2009.02.09

はやぶさ翻訳アゲイン

Taroさんのページを読んで感動したので、この感動を世界に伝えようと思って、勝手に翻訳しちゃいました。

で、「こんなん書いたよ」と惑星協会のEmilyさんに知らせたら、早速惑星協会のブログに彼女自身の解説付きで紹介してくれました。仕事はやっ!

Theplanetarysocietyblog090208

で、早速こんなところとかこんなところ英訳)で議論のネタにされてるわけですが、その中で「太陽電池パネルは固定なのに、どうやってロール軸周りの制御ができるんだ?」という質問がありました。グッドクェスチョン! 管理人自身もじつは翻訳しながらその部分を謎に思っていたのだよ。

で、ちょっとググったらISASの國中均教授の記事を見つけたので、「太陽光圧の作用中心とベクトルと探査機の重心とのズレから生じるトルクを残りの2軸と一緒に制御することで吸収してるんじゃね?」という推測を追記しておきました。

詳しいことをご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。

Paolo Amorosoさんの

Consigliato a tutti gli studenti di ingegneria e a chi si interessa del controllo d'assetto dei veicoli spaziali.

Recommended for all engineering students and those interested in the attitude control of spacecraft.
というコメントは最高の褒め言葉ですね。はやぶさチームの偉業に背筋がぞくぞくします。

[追記 3/29] はやぶさまとめ管理人さんにこの翻訳のことを紹介していただきました。どうもありがとうございます。

2009.02.08

Hayabusa's returning home

[This is a voluntary translation of Taro's Page February 5, 2009 on Hayabusa's Returning Home. ]

Hayabusa is returning home. Her ion engines have been successfully reignited. Hooray! The press release states it very briefly:

Since then, the HAYABUSA has been in a coast flight, but today [February 4] we reignited the ion engine for a powered flight at 11:35 a.m. (JST) after activating its reaction wheel and establishing the three axis attitude control.

Simpler it seems, but the reality is, two out of three reaction wheels are not functioning. Chemical thrusters are also not usable due to fuel leaks. It really is beyond anyone's imagination that the team has come to reestablished the three-axis control. So here's the unsung story:

Think of the orientation of Hayabusa as a human body. The antenna is at the top of the head, solar panels are on both sides like extended arms. Ion engines are on the back like a backpack. She has been in spinning mode to keep the attitude for the past sixteen months, without firing any engines nor thrusters. The Sun has always been kept to the spinning axis, which means the antenna and the solar panels are always facing to it.

So, to initiate the returning home procedure, the team should first stop the spin. The only remaining reaction wheel is, luckily, the yaw control, the same axis of the spin motion. That is, rotating the wheel would stop the spin. To achieve the full three axis control, two more axis to go. The ion engines on the back can sway five degrees each to up, down, right and left (gimbal-mounted). Originally designed for fine-control the direction of ion engine thrust, this gimbal structure can also be exploited to control the bowing down motion along the pitch axis.

One more axis remains, namely the roll axis, or, turning like cartwheel sidewise. Swaying the ion engines left or right gives the yawing effect, same as the remaining reaction wheel, so it's no use. Instead the team has decide to exploit the photon pressure coming from the Sun! The mass of Hayabusa is concentrated at the center of the main structure, and the solar panels are extending to both sides at the top of the main structure. So a small amount of torque arises when the panels receives the photons at a tilted angle. Just like a solar sailing.

Amazing, isn't it? The team has come up with this "Plan B" to regain the three axis control technique, almost like cheating an exam with an ultra-E moonsault! And that was in April 2007. They confirmed this technique to be usable, overwrote the control program with this alternative, put Hayabusa into the spinning mode, then hibernated her until now. A year and four months later, they reactivated her with already practiced maneuver, controlling her attitude, and firing the ion engines to start the still long process of coming home. I've never heard of using photon pressure for the attitude control. And yet they never hint us about their efforts. Quite cool, aren't they?

[Taroさんのページを勝手に翻訳させていただきました。すごくわかりやすい解説をありがとうございます。問題がありましたらご連絡ください m(__)m]

[Addendum by 5thstar]

This article has been linked by The Planetary Society Blog, NASAspaceflight.com and ForumAstronautico.it (English Translation) as of this addendum. Thank you Emily, for bringing this to the world's attention! Hayabusa team truly deserves it.

In response to Spaceater's question:

Ho letto l'articolo e non mi è molto chiaro come abbiano fatto a sfruttare il "solar sailing" per controllare il rollio dell'astronave: ruotavano i pannelli solari in modo che ricevessero più o meno fotoni in modo che la differenza di pressione dovuta alle particelle creasse un momento intorno all'asse di rollio? Perchè dalle immagini della sonda che ho visto i pannelli non sembravano mobili...

I read this article I am not very clear how they did it to exploit the "solar sailing" to control the roll dell'astronave: revolved solar panels to receive more or less photons so that the pressure difference due to particles to create a moment about the roll? Because of the probe from the images that I saw the panels did not appear to be moving ...

Good question! I am not clear either. So I googled a bit, and find out a Japanese article written by one of the Hayabusa team member Professor Hitoshi Kuninaka on ISAS Mailing List, essentially explaining the same thing back in August 2007.

He states that the photon pressure to a spacecraft generates a disturbance to the attitude control, depending on the angle of the Sun light and the cross section of the spacecraft. It generates a small torque as the center of the photon pressure versus the center of mass is slightly shifted.

So my guess is that they are carefully exploiting the combination of yaw, pitch and roll controll of Hayabusa at the same time by calculating the exact positions and vectors of the Sun light versus the center of the photon pressure versus the center of the mass. It ought to be a state of art software. I could be wrong.

Then I googled a bit more, and found his paper.

Deep space flight of Hayabusa asteroid explorer
Proc. SPIE, Vol. 6960, 696002 (2008); DOI:10.1117/12.782163
Online Publication Date: 15 April 2008

Since I don't have an access to this database, could someone who has an access download and check it?

2006.06.03

「はやぶさ」がサイエンス誌の特集に

SpaceFighter Now経由:

チェコの空:「はやぶさ」サイエンス三昧

はやぶさが撮ったイトカワの写真がアメリカの科学誌「サイエンス」の表紙を飾っている。すごい! おめでとうございます。日本人が筆頭になるScience論文が同時に7本も出版されたとのことで、まさしく快挙ですね。小惑星探査におけるこの優位をぜひ保ってください。日本は資源小国なので、国家戦略としても重要な意義がある。

JAXAの広報の巧拙について早速誤った認識が広まりかけているようですが、「サイエンス誌の縛り」というのは、はやぶさの研究者チームが論文の投稿先をサイエンス誌にすることに決定した時点で発生したものであり、それ以前の縛りははやぶさの研究者チーム自身が自らに課していたもののはずです。間違っていたらどなたかご指摘ください。

これは紫綬褒章ものですね。しかるべきスジの人、ご検討ください。

2006.05.29

平均年齢

毎日新聞の元村有希子さんが第一回科学ジャーナリスト大賞を受賞したというので、お祝いのコメントを書きにいった。

隣のコメントで日本科学技術ジャーナリスト会議へのリンクがあったのでいろいろ覗いていたら会報38号

例会報告3 「はやぶさ」の成果と意義
=的川奉宣・JAXA執行役= 【漆原次郎】

という記事が載っていた。

「はやぶさ」のミッションは、宇宙開発に必要な三要素、「冒険心」「好奇心」「匠の心」のどれをとっても高いものだった。
というのは同意。しかし、
管制室は若さで満ち溢れていた。川口淳一郎プロジェクトマネージャー率いる今回の担当者たちは平均35歳程度。
という文章があって、思わずのけ反った。冗談じゃない、「平均35歳」を称して「若い」というのか? 若いというのは、プロジェクトマネージャーが30代半ばで、他のメンバーが20代後半くらいのことをいうのじゃないのか? 管理人としてはJAXAの高年齢化が進んでいるのがとても気になる。こんな状態で日本の宇宙科学は大丈夫? NASAもそうだけど...

「クランツ アポロ 36歳」で検索をかけたら、こんな記事が目に留まった。

JAXA: 宇宙科学ビジョンにおける太陽系探査の役割

E. クランツがアポロ13号の飛行主任を務めた年齢に並んでしまった36歳の私にとって,もはや自分の世代が真正面から考えるべき問題なのです。
2年前に書かれた記事ですが、矢野さんってそういうご年齢だったんですね。失礼しました。
私はこの「進化」こそ,JAXAのすべての宇宙ミッションを貫くキーワードになるのではないか,と思っています。
なかなかいいこと書いているじゃないですか。

30代でプロジェクトマネージャーになれないJAXAの体質は改善する必要があるのかも。

2006.05.20

「Hayabusa」カテゴリを新設

いままでこのブログでは、はやぶさに関する話題を「JAXA」「日記・コラム・つぶやき」「宇宙開発」という分類でばらばらに書いてきましたが、佐々木充文氏の記事でリンクしていただいたのをきっかけに、これまでのはやぶさ関連記事をすべて「Hayabusa」というカテゴリにまとめました。

佐々木さん、もしこの記事をお読みになったら、リンク先を

http://5thstar.air-nifty.com/blog/hayabusa/

に変更していただけますと幸いです。m(__)m

ハヤブサはネットの海を飛ぶ

リンクしていただいたのでリンク返し。

ハヤブサはネットの海を飛ぶ / 科学メディアを読み解く・創る

科学メディアを読み解く・創る 東京大学教養学部・ゼミナールの講義の一環としての作品らしい。担当は林衛特任助教授。筆者の佐々木充文氏は「文III」とあるから、学部生か?

トップページにリンクしていただいてますが、このブログでははやぶさ以外のことも書いてるから(というか、はやぶさの話題はむしろ管理人にとって想定外だった)、まとめページを作っておく必要があるのかなぁ...?

その結果、相互的で積極的な議論がみられた反面、それが比較的小規模なコミュニティの内部で完結してしまったきらいがある。
という分析には同意しますが、
多方面にわたる話題を扱うマスメディア上だけでひとつひとつの問題に関して議論を進めるのは不可能かもしれないが、新聞をはじめとするマスメディアがこうした議論を取り上げて再発信することができれば、議論の可能性も広がるにちがいない。熟練したスタッフと専門的な情報網をもつマスメディアなら、ネットで交わされた多面的な意見を責任をもって再評価し、ブログ上での「結論」をこえて議論を深めることができるだろう。
というのはなんだかちょっと矛盾してませんか。マスメディアとはその定義からして数十万人とか数百万人とかの受信者を対象とするものなので、情報の流れは(一部の例外を除いて)一方通行ですよね。「数」の影響に対する認識にずれがあるような... ブログは所詮、ロングテールが真骨頂ですよ。ただし、世界に向かって開かれたロングテール。

とまれ、ご紹介いただきありがとうございます。

それと、管理人がこのブログで書いてる中身を盲信しちゃだめです。床屋政談みたいなものなので、ウラをとらないとね。^^;

2006.03.07

Hayabusa is alive

JAXAからすばらしいプレスリリース。

JAXA: 「はやぶさ」探査機の状況について

1月23日にはやぶさからのビーコン信号を受信、その後、徐々に探査機との更新を回復し、3月4日には中利得ゲインアンテナによるテレメトリデータの取得に成功したとのこと。

「はやぶさ」は、12月8日の姿勢喪失後、太陽電池発生電力が極端に低下し、一旦電源が完全に落ちたもようです。搭載のリチウムイオンバッテリも放電しきった状態にあり、かつバッテリの中の一部のセルは準短絡状態となっていて、現在は使用不能の状態と考えられます。また、化学エンジンについては、すでに 12月上旬には燃料をほぼ全量喪失した状態にありましたが、この間にさらに、酸化剤もあらたに漏洩したもようで、指示上は残量が全くない状態にあります。イオンエンジン運転用のキセノンガスは、12月に通信が不通に陥った時点の状態の圧力を保っており、残量は、約42〜44kgと推定されています。
.....

探査機搭載のイオンエンジンや3軸姿勢制御のためのスタートラッカ、姿勢軌道制御コンピュータなどは、探査機全体の電源が一旦落ちたため、非常に低温の状態におかれたと推定されており、その機能が保たれているか懸念されるところです。現時点では、これらの機器の動作は確認にいたっておりません。
ということで、文字通り、満身創痍というところですが、こんな状況で通信を回復させるとはすごい。まさに不死鳥ですね。

まだまだ予断を許さない状況とはいえ、2010年6月のサンプルリターンに期待したいところです。がんばれ。

2006.02.06

はやぶさ翻訳

Rogue Engineerさんが「小惑星探査機「はやぶさ」関連情報の翻訳 ― その1: 11月26日「イトカワ」への着陸」で「小惑星探査機「はやぶさ」にまつわる情報の英語への翻訳に関する顛末」をまとめておられる。管理人も彼の翻訳作業にはすごく助けられたし、あのとき感じた独特の興奮や義務感や困難やプレッシャーを共有できるのは、同じ時期に翻訳を試みた人間ならでは、という気がする。なので、管理人の視点からもあの頃のことをすこし振り返っておきたい。

以前にも書いたけれど、はやぶさミッションに海外からの注目が集まっていることに管理人が気付いたのは、昨年11月12日のはやぶさのリハーサル降下で「ミネルバ着地せず」という記事を書いたときだった。アクセスログを見ていると、海外の宇宙関連の掲示板でGoogleやBabelfishの機械翻訳を介してこのブログにリンクを張って、はやぶさの最新情報を得ようとしているのが手に取るようにわかった。アメリカやヨーロッパはもとより、北京、ペルー、セントペテルスブルグなど、予想もしてなかった国や地域からのアクセスが相次いでいた。そのなかでも特に高度な情報が集まりつつあったのがUnmanned Spaceflight.comのこのスレッド。Babelfishが「ミネルバ着地せず」を「Minerva it does not land」と翻訳して、やっと事態を把握している様子が見て取れた。と同時に機械翻訳の限界で詳細がつかめずにフラストレーションをためている様子もわかった。

で、最初のタッチダウンとなった11月20日。日曜日だったので、ベッドの中でノートパソコンをひろげて「そろそろタッチダウンかな」とのんびりした気分で情報収集を始めた。寺薗さんがISAS公式ブログで「何らかの理由により上昇に転じた模様」という一報を出した後、続報がなかなか出ず、混乱している様子が見て取れた。「JAXAは英語でも情報発信すればいいのに」とじれったくなったけれど、舞台裏のマンパワーの少なさも想像がついたので、松浦さんのブログでISASが9時から記者会見を開く、という記事を見た瞬間、「松浦さんが記者会見の模様を中継してくれる。これを翻訳できるのはボランティアしかいない!」ということに思いいたった。

10時半ごろの的川先生のコメントを松浦さんがアップしたのを待って、それまでの経過とともに最初の記事を11時50分ごろ、アップ。その後、松浦さんのブログの更新を追いかける形で昼食もそこそこに夕方まで更新を続けた。

効果はすぐに現れた。13時台には世界中から550ページビュー。絶対数は多くないが、地図上の分布がミネルバのときよりも確実に増えている。英語からさらにいろんな言葉に翻訳されて世界に伝わっていく様子も見えた。ロシア語、フランス語、スペイン語、イタリア語、フィンランド語、など。ISASの記者会見で的川先生や川口プロマネの一言一句が世界中の天文・宇宙ニュースサイトにその日のうちに掲載されるなんて、前代未聞? 翻訳作業の責任重大さに思わず身震いした。

問題はその後だった。世界からリンクされたのはいいけれど、平日は仕事があるので翻訳ができない。2回目のタッチダウンではやぶさがまた世界から注目を集めるのはあきらか。のりかかった船からは下りられない。どうしよう。

案ずるより産むが易し。松浦さんのブログをたどって、他にも海外の掲示板に情報を提供する日本人が現れた。naoさんやzundaさんやRogue Engineerさんも松浦さんのブログのコメント欄で翻訳作業を始められた。

2回目のタッチダウンとなった11月26日。朝から松浦さんのブログの翻訳作業を始めたものの、この日は昼から出かけなければならなかった。帰宅してから松浦さんの記者会見の記事を見ると、Rogue Engineerさんがすでに川口プロマネの解説の部分を翻訳しておられたので、残りを翻訳してアップして、就寝。翻訳作業をしてくれる人が他にも現れたことで、ずいぶん安心できた。

12月14日のJAXA/ISASの記者会見では三島さんが用意された翻訳用Wikiが活躍した。ネット上にボランティアが分散している場合、Wikiで下書きを集めてまとめていくというのは、共同作業に向いている、と、その着眼点に感心した。

微妙なニュアンスが含まれる一問一答をリアルタイムで翻訳するのは緊張する作業だった。しかしもとをたどれば、JAXA/ISASが世界で初めてのことに挑戦したからこそ、ここまで世界から注目を浴びたのであって、はやぶさチームの苦労に比べたら、管理人の数週間の緊張など取るに足りない。

世界で初めてのことに挑戦する気持ちを忘れないでほしい。その気持ちが真摯であれば、応援してくれる人は、必ず現れる。

2005.12.27

はやぶさとF1

世界三大スポーツイベントといえば、オリンピック、FIFAワールドカップ、そしてF1レース、といわれるらしい。

管理人自身はF1レースのファンというわけではないのだけれど、自動車レースを文化の域にまで高めてしまう欧米、特にヨーロッパ各国のサポーター達の懐の深さにはなんとなくうらやましいものを感じてしまう。

F1レースは何を目的として開催されているのだろう。F1レースを応援する人々はF1のどんな側面を支持しているのだろう。レーサーの華麗なるドライビングテクニック? ピットクルーの一糸乱れぬチームワーク? メカニックの求道的で職人的なマシンチューニング? ワークスチームが開発する夢のような究極のモンスターマシン? あるいはそれら全ての要素がコース上で絡み合って人間の闘争本能をかき立てるレース展開?

それらの楽しみ方のどれもがきっと正解なのだろう。F1とは奥の深いスポーツであるらしい。

日経新聞の清水正巳編集委員が「研究の失敗に寛容な風土はできるか」と題した、はやぶさの評価に関する論評記事を公開し、いくつかのブログでさまざまな反応が見られた。その中でも松浦晋也氏のブログ記事がISASサポーターの視点を代表するものとしてよくまとまっていると思える。

清水氏はまず

日本の小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワの探査ほど、成功したのか、失敗したのか分からないプロジェクトはない。
と記事を切り出す。この文章が記事全体のトーンを決めてしまっているともいえるが、自身の言葉で科学技術を
科学技術の研究開発には新発見やイノベーションにつながる発明、そして一つ一つの技術を組み合わせ、全体システムをつくりあげるような技術開発プロジェクトがある。前者は未知の世界の挑戦という性格があり、失敗なしに成果を挙げるのは至難の技である。一方、後者は着実にシステムをつくることが前提であり、出来上がったシステムが動かなかったり、目標を達成できなかったりすれば失敗であり、無駄な研究開発ということにもなる。
と定義し、はやぶさについては
つまり、前者では失敗は許容され、後者では失敗は許されないということになる。はやぶさは後者になるが、
と断じている。この認識がそもそも事実誤認だというのが松浦氏の認識であり、管理人も同意する。

それ以外にも両者の主張には根本的な認識のずれが見られる。この議論を見ていて、「F1レースの価値を理解しようとしていない人にF1の何がすごいのかを説明しようとしているサポーター」という図式を思い浮かべてしまった。そもそもF1レースに参戦する価値があるのかないのかという段階で議論がすれ違ってしまっているのではないのか。

JAXAの「今日のはやぶさ」のページにも掲載されている500点満点ミッション達成度自己採点表が、はやぶさミッションの意義を理解しようとしない人に対して誤解のきっかけもしくは批判の手がかりを与えてしまっている、ということに、この表を作った人は気づいているのだろうか? また、はやぶさが工学試験衛星であることが社会の中にどのように受け止められているのかを気づいているのだろうか?

F1にも宇宙開発にも詳しくない管理人が個人的偏見でこのミッション達成度の表をF1レースに勝手に焼き直してみるとこうなる。

新型エンジンでラップタイム記録
                              50点
新型エンジンで予選通過
                              100点
ポールポジション獲得
                              150点
前年チャンピオンをバックストレートで抜く
                              200点
決勝レースでトップを走る
                              250点
コースレコード達成
                              300点
決勝レース優勝
                              400点
グランプリワールドチャンピオン
                              500点

あなたならはやぶさチームがどこまで達成したら満足しますか?

ところで、F1レースと宇宙開発には一つ重要な違いがある。F1がワークスやサポーターの民間資本によって運営されているのに対し、宇宙開発は国民の税金によって賄われている。また、宇宙開発の意義にも科学的探究や未知の世界の探検の側面がある一方で気象衛星や地球観測衛星など人間の社会活動を支えるという実用的な側面も求められている。

税金を払っている納税者の一人一人の利害をワークスの株主に例えると分かりやすいかもしれない。ワークスはなぜ巨額の資金を投資してF1レースに参戦し続けるのか。株主はその投資に対してどのような理解を示しているのか。

F1の関係者はF1を愛しているからこそF1に参戦するのだろう。ワークスはF1に参戦することの意義をワークスなりに判断しているのだろう。関係者はレースの結果を見せることでこそ株主にアピールすることが出来るし、ワークスには株主に対する説明責任がある。

日本でF1グランプリが開催される時代が来るなんて、管理人の時代錯誤な感覚からすれば夢のようだ。

2005.12.16

はやぶさふらっしゅ

2chのはやぶさスレで一つ前の記事をほめていただいてちょっとうれしかったのだが、それより感動したのがおとなりのエントリの875さんが紹介しているふらっしゅ。

はやぶさ、帰って来い…

選曲センスからみて、管理人と同世代の人ですね。^^;

それにしても、絵作りのうまさ、歌詞のパロディのセンス、そしてなによりテロップの正確さと記述のうまさ、「素晴らしい」という凡庸な言葉では表現できないほどすごいです。じーんときます。

あまりにもすごいので、さだまさしさんを誰か説得して、いろんなところでひろく活用して欲しいと思った。現代の小学生に見せたい。

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