuki campaign as an opportunity, so he set up his version of sign-up web site and asked people to join.

The word spread out quickly. Initial goal of 100 people has been achieved in hours. Then 1,000 people have signed up in five days. JAXA noticed the move.

Prof. Seiichi Sakamoto, who is responsible for the public outreach and external relations of JAXA/ISAS, told @chodenzi that if more than 10,000 people would sign up, he would allocate one of 100 aluminum plates to the group. The plates are used as counter weights of the spacecraft, and will be able to carry messages and illustrations on it.

So here comes the twist. Spacecrafts and Vocaloids are the brainchildren of cutting-edge technologies. Many young talents got excited and gathered to create a collaborative work literally overnight, to create even newer web site, in Japanese, in English, in Chinese and in Korean! We love space, we love technologies, and, most importantly, we believe in our future. We go to Venus together!

Miku_to_venus

Come on! Sign up and send your name and message, onboard Akatsuki bound for Venus, with Vocaloid Miku! Time is limited. Sign up before Xmas Today!

Enter here in English | Japanese | Chinese | Korean

2009.11.10

日本人宇宙飛行士Twitterを始める

Twitterというサービスが始まってから3年半。管理人がその名を初めて聞いたのがたしか2年半くらい前。その1年後にはIDも作ってみたけど、なにが面白いのかを理解しないままにさらに1年が経ち、そうこうしているうちにオバマが大統領になり、ハドソン川に旅客機が不時着し、NASAの宇宙飛行士が宇宙からの初Tweet(つぶやき)をし、イランの選挙でTwitterを用いた情報戦が勃発し、Twitterが世の中に与えるリアルタイムの情報のパワーというものがだんだんと強大になってきているなぁと実感できるようになった今日この頃。

管理人自身もこの3月から@5thstarのIDでぼちぼちとつぶやくようになって8ヶ月、シャトルの打上げやらH-IIBの打上げやらHTVのドッキングやらをぶつぶつつぶやくうちに、興味の似通った人たちがお互いにお互いをフォローし合うようになって、TL(Time Line)と呼ばれる独特のつぶやきの流れの中で情報を共有するようになりました。

そんなある日、管理人のIDを新しくフォローしてくれた人のフォロー先リストを見てみると、@Astro_Soichiと@Astro_NaokoのIDが!

じつはその一ヶ月前から、あるチャンネルを通じて日本人宇宙飛行士に「ぜひ宇宙からつぶやいてみませんか?」と働きかけていたのです。宇宙初つぶやきを実現させたMike Massimino宇宙飛行士のIDが@Astro_Mikeであるように、NASAの公認宇宙飛行士Twitterは@Astro_XXXXというIDを取るのが一般的。別人である可能性も考えたけれど、時期やその他もろもろの状況証拠から、野口聡一宇宙飛行士と山崎直子宇宙飛行士のお二人のIDに間違いない、と判断して、

URL訂正:日本人宇宙飛行士の初つぶやき?! 野口聡一宇宙飛行士と山崎直子宇宙飛行士のTwitter(と思われる)はこちら。直子さんの初つぶやきは4時間ほど前。http://bit.ly/2wJobt http://bit.ly/131J2u

とつぶやいたのが9日の正午過ぎ。その後数時間で、お二人をフォローする人が100人を超える状況に。

先ほど、そのとあるチャンネルから回答があり、@Astro_Naokoさんが間違いなく山崎直子宇宙飛行士のものであることが確認できました。野口さんのほうも確認はまだですが、つぶやきの内容やタイミングから見るかぎり、間違いなくご本人のものでしょう。

で、お二人の記念すべき初つぶやきはこちら。

Astro_Soichi
Hey, I am in! Beautiful launch of ARES IX today :-)
8:59 AM Oct 29th from web

Astro_Naoko
Hi I joined you! 皆さん、こんにちは。訓練の様子などお伝えしていきますね。宜しくお願いします!
about 18 hours ago from TwitBird iPhone

ネットが組織の壁を低くして個人の存在感をリアルタイムに伝えるようになった時代。お二人が宇宙で何を感じるか、ぜひ日本語で自由な感想をつぶやいてほしいものです。宇宙開発を見守る人の共感や感動は、生身の人間の、その場その時のつぶやきから得られると思うから...

2009年は、宇宙開発においても情報の流れがさらに一段と加速した年になりましたね。もはや待ったなし。

2009.09.08

金井宣茂さん、宇宙へ

ビッグニュースは、本日が報道解禁だったようです。

NHK: 海自医師 宇宙飛行士候補に
http://www3.nhk.or.jp/news/k10015354991000.html
時事ドットコム:海自の医師を選抜へ=宇宙飛行士候補を追加−大西、油井さんと訓練・宇宙機構
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009090700888

昨年から今年にかけて実施されたJAXAの宇宙飛行士選抜試験で、最終選考10名の中で補欠1位として選抜されていた金井宣茂さん(32)を新たに宇宙飛行士候補として選抜する方針を固めたとのこと。NASAの宇宙飛行士養成クラス(ASCAN)は9月からすでにスタートしていて、油井さん、大西さんが日本から参加していますが、金井さんは10月から参加になる見込み。

時事通信の記事によると、追加合格の理由をJAXAでは「当初、大西さんら2人の採用で2015年まで予定されているISS運用に必要な長期滞在要員は確保できたとみていたが、今年7月に開かれた宇宙機関同士の会合で、日本の飛行士の数が各国に比べ少ないことが判明。15年までに数回の長期滞在の権利があることや、15年以降のISS運用延長の可能性もにらむと、人員不足に陥る恐れもあり」としています。

今年初め、補欠合格、というのを聞いたとき、前例のない事態だったので「???」だったのですが、10年前、角野(山崎)直子さんが合格したにもかかわらず予算不足で訓練参加が1年遅れたことに比べると、まだずっといい待遇のように見えます。たくさん宇宙飛行士を確保しておきたい有人宇宙環境利用ミッション本部と、NASAのASCANクラスを活用することで養成費を節約したい立川理事長の思惑と、補正予算にむけて尽力されたどなたかの思惑が一致したというところでしょうか。

金井さん、おめでとう。われわれの夢をのせて宇宙へ。がんばってください。

2009.03.29

宇宙兄弟第5巻

Amazonで予約してあった宇宙兄弟第5巻が届いたので、読了。インタビューを受ける前に連載突入していた閉鎖環境試験が、うまく現実の雰囲気を醸し出して感動的な感じで大団円。よかったよかった。あのハッチを開けて拍手される場面とか、試験官が「あの中で過ごした人の気持ちは、あの中でしかわかりません」と語るあたりは、ちょっとうるっとくるくらいの感動もんです。小山さん、佐渡島さん、うまくまとめていただいて、ありがとうございます。

実際の選抜とは違う課題がいろいろ出てたりしますが、そこはそれ、漫画ということで。

T-38がムッタの頭上を通過する場面とか、4Gシミュレーターとか、ムッタとケンジが握手する場面とか、ヒビトに先を越される吾妻宇宙飛行士の心理描写とか、脇役のキャラの立ち方とか、細かいところまでいちいち感動的です。この人間心理へのこだわり感が他に類を見ないところですねー。

2009.03.08

なぜパイロットが選ばれたのか?

ホシボシヲあ~かいぶ:危うい有人宇宙計画への反応

シンポジウムに出席していたJAXAの立川敬二理事長が、今回選出された宇宙飛行士2名についての質疑応答で、日本が有人宇宙活動を目指すことと選出された二人の前職がパイロットであることは関係がないとする旨の発言をしたとのこと。
こういう発言が出るとかえって怪しいと思われても仕方ないと思うんですけど、どうなんですかね?

松浦さんのところとか野尻さんのところで議論というか妄想がちょっと暴走気味ですね。プロの物書きの松浦さんまでが推測だけで記事を一本書いちゃってるし。

日経BPネット:10年振りの宇宙飛行士選抜はパイロット2名 独自有人飛行への布石か

私自身、自分の記事

ある程度予感はありましたが、JAXAもずいぶん思い切りましたね。この方たちが育ててくれるであろう、さらに次の世代の宇宙飛行士に期待をかけておられるようにも見えます。
などと、陰謀論に燃料を投下するような発言をしてしまったものだから、その責任を取る意味で、私の知る範囲のことをここにまとめておきます。情報のソースがどこか、とかは、聞かんでください(w

私自身が知っている事実:

・パイロットや自衛隊関係者が宇宙飛行士選抜を受験したのは今回が初めてではない。11年前と14年前の2次選抜、3次選抜にもこれらの人たちはいて、いずれもいつ選抜されてもおかしくないような優秀な人たちだった。
・宇宙飛行士の選抜は選考委員会の委員によって審議される。委員にはJAXA理事長、理事、本部長、部長などのほか、宇宙航空医学の医師、精神医学や心理学の専門家、現役宇宙飛行士、元宇宙飛行士、宇宙や科学技術に造詣の深い外部有識者など、多数の人間がいる。JAXAだけが独走することはできないし、政府機関以外の関係者も多い。
・最終候補者に対してはNASAとJAXAの宇宙飛行士も面接を行う。

直接の体験ではないが信頼できる筋からの情報:

・今回の最終選抜に残った10名は、医者、技術者、パイロット、自衛隊、海上保安庁など。いずれもいつ選ばれてもおかしくない優秀な人ばかり。
・今回はNASAの宇宙飛行士選抜と同じNASA側の面接を一人あたり1時間ほど受けた。他にもパイロット訓練施設やヒューストンの宇宙飛行士訓練施設で実際の訓練に基づく実技試験が課された。
・今回もっとも重視されたのは閉鎖環境における心理学的特性である。
・今回の選抜試験の試験項目には現役の日本人宇宙飛行士が自分たちの経験に基づく様々な提案を加え、前回の試験と比較すると大幅な改良が加えられている。
・着衣で重りをつけて靴を履いての3010分間立ち泳ぎが今回から追加された。海猿〜

報道や書籍などで周知の事実:

・毛利さんたち初代日本人宇宙飛行士は、スペースシャトル内で科学実験を行うペイロードスペシャリストとして採用された。
・NASAのミッションスペシャリストとして採用された宇宙飛行士にとっては、ペイロードスペシャリストは自分たちの宇宙行きの切符をうばってしまうライバル的存在であり、ペイロードスペシャリストのことを「お客さん」と呼ぶ。
・NASAの宇宙飛行士には海軍や空軍のエリートテストパイロットが多い。次いで医者や科学者、技術者など。
・NASDAは若田さん、野口さんをミッションスペシャリスト候補者として採用し、NASAのミッションスペシャリスト候補者訓練コースに(費用を払って)送り込んだ。その後、毛利、土井もミッションスペシャリストの資格を取得。
・NASDAは1998年の選抜では「日本で訓練を行う宇宙飛行士」として古川、星出、角野(山崎)を採用したが、2003年のコロンビア号の事故を受けて国際宇宙ステーションのスケジュールが延期になったことに伴い、ロシアとNASAの宇宙飛行士訓練コースに参加し、資格を取得した。

信頼できる筋からの情報と報道などから得られる情報を過去2回の受験体験と照らし合わせて私なりに推測すること:

・今回の宇宙飛行士選抜はNASAが数年ぶりに復活させた宇宙飛行士募集にあわせて行うことをJAXAの立川理事長が2007年末〜2008年初頭に決断した。その主たる理由は宇宙飛行士の訓練に必要な予算の節約である。
Kazuさんのブログにある東京シンポジウム 「宇宙と人間」−未来を拓く人類の活動領域の拡大−で立川理事長が「(日本が独自の有人宇宙活動を目指すことと二人がパイロットである事実とは)関係ない」と断言していた、というのは、まさしく理事長の本音であり、誤解されるのは片腹痛いこととお察しします。
・NASDA/JAXAは、宇宙飛行士選抜を行うたびごとに、どのような人材をとるのが適切なのかを現場レベルで真剣に悩んでいます。今回の選抜では、若田宇宙飛行士のこれまでのフライトや海底での長期滞在の訓練で得られた知見などが大幅に適用されているように見受けられます。特にロボットアームの操作に必要な判断能力と反射神経、閉鎖環境に外国の人間と長期滞在する際のリーダーシップとフォロワーシップ、シャトルが退役した後のソユーズなどでの宇宙への往復に伴う肉体的にも心理的にも過酷な訓練に耐えていけるか、などが重要視されたようです。もちろん成人病でないことや精神医学的にみて健康であることは基本中の基本です。

現場レベルに近い立場から今回の妄想劇を見ていると、相当に滑稽です。今回、宇宙開発戦略本部が有人宇宙開発構想を専門調査会に提案したのは全く独立の動きと思わざるを得ない。

でも、事実がどうであったにせよ、偶然が重なって世間が誤解あるいは期待したのであれば、それはそれで甚大な結果と言えます。また、この偶然をうまく利用しようとする動きがもしあるのであれば、それはそれで警戒するべきです。

今回、NHKのディレクターが選抜の模様を逐一取材したのも、全く偶然のきっかけです。しかしそのおかげで、宇宙飛行士選抜という、これまでは秘密のベールに覆われてきたプロセスの一部始終がNHKのカメラに収録されたのも、事実です。

みなさん、陰謀論で心の眼に色眼鏡をかけてしまうことなく、今夜9時からのNHKスペシャルをぜひご覧ください。番組で紹介されるのはそのごく一部ですが、現実が記録された生テープがNHKの倉庫の中に眠っています。

足なんて飾りです?

頭ん中:ジオングの整備兵は「足なんて飾りです」とは言ってない

へぇ、わたしゃリアルで見ていた世代だけど、覚えてなかった。orz

それはさておき、宇宙開発戦略本部が非公開で開いた専門調査会で毛利衛日本科学未来館長が「日の丸人型ロボット月面歩行計画」として、日本の優秀な二足歩行ロボット技術を活用する案を提出したらしい。まさに「偉い人にはそれがわからんのですよ」と天を仰いで嘆息したくなるような、マンガチックな展開。事実は日本サンライズより奇なり?!

業界周辺の評判はこれがまたすこぶる悪い。

SPACEREF: 2009-03-06 ロボット月探査、有人船検討=コストは今後議論−政府宇宙本部

ただ何故に二足歩行のロボットが月に行くのか意味不明だ。月探査を行う目的が明確ならば、二足である必要性はなくなる。少なくとも欧米の月探査ミッションシナリオに当てはめても、2足歩行ロボットの意味は全く不明だ。人間型ロボットの場合、月面や宇宙空間で要求される機能は「足」ではなく、上半身だけのはずだ。二足歩行は他の惑星では意味をなさない。

野尻ボード:野尻抱介 日本の惑星探査、存亡の危機
あと毛利さんが言い出した、二足歩行ロボで月面探査というのも勘弁してほしい。一般受けはするでしょうが、そんな道楽をしている時じゃないでしょう。

そりゃ常識的に考えて、信頼性と軽量化と遅れがちなプロジェクトのスケジュール通りの遂行をなによりも是とする惑星探査の立場からすれば、二足歩行なんていつになったら実現するかわからない悪夢のプロジェクト以外の何者でもない。

でもね。

5年先とか10年先とかに、探査ロボットを月面に送って、その予算は国民の血税だから100円でも1円でも安い開発を目指して有効に仕上げなければならない。どんな失敗も許されない。

という発想なのであれば、その常識は正しい。

でももしもゴールを20年先、30年先に設定して、そのときに日本が「ものづくり」でどのような国際的リーダーシップを発揮しているだろうか、という夢想をするとき、噂されている一兆円だか二兆円だかの国家予算を今後10年間程度に平滑して、ホンダやトヨタやサイバーダインや産総研に「委託研究」という法的縛りのもとに適正に執行できるのであれば、そしてその執行された予算を確実に査察することができるのであれば、これはじつに賢い国家戦略といえるのだと思う。

たしかに6分の1の重力(月面)や3分の1の重力(火星)でもまともに動作するロボットを作ったとしても、地球上の人間には一見、なんのメリットもない。レゴリスという月面や小惑星の表面を覆っている、角の尖った細かい砂は、エルアラメインの戦いでドイツ軍戦車の整備兵を泣かせたサハラ砂漠の砂と同様、ロボットの研究者にとっては悪夢のような存在だ。

しかしその難問にチャレンジして乗り越えることのできた技術者は、20年後や30年後、40年後に日本の経済発展を支える屋台骨となってくれるだろう。「日本製ロボット」が世界のどんな過酷な場所でも確実に動作する製品の代名詞として、ブランドイメージが定着することになる。

スピリットやオポチュニティなどの車輪で駆動する惑星探査車は経済的で確実で安定しているが、未整地のごつごつした土地や傾斜地での行動が苦手という決定的な弱点がある。地球上でも、地下でも、あるいは深海底でも、あるいは地雷除去や災害現場での重機操作でも、人間のために設計されたものをロボットに操作させたい場面は今後、飛躍的に増えてくる。いや、増えてくるとみんなが信じないうちに技術を開発して市場を席巻した方が戦略上有利だ。

人間は二足歩行によって両手を自由に使えるようになり、脳の神経細胞の手をコントロールする部分が飛躍的な進化を遂げた。自転車やオートバイは、タイヤが2本しかないという不安定で不完全な乗り物であるがゆえに、多くの自由度を利用するものに提供してくれる。

私がもし惑星探査の研究者であれば、この動きをてこに学会を設立して、日本や世界の名だたるロボット研究者を一堂に会した国際会議を開催し、あわよくばJAXAとは独立の研究開発センターを設立するだろうな。そして糸川博士のようにやんちゃで扱いづらい20代から30代の若者を5,6人集めてきて、口角泡を飛ばして机を拳で叩くほどの熱い議論を闘わせる環境を提供する。

Not because they are easy, but because they are hard. (c) John F. Kennedy

時代は君たちのためにあるのだよ。その手でつかみとりなさい。

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