2008.02.16
2007.11.22
お月様のおかげかな
管理人は長沼センセイと同世代だから、「はじめ人間ギャートルズ」なんていうやたらマイナーなTVアニメの裏主題歌の雰囲気はとても大好きだ。チュニジアの大砂漠まで辺境微生物の採集に出かけるセンセイの行動力と、地球の地の果てでこの裏主題歌を突然おもいだしたりするフィーリングがとてもウケる。少なくとも「美しい日本」という曖昧な言葉で国民に愛国心を醸成して価値観を植え付けようとするどこかの国の前首相よりはずっと人間的にみて安心することができる。
地球には大気があり、風がある。それと同じように、地球には海があり、潮の満ち引きがある。毎日まいにち2回ずつ、満潮と干潮がやってくる。私たちが暮らす大地だって、あまり目立たないけれど、やっぱり毎日2回ずつ、数十センチ、上がったり下がったりを繰り返している。
オーストラリア東海岸に広がる世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフのサンゴは毎年1回、満月の夜に一斉に産卵するという。月の光を感じて発現する体内時計の役割に関係する遺伝子が見つかった、というニュースがしばらく前に流れた。満月の夜は干満の差が激しくなる。その激しい潮の流れに卵をゆだねて、生育範囲をできる限り拡大しようとするサンゴの生き残り戦略が、遺伝子の中に埋め込まれているのだろう。
ウミガメは、満月や新月の満潮時にも波がかからない砂浜の波打ち際に卵を産み落とすという。卵に波がかからないように、そして孵化した赤ちゃんガメが海まで辿り着けるように。地球上の生物にとって、潮の満ち引きは、種の生存と繁栄に欠かすことができない大きな影響を与えている。
この干満の莫大なエネルギーは、月が地球の周りを回って、重力で引きつけあってお互いの角運動量を交換し合っているところからくる。月も地球もその大きさの割にはお互いに近すぎる距離にいるために、お互いの自転を潮汐で縛り合って、その反作用として、月と地球の距離は毎年4センチほど遠ざかっている。月はとうの昔にその自転を地球にロックオンしてしまって、あのおなじみのウサギの模様の面をいつでも地球に向けて地球の周りを回っている。
この、お互いにつかず離れず(離れてるって!)お互いを縛り合って干渉し合う二つの天体がこれだけ近い距離にいるというのは、太陽系の中の他の惑星を見ても異例のことだ。太陽系形成の初期に原始地球に火星ほどの大きさの惑星がぶつかって、地球の周りに破片をまき散らし、その一部が集まってできたのが現在の月、だということらしい。
では、惑星同士がぶつかって月を形成するような現象は、宇宙全体ではどれだけあるのか。NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡を使って調べた結果がプレスリリースで公表された。
NASA/JPL: Astronomers Say Moons Like Ours Are Uncommon
生まれてから3千万年ほど経った恒星を400個ほど調べたところ、惑星衝突の証拠とも言える細かいチリをまとっている恒星は1個しかなかったという。このことから、地球と月のような惑星の衝突によって生まれた「濃密な関係の衛星」を従えている惑星は全体の5パーセントから10パーセント以下しか存在しないだろう、という。
・海の水が蒸発しても水蒸気を宇宙空間に逃がさないほど地球の重力が強く、
・海の水が液体でいられるほど、熱すぎず、寒すぎず、
・海の水に干満を与えるお月様がほどよい近さにいて、
なんというはかりしれない偶然の産物として、地球上の命は生まれたというのだろうか。
高校生の頃、なにかの映画を見に行ったら、「ラストコンサート」という、とてもマイナーな映画が同時上映されていた。失意の中年ピアニストが、病に冒された少女との不思議な交流の中で立ち直っていくという、ストーリー的にはちょっとあれげな映画だったけれど、フランスのノルマンディー南部にある修道院モンサンミシェルの映像がとても美しかった。なぜか忘れられない映画の一つ。「30年前のセカチュー」か。なるほどね。
そのモンサンミシェル、ラッパ状のサン・マロ湾の奥深くに位置するので、干満の差が15メートル以上もある。浅瀬になっているため、引き潮で18kmほどまで遠ざかっていた波打ち際が、満潮になると猛烈なスピードで押し寄せて、島を孤立させてしまう。かつては波に飲まれて命を落とした巡礼者が数多くいたという。
かぐやのハイビジョン映像を見て、改めて思う。
月はその存在によって、この地球に命の恵みを与え続けている。
46億年の歴史に、ありがとう。
地球は美しい星だ。
2007.10.29
ホームズ彗星みえた
かぐやだ嫦娥だと騒いでいる間に、その探査機たちがいるお月様のすぐお隣のペルセウス座では、ホームズ彗星が大変なことに。
ASTRO CALENDAR:ホームズ彗星が爆裂
ASTRO CALENDAR:「かぐや」も「嫦娥」もぶっとばしたホームズ
ASTRO CALENDAR:どこまで明るくなるか、ホームズ彗星
ASTRO CALENDAR:ファーストクラスに
関崎海星館の快晴日記:10/27大増光したホームズ彗星を確認しました!
関崎海星館の快晴日記:10/28ホームズ彗星と速吸の瀬戸
台風も通過したので、双眼鏡と9cmの反射を手に外に出てみた。月明かりが邪魔して、肉眼ではっきりとは見えなかったのだけど、双眼鏡で見ると一発でわかる。すごい。 昔の中国辺りなら皇帝が交替するほどの天変地異ですね。40万倍も増光するなんて、いったいどんな異変が...
望遠鏡の接眼部にデジタル一眼を手持ちでくっつけてシャッターを切ってみたけど、さすがに写らない... orz
画像処理ソフトで思いっきりコントラストを強めてみたけど、まるで心霊写真... orz orz

なんかぼやーと写っているのがわかりますか?
ちなみに同条件、同倍率で写した火星がこちら。手ぶれでぼけぼけですが、見かけの大きさの違いが鮮明に。

爆発の瞬間を間近で見てみたかったなぁ...(マテ
にしても、写真撮影の機材、もっとなんとかしなきゃ... orz
2007.06.30
ツングースカのクレーターが見つかる?
Sky&Telescope誌に速報。
SkyandTelescope.com: Has a Tunguska Crater Been Found?
ツングースカの爆心地から8kmほど離れた場所にあるCheko湖の湖底調査をしたイタリアのチームによると、隕石クレーターなどに特徴的な地質構造があきらかになったらしい。
ツングースカに落ちたのが隕石だったのか彗星だったのか、これで決着がつくことになるのでしょうか。
2006.08.25
ホルストの株価が上がる日
以前から議論があったとはいえ、冥王星が惑星でなくなることがとうとう正式に決まった。
毎日新聞: 太陽系惑星:冥王星を除外 賛成多数で最終案採択 IAU
朝日新聞: 冥王星外し、惑星数8に 国際天文学連合が新定義
天文台の渡部先生、日本のメディアにひっぱりだこですね。ホルストのCDの売り上げが増加すると見た。New Horizonは売り、かな? ^^;
個人的には冥王星のこの激白に座布団3枚。前哨戦とあわせてどうぞ。^o^
[追記] 今朝の「特ダネ!」でインタビューされてた夏休みの自由研究の中学生のコメントには笑っちゃったけど、それを見ていて気がついた。ドメイン名「The Nine Planets」って大暴落やんけ。南無。
2005.12.23
暗黒物質の塊
世の中、こういう新しい発見があるから、生きていくのって楽しくなるんだよねぇ。
すばる望遠鏡: 暗黒物質の巣で育つ銀河の雛たち
夜空を見上げると見える無数の星たち。しかし「無数」とはいっても人間の目で見える星の数は全天でたかだか6千個程度にすぎない。ガリレオは当時最先端の科学機器だった望遠鏡で人類初の天体観測を行って、天の川がもっと暗くてたくさんある星の集まりであることを見つけた。しかしそれらの星の集まりもたかだか数光年から10万光年。天の川もまた、それこそ無数にある銀河系の一つにすぎない。
その無数の銀河系たちは、ミカンを入れるネットが幾重にも重なっているような網の目の構造となって宇宙空間を覆い尽くしている。
一方、宇宙には天体望遠鏡とか電波望遠鏡とかX線望遠鏡とかでは観測できない「正体の分からない物質」があることが、銀河系の中の星の回転速度や、銀河系の群れの中で銀河が動いている速度の観測などからわかっていた。光らない物質なので「ダークマター」と名付けられているが、望遠鏡などで観測できる物質(恒星など)の10倍以上もある。いいかえれば、人類は宇宙に普遍的に存在している物質のうちの10分の1以下しかまだ観測することができない。
そのダークマターが宇宙全体の中でどのような分布をしているのかに手がかりを与えてくれるのが今回のすばる望遠鏡の最新成果。図3を見ると、任意の二つの銀河系の間の距離を測った時にその分布の度合いが80万光年を境にくっきりと異なっているのが見て取れる。つまりこの観測からは暗黒物質の塊のサイズを特徴づける数値として「80万光年」という答えがあらわれるようななんらかの物理的過程が存在することになる。
ところでこの図で使われている「2つの銀河間の距離」の分布を示す「相関関数」はアメリカの天文学者ピーブルスが1969年に考案したということになっているが、神戸大学の松田卓也先生によれば、木原、東辻、三好らによる銀河分布の相関に関する研究のほうが先駆的なものらしい。
今回のすばる望遠鏡の成果が世界的にどのように受け止められるのか(というか、この分野ですでに長年その傾向が見えていたものを裏打ちしたものなのかどうか)門外漢である管理人にはわからないのですが、関係者の皆さん頑張ってください。
日本の科学史を英語でまとめる科学史家が必要、ということなのかな。それにしてもすばる望遠鏡はすごい。
2005.09.02
冥王星の月が恒星を掩蔽
古いニュースですが...
7月10日から11日にかけて、冥王星の月、シャロンが恒星C313.2を掩蔽(えんぺい)した。この模様を世界各地の天文台が観測。前回の観測から25年ぶり。
MITのサイトにこの掩蔽の様子がQuickTimeで掲載されている。
MIT Planetary Astronomy Laboratory
衛星シャロンの大きさ、形、大気の有無、などがこの観測で明らかになると期待される。9月に開催される全米天文学会で観測結果が発表の予定。
2005.06.11
ディープインパクトの光学系収差はハッブルと類似の原因
Sky & Telescope: Sky and Telescope - Astro News Briefs: June 10
この中の「Deep Impact's Blurred Vision Called Fixable」という記事で、探査機ディープインパクトの光学系の収差が画像処理技術によって補正可能、とNASAが発表したことが紹介されている。
ディープインパクトの光学系は設計値より4倍ほど分解能が粗いことが3月に判明した。その原因は、光学系を研磨する際に基準として用いた較正用の光学系が温度変化によりわずかに本来の形状からずれていたことに気づかなかったため、という。ハッブル望遠鏡が打ち上げられた時に判明した光学系収差の発生原因とほとんど同じ。
較正用の光学系をクロスチェックしなかったことが当時、さんざん批判されたものだったけど、それとおなじ間違いをまたやったのか...
再発する、ということは、再発する原因の究明が必要だということ。予算を節約しようとしたため? スケジュールがタイトだった? 「大丈夫だろう」という関係者の慢心?
2005.04.28
Deep Impactが目標の彗星を補足
NASAの彗星探査機「ディープ・インパクト」が、目標となるテンペル第一彗星を補足、追跡を開始した。
NASA: Deep Impact Spots Quarry
NASA: NASA'S DEEP IMPACT SPACECRAFT SPOTS ITS QUARRY, STALKING BEGINS

Credit: NASA
重さ約370キログラムの銅製の衝突体を7月4日に彗星にぶつけ、でき上がるクレーターや飛び散る破片を観測することで、彗星の内部組成を調べる。衝突体が彗星にぶつかる速度は秒速約3万7000km。直径90mほどのクレーターができると推定されていて、このクレーターの直径を予想するコンテストが開催されている。
2005.03.27
2005.02.20
SOHOの千個目の彗星予測コンテスト
NASA/ESAの太陽観測衛星SOHOはこれまでに900個以上の新彗星を発見している。そのSOHOが1000個目に発見した彗星が太陽に最も近づく日時を予測するコンテストが開催されている。
NASA: The SOHO 1000th Comet Contest
コンテストの応募〆切は「960番目の彗星が発見されるまで」
現在のペースだと5月末くらいが〆切、かな?
一位の人の賞品は SolarMax DVD, SOHO T-シャツ、太陽観測眼鏡、その他SOHO衛星関連グッズ、それと、NASAのゴダード宇宙センターの特別招待(旅費は含まず)だそうで。
ということで、管理人もエントリしてみました。太陽の表面をかすめるように飛ぶ彗星、ということで、クロイツ群の池谷・関彗星、を思い出す...
2005.02.01
中継機宇宙望遠鏡
t o k o k u ' s Hawaii diaryの1月24日の記事。
次のジェームス・ウェブ宇宙望遠鏡までの中継機宇宙望遠鏡として、日本が総力をあげて作る予定の可視広視野カメラがいよいよ現実味をおびてきました。.....(中略)..... 一緒にやってきた人たちや知ってる人が多いのもあって、これだけでも「うわー日本がんばれー!!」と思ってしまう。一度は宇宙望遠鏡の装置もやってみたかった私としては一生に一度の大チャンスを逃しつつあるのが残念だけど、超応援してます!!なんだか期待できそうなプロジェクトが進行中のようですね。
[追記] nqさんからいただいたコメントによると、これのことのようです。
2005.01.19
NASAがすばる望遠鏡でタイタンを観測
t o k o k u ' s Hawaii diaryの2005年1月15日 (土) のエントリによると、
NASAは地上からもすばる望遠鏡を使ってタイタンの大気を観測しました。雪で準備が困難だったこの一週間、NASAスタッフは一生懸命に装置の準備をし、すばるスタッフも一生懸命サポートしていました。両者頑張ったかいがあって、雪の後で天気に恵まれ、いいデータが取れたみたいです。とのこと。
マウナケア山頂は、水の配達が雪で滞ったりストライキがあったり、と、大変だったみたいですね。ある意味、宇宙ステーションの暮らし、みたいな。
この日記、マウナケアからの写真が素晴らしいです。「すばる望遠鏡日記」とか題して出版したりしないのかな。
2005.01.08
天文学トイレットペーパー
yosuke の日記経由:
毎日新聞:天文トレペ:国立天文台の学生ら試作 天文学に親しんでと
天プラ:【Astronomical Toilet Paper】
天プラ:***Astronomical Toilet Paper Project***
1個80円、か。なかなか面白いプロジェクトだな。JAXAにも応用ができそうな気がする。芯にレンズをはめて、双眼鏡に、ってところが笑っちゃう。「個室」でおもむろに切り取った紙切れを前にして、宇宙との思索にしばし浸るのも悪くない?!
日本製ハッブル?
asahi.comに、国立天文台が構想を練っている口径3.5メートル級の宇宙望遠鏡の想像図。
asahi.com: 「第2の地球」探しに本腰 国立天文台
この図によると、構想されているのはハーシェル・カセグレンだ。副鏡の支持アームが主鏡の光路を妨げないので、干渉縞のない良好な画像が得られる。チャレンジングな点は、主鏡・副鏡の表面が中心をずれた放物面を正確に製作できるかどうか、だけど、すばる望遠鏡のアクチュエータの技術があることなどを考えれば、十分実現可能な気がする。コンパクトに折り畳まれた状態で打上げられるようになっている。なかなかうまい設計だ。これならH-IIAロケットでも打上げられるだろう。すばらしい。失敗を恐れずにどんどんチャレンジして欲しい。JAXA統合の効果をプラスに転じて欲しい。
2005.01.06
マックホルツ彗星みえた
野尻ボードを見て、「そういえば今日は空が澄んでいたな」と思い出し、7x50の双眼鏡を首から下げて自宅ベランダに出てみた。自宅周辺は決して空が暗いほうではなく、目に付くのは3等星くらいまで。目を凝らしてぎりぎり4等星が見えるかどうか、という程度。
すでに西に傾いたおうし座のプレアデス星団の下あたりに「なにか」を感じて、さっと双眼鏡に目をあてると、いきなりマックホルツ彗星が視界に飛び込んできた。
さすがに手持ちの双眼鏡の一撃で彗星をしとめるのは初めての経験だったので、何度も確認したけれど、やっぱりマックホルツ彗星に間違いない。もっと空の暗い場所だったら、それなりに感激の対面、だったろう。
子供の頃、高知県の彗星ハンター、関勉さんが書いた「未知の星を求めて」という本を読んで憧れて、大人になったら彗星ハンターになりたい、なんて思っていた。あの頃の自分に今の自分はどう見える...?
2004.12.31
若い世代にとっての天文学
今年9月、小学生の4割が「太陽は地球の周りを回っている」と考え、3割は太陽の沈む方角を答えられない、という調査のニュースがネットをにぎわせた。
asahi.com: 小学生の4割「太陽が地球を回ってる」 国立天文台調査
日本天文学会
2004年秋季年会:小学生の天文・宇宙に関する理解とその改善策の提案 −天動説支持者は4割−
日本天文学会
2004年秋季年会:小学生の7割は月の満ち欠けの理由を知らない 小4〜6年のアンケート結果より
これと直接の関係はないけれど、数日前、日本数学会や日本化学会などの理数系学会が連名で理数科目の授業時間を増やすことなどを盛り込んだ改革案を中央教育審議会に提出したという。
「ゆとり教育」の名の下に、小学校や中学校の義務教育課程が日本の教育にどのような影響を与えてきたかについては慎重に調べるべきだと思うし、改めるべきは改めるべき、と、思う。ただ、国立天文台の調査にしても、中央教育審議会の議論にしても、いささか議論が上滑りしているような感がある。
御用納めでまとまった時間が取れたので、書斎の本棚の古い雑誌を大量に処分しようとして、ふと、ある記事に目が留まった。今から約4年半前のSky & Telescope誌2000年9月号p.82の「Where Are the Young Astronomers?」(若い天文学者はどこにいる?)
この中に、前述の記事と同じ問題意識を持った統計が載っている。それもいまから5年以上も前のものだ。若い世代が天文学から離れる傾向というのは日本に限ったものではないことがよくわかる。
「最近の(2000年前後?)統計によると、オンタリオのヨーク大学の一年生1600人のうち53%は星占いをある程度信じている。これは1991年に行われた同様な統計の16%から急激に上昇している。」
「全米科学財団(NSF)が発行する『Science & Engineering Indicators 1998』によると、アメリカ成人の27%は太陽が地球の周りを回っていると信じている。半数以上は、地球が太陽の周りを一年で一周すると認識していない。」
この記事には、Sky & Telescope誌の購読者の年齢分布が年とともにどのように変わっているかのグラフも出ている。1979年から1998年の20年ほどの間に、購読者は急速に高年齢化している。全米の年齢別人口分布の中央値は平均寿命の延びとともに3歳ほど上昇しているが、同誌の購読者の年齢分布の中央値は12歳以上も急上昇している。
インターネットが普及を始めたのは1990年代半ば、だから、このグラフの傾向には直接の影響がないことが見てとれる。
この記事では、最近の若い世代は以前の世代と比べて天文学以外にも興味を持つ対象が増えていることを指摘している。それと、1960年代の米ソの宇宙開発競争が、天文に興味を持つ層を増やした影響も無視できないことが指摘されている。言い換えれば1980年代以降、若い世代が天文に興味を持つきっかけは、それ以前の世代に比べてかなり少なくなってきているように見える。
好きこそものの上手なれ。逆にいえば、好きでなければ、太陽が地球の周りを回っていようがその逆であろうが、関係ない、とも言える。
若い世代の天文学に対する興味の減少、は、日本に限った問題ではない。また、インターネットやハッブル望遠鏡の画像の普及などの表面的な現象の帰結、でもない。「若い世代が外の世界に興味を持たなくなるなにか」が、先進国に共通に蔓延しているように感じてしまう。
先の国立天文台の調査も、今後20年ほど、おなじ基準で続けていく必要があるだろう。中央教育審議会もまた、おなじくらい長いスパンで責任を持った議論を続けていくべきだろう。そして新聞記者は、同じくらい長いスパンの統計データをさまざまな場所から探しだして、もっと読みごたえのある記事を書くべき、だろう。
2004.08.14
子供向けの天体望遠鏡
最近、書店の店先でぱらぱらと雑誌「天文ガイド」を立ち読みしてみても、こういうバランスのよい、小さい子供にちょうどお勧めの天体望遠鏡って、なかなか見当たらない。と書いた。そしたらこのサイトにもYahoo検索などで「天体望遠鏡 低学年」などの検索ワードで訪れてくださる人が時々現れるようになった。
確かに30年前ならデパートの店頭で売っているような「名も無いメーカーの」天体望遠鏡といえば「買ってはいけない」ものの代名詞、のような存在、だった。そのころの宣伝文句といえば「倍率200倍、300倍」と、口径や架台に見あわないような高倍率。光学系の性能は悪く、星を見るとコマ収差や色収差がひどく、恒星が三角形に見えたり虹色に色がついて見えたりする。架台や三脚もグラグラで、高倍率で見ると星が視野の中で上下左右に自在に飛び回る。しかしそれは30年も前の話。「安物の望遠鏡を買っても失望するだけ」という認識はそろそろ改めるべき時期なのかもしれない。というお話。
最近、娘がとある抽選会のクイズに当選して、天体望遠鏡をゲットしてきた。ホームセンターや電気店の店先によく並んでいるような、廉価版の天体望遠鏡。箱には「Raymay RXA300」と書いてある。聞いたことも無いメーカーだ。
「どうせクイズの景品だから、そんなにたいした製品では無いだろう」とタカをくくって、娘と一緒に組み立て始めた。三脚を組み立てるためのネジなどがチープな選択だったので、さもありなん、と思って組み立てを続けるうちに、「むむ、これは...」と思うようになった。確かに素材はチープだが、望遠鏡が望遠鏡として動作するための最低限の機能が保たれるように、うまく設計されている。「この製品を設計した人物は、どこの品質をどう保つべきかを心得ているぞ...」 天頂プリズムや地上観測用レンズやムーンフィルタなどの付属品の心配りも充実している。
組み立てが終わって、早速、娘と望遠鏡を持って外に出た。重量約3kg。子供でも簡単に取り扱いができる重さ。あいにく、定番の月や火星や土星が見えない時間帯だったので、まずは手頃な高度にあった牛飼座の一等星、アークトゥルスを視野に入れてみた。「星がちゃんと点になって見える!」 当たり前に思えるかもしれないが、天体望遠鏡の光学系のテストとしては、恒星が視野の中央と端っこでそれぞれどのように見えるか、ほど、シビアなテストは無い。廉価版の望遠鏡としては光学系は見事合格!
架台も、クランプのネジがちょっと使いずらいことを眼をつぶれば及第点。小学生でも十分使える。
驚異的なのが、その値段。ネット検索すると、実売価格で1万円をちょっと切る程度。
Google検索すると、こんなサイトが見つかった。
去年書かれた記事のようだけど、管理人もこのページの作者のひめてんさんの「性能にかかわらない部分はウンと手抜きをして、逆に性能を上げる部分には材料を惜しまない」というご意見に同意する。この値段とこの重量でこの性能はすごい。小学生に買い与える「マイファーストテレスコープ」としては、実にバランスがよいと思う。子供が中学や高校に進んで、この望遠鏡では物足りなくなった時、自分で勉強をして、次にどんな望遠鏡を買うかを自分で考えればよい。そんな風に思える。
私の知人で、パーティの時などに
「スピーチとスカートは重要なポイントさえカバーしていれば、短ければ短いほど喜ばれる」
などとのたまわって、セクハラ寸前の失笑を誘うことを得意技にしている豪傑がいるが、「Raymay RXA300」は、この「スピーチの極意」をまさに地でいっている製品のように思える。
2004.06.05
星観望
抜けるような青空のいい天気が二日ほど続いたので、ふと思い立ってリニア彗星とニート彗星を見に行くことにした。
職場からの帰り道、7×50の双眼鏡を手に近所の山に車で登る。久しぶりに走るワインディングロードのヒルクライムにアクセルを踏む足にもリズム感が蘇る。
サーキット族が時折爆音をたてて猛スピードで駆け抜ける山道の脇の駐車場に車を停めて、黄昏の濃紺の空が暗くなっていくのを一人じっと待つ。標高は約500m。6月とはいえ、平地より温度が下がるので、軟弱にも車の中で暖をとりながら「アポロの宇宙飛行士達もこうやって狭いカプセルの窓から宇宙を見つめていたのか」などと、とりとめもなく想いを馳せる。カーステレオから流れてくる曲はお気に入りのイーグルス。「She packed her hopes and dreams, like a refugee...」
日没から一時間、車の窓から双眼鏡を出して捜索開始。両彗星とも見どころを二週間ほど過ぎているので、だいぶ暗くなっているはず...
リニア彗星の目印となるはずのウミヘビ座のα星、アルファードを見つけたときには、すでに西に大きく傾いて市街地の光芒の中に埋もれかかっていて、彗星を見つけることはできなかった。
ニート彗星の目印となるのはおおぐま座。前脚と後脚の間を注意深く探すこと10分ほど、双眼鏡の視野の中に、ぼうっとした光芒が浮かび上がった。思ったより明るい。注意して目を凝らさないと、恒星と間違えてしまう。天文雑誌と比べ合わせて位置を確認。どうやら彗星に間違いなさそう。
ニート彗星はこれからどんどん暗くなっていくものの、北斗七星に近づいていくので、場所さえわかれば望遠鏡などでも見つけやすい。リニア彗星はこのあと、西の空にどんどん沈んでいくので、よほど西の空が暗いところでないと、難しいかな。
宇宙ステーションからみる両彗星はどんなだろう。他の作業が忙しくて、天体観測どころじゃないのかな。
関勉さんに憧れて彗星ハンターになることを夢見ていた子供の頃を思い出しながら、ハンドルを握って家路についた。
2004.04.19
すばるで「惑星の誕生」観測
NHKニュースより。
すごい! ハワイにある日本の望遠鏡「すばる」が、恒星の周辺に渦巻き状にガスやチリが集まっている様子をとらえることに成功。天文台の詳しい発表はこちら。
台風の渦巻きや銀河系の渦巻きと同じような構造を見ると、なるほどなぁ、と思う。惑星誕生のきっかけも、この渦巻きのような疎密波がもとになっていたのかも。結論はまだでていないらしいが...
わかってみれば単純なことなんだけど、銀河系のレベルのスケールと太陽系のレベルのスケールで、同じような現象が起きるのがじつに興味深い。いわゆるひとつの自己組織化現象、ね。ついでにいえば台風もメカニズムはちょっとちがうけど、同じような疎密波、だよね。自然って不思議だ。
ン十年前、まだ高校生だった頃、歴史の授業が大嫌いだった。先生の話をぼうっと聞きながら、前の席に座っている女の子の黒髪に太陽の光があたって、信じられないくらいきれいな栗色に映っているのをぼうっと眺めてみたり、建物の影が机の上をじわじわと横切っていくのをぼうっと眺めてみたりしながら、詩を書いたりしていた。
今でこそ歴史って面白いと思えるけれど...いや、今日は歴史の話をするんじゃない。
「すばる」がとらえた太陽系生成のイメージを見て、当時の私の拙い詩を思い出したので、ご紹介。
*****
「始まり」
五十億年の昔
銀河系の局部宇宙に
多量の星間物質が集まりつつあった
中心部は発熱し
やがて
最初の光量子が空間をつらぬいた
太陽はまわる
—その自転運動
地球は回る
—その公転運動
銀河はまわる
—その収縮運動
宇宙は回る
—その膨張運動
回転軸は傾き
その四季は
地上にめぐみを与え——
机の上を
光の斑点が動いていった
ゆっくりと
西から東へ
これは
地球が急速に東へ傾きつつあることの
あかしだ
僕がそれを言うと
「お前はバカだ」
と笑った
「太陽はな
東から昇って西へ沈む
地球のまわりをまわっているのさ」
そうだ
彼が正しかったのだ!
太陽がその形を整えたとき
そのまわりを
九つの惑星がまわっていた
その三番目の星は
そのときすでに
不安定ながらも
より複雑なものを産み出す
奇妙な化合物が
誕生する可能性を
はらんでいたのだ
太陽は回る
—その公転運動
地球はまわる
—その自転運動
……………………
(1977 Dec. 7)
2004.04.04
土星の画像・天体望遠鏡・ISS
あまりに忙しくて、ここ一ヶ月ほど目を通してなかった野尻ボードのまとめ読みを開始。まだ途中だけど。
野尻ボードってのは優秀かつ面白いネタが満載で、目を離せない存在なのだけど、当事者の個性があまりに身内だけの仲良しサークル的(つまり日本人ムラ的)なので、私のような部外者にはちょっと距離感がありすぎる。
だけど、akiakiさんが見つけたこの土星の画像は素晴らしい。
私もしばし、初めて土星の輪を自分の天体望遠鏡で見た時の感動を思い出した。まさに、原点、ですよね。
***
私のそれは五藤光学の5cm屈折経緯台だった。もうとっくに製造中止だけど。光学系がしっかりしていて、マウンティングもやわなやつじゃないから視界が安定していて、それでいて小学生低学年が気軽に持ち運んでセッティングできる、じつに親しみやすい天体望遠鏡。
最近、書店の店先でぱらぱらと雑誌「天文ガイド」を立ち読みしてみても、こういうバランスのよい、小さい子供にちょうどお勧めの天体望遠鏡って、なかなか見当たらない。
そういえばこの間、毛利さんの日本科学未来館の土産物店で手製の望遠鏡組み立てキット「コルキット」が売られているのを見つけて、一人で大はしゃぎしていたら、息子がけげんそうな顔をしていたっけ。
***
米国の天文雑誌「Sky&Telescope」の連載コラム記事「Focal Point」の5月号にCharles L. Calia氏が「Space Ghost」と題して、父親が娘と一緒に蚊の大群の襲撃を受けながら、国際宇宙ステーション(ISS)が頭上を通りすぎるのをじっと待ち続ける場面を描写した記事が載っています。
なんだかちょっと映画「コンタクト」でジョディフォスターの幼い頃の子役(名前を失念)が父親と流星群を見るシーンとかを彷彿とさせるけれど、映画と異なるのはその後の展開。
Focal Pointの記事のほうは、蚊の襲撃に耐えて国際宇宙ステーションの通過を無事に見届けた娘が「もう家に帰ろうよ。」「お母さんに今夜のことを話してあげなきゃ。」
それを聞いた父親が喜んで「ほう、今夜見たことを話してあげるのかい?」と娘に聞くと、娘は「うん、コウモリが(見えたことが)好き。」と答えましたとさ。ちゃんちゃん。
***
そう言えば、選抜が終わって、ザーリャとノード1がドッキングした直後の、つまり、5年前の、組立直後の、国際宇宙ステーションしか見たことないなぁ>自分。久しぶりに見てみるか。子は親の感傷なんて、わかっちゃくれないだろうけどさ。
2004.03.28
野辺山の桜はいつ咲くの?
久しぶりに天文台マダム日記を見に行ったら
天文台はいま、桜の季節ですで「3月25日撮影」とあったので、「すご、三鷹はもう桜が満開なのか?」と思ったら、2002年の桜、でした。
天文台 桜 日記
(管理人おススメ)
3月22日の「更新状況」を見ると、
家の片づけもせずにHPにかまけていたら夫に離縁されてしまいそう...。なので、いまは我慢しています。(うるっ。)野辺山に行って落ち着いたら、ドドーンと放出したいなぁ。とり急ぎ近況報告でした。とのこと。お引っ越しまであと3日?ですね。野辺山について落ち着かれたら、桜の報告を楽しみにしてます。
...って、面識もないのになれなれしいやつ>じぶん m(__)m
2003.12.24
チェーン銀河団:70億年前の巨大銀河団形成の現場
すばるトピックス:「鎖状(チェーン)銀河団:70億年前の巨大銀河団形成の現場」
我々の銀河系からお隣りのアンドロメダ銀河までの距離の約2倍に相当します。わずかこれだけの空間に数百の銀河がひしめいています。
う〜ん、絶句。70億年前には宇宙ってもっと混雑してたのね。
2003.12.21
100万人のキャンドルライト
明日は冬至。
ココログルによると、Spiegelさんところでも紹介されていますが、明日は100万人のキャンドルライトです。夜8時から10時まで、電気を消して夜空を見上げてみましょう。お風呂にはゆずを浮かべて...
私は某所でリユニオン(同窓会)ですが... (笑






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