2014.12.31

2014年という年

2014年もあと少し。みなさんにとってはどんな1年だったでしたか。12月3日のはやぶさ2の打ち上げは感動的でしたね。今度はどんな小惑星の姿を見せてくれるでしょうか。

ESAの探査機ロゼッタが捉えたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の姿も印象的でした。着陸機「フィラエ」の彗星着陸は9年前のはやぶさのイトカワタッチダウンの興奮を思い起こさせるものでした。

今年は若田さんが日本人として初めてISSの船長をつとめました。日本人宇宙飛行士の存在感がはっきりと世界に認められた年であるとともに、国内では宇宙基本計画が安倍政権のもとで見直され、宇宙の安全保障への応用と測位衛星の民間利用促進など、科学探査や有人宇宙開発にはより厳しさを増した年ともなりました。

海外ではスペースXがファルコン9ロケットの回収と再利用計画やドラゴン宇宙船の開発、NASAとロッキード・マーチンが共同開発したオリオン宇宙船のテストがすすみ、ロシアが新型ロケットのアンガラの打ち上げに成功、中国は嫦娥五号が月の裏側を回って地球への帰還に成功、インドも有人宇宙船の開発に向けて地球周回軌道からのカプセル回収に成功するなど、いろいろな進展があった一年でした。

来年はどんな年になるのでしょうか。宇宙飛行士を目指す若い世代にとって新たな展望が開ける年であることを祈ります。

2012.12.31

去りゆく2012年

振り返ってみると今年のブログ記事は2本しか書いてなかった。

この間、公私ともにいろいろな変化があったけれど、自分にとって宇宙関連でのいちばん大きな変化は、スペースシャトルが博物館入りして過去のものになったこと、かな。

そして星出君二度目のフライト。日本人最長の船外活動。

サリー・ライド、アームストロング船長逝去。

時代はどんどんと先に進んでいくけれど、人間の心はそこまで急には変わらない。

日本の宇宙開発について語っておきたいことも増えているし、来年はすこしまとまった記事を書くつもり。

みなさまよいお年を。

5thstar管理人

2012.02.24

すべてはNYAISASのために

Twitterの宇宙クラスタの一部で絶賛されている、猫巻博士が主宰するNYAISASメールマガジン。ひょんなことから拙文を寄稿することになりました。テーマは「日本で宇宙飛行士を目指すということ」について。

 

***

 

……まずは自己紹介。高知県のとある田舎町で生まれ、夏は近くの小川で水浴び、冬は稲を刈り取った田んぼで自分で作った凧を揚げる、というワイルドな環境の中で、一人で黙々と遊ぶのが好き、という子供時代を過ごしました。曾祖父に肩ぐるまされて近くの国道で東京オリンピックの聖火リレーを見たりしたのが幼いころの思い出です。家の裏の道は砂利道で、オート三輪が土煙をあげてぶっ飛ばしていて、ときどき道路脇の田んぼに落っこちてました。 二十世紀少年かクレヨンしんちゃんに出てくるような高度成長期の日本の原風景ですね。万博に連れて行ってもらえなかったのが悔しい。こんにちわこんにちわ。

 

もとい。

 

小学2年生の秋に仲秋の名月が皆既月食になりました。お団子を食べながら眺めていた赤く暗い満月。しばらくすると父の書斎にあった雑誌の表紙に赤い月の写真が目にとまりました。その雑誌の名は「天文ガイド」。何気なく手にとってパラパラとめくってみたら……

 

***

 

続きはぜひNYAISASメールマガジンでお読みください。

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2012.01.27

Issac98リユニオン

先週の木曜日、H君から突然のメール。

…3人揃って日本にいるのは珍しく(初めて?)、ずっと不義理をしてきた3兄弟そろってのISSAC飲み会ができる機会と思います。そこで、申し訳ないのですが○○さんに調整をお願いできませんか?

唯一の障害?は、スケジュール。3人揃うのは、1/23(月)夕方以降のみ。……

一気に眠気が吹っ飛んだ。これは…99年の合格発表以来初めて三人が揃うのか?

すぐに受験仲間に連絡を取って、会場を確保。突然の飲み会で都合がつけられない人もいたけれど、最終的には総勢32名の飲み会となった。

Issac98 Reunion

中には遠く京都や神戸からこの飲み会のために駆けつけた人も。

受験から13年の時を隔ててみんなそれなりに歳を取っているはずなのに、かわらない。

貴重なインタビューや三人の写真も撮ることができた。

Sankyodai

三人それぞれの新しい未来に、乾杯。

2009.12.28

Twitter宇宙クラスタ忘年会

Twitterではそれぞれ趣味や興味の似通った人たちがお互いにフォローし合うので、いつの間にかいつも同じような顔ぶれで共通の話題についてつぶやいたり議論したりする機会が増えます。一種の自己組織化現象ともいえるこの集団を「クラスタ」と呼ぶことも。

宇宙開発や天文のネタをつぶやく人たちをまとめて「宇宙クラスタ」とか「天文クラスタ」と呼ぶことがあるのだけど、厳密にどこからどこまでが宇宙クラスタ、という厳密な定義はありません。自分自身が宇宙クラスタだと思っていればとりあえず宇宙クラスタでしょう。^^;

そんな宇宙クラスタの一部で「忘年会をやろう」という話が16日に持ち上がり、sorae.jpの@sorae_shunさんが幹事を引き受けてくれたので、26日、つくば市内の某所にて「Twitter宇宙クラスタ忘年会」が実現しました。

参加メンバーと詳細は@kazuhitoさんのブログ記事にて。

Ucbonenkai2009summerwinds

[追記] @summerwindさんもブログ記事を書かれてます。

途中から参加者が携帯やiPhoneで話の内容をリアルタイムでTwitterに投稿する「tsudaり」も始まり、ネットでその様子をフォローしていた@nyossiさんがtogetterにまとめるという、会場の中と外が一つになる異例の盛り上がりの忘年会となりました。

「オフレコ」に変わって「tsuda禁」とか、発言してもいないのに勝手にそのような発言があったかのように伝言する「捏造RT」とか、「捏造RTを捏造RTと見抜けないと(twitterを使うのは)難しい」という名言?まで飛び出すような、ちょっとかなり暴走気味の、とても楽しい忘年会でした。「次は松浦さん(誰)を招いて新年会だ!」という怪気炎も飛び出す中、明日の日本の宇宙開発はどっちへ向かうのか??

たのしかったです。リアルで参加された方もTLから参加された方もお疲れさまでした。また集まって呑みましょう!

2009.11.07

パズルの軌跡

「パズルの軌跡 穂瑞沙羅華の課外活動」読了。

Kiseki

映画にもなった機本伸司氏のデビュー作にして第三回小松左京賞受賞作「神様のパズル」の続編、という位置づけ。できの悪い物理学専攻の綿貫基一がやっと会社に就職したのもつかの間、やっかいな相談事に巻き込まれる。

前作で天才美少女で飛び級の大学生だった穂瑞沙羅華は、訳あって普通の女子高生としての日々を送っている。“ネオ・ピグマリオン”という怪しげな会社の社長からある依頼を受けた綿貫は、前回の事件以来、半年ぶりに沙羅華の家を訪れるのだが...

以下、ネタバレ注意。

***

「神様のパズル」のスピンオフ的位置づけである「神様のパラドックス」に出てきた樋川晋吾も脇を固めて独特の味わいを出している。が、ストーリー的には独立しているので、前二作を読んでいなくても特に問題にはならない。

読後感は、なんだろう、いささかとも戸惑ってしまう。これはSFではない。中で登場する科学技術はほぼ既存のもので、その気になりさえすれば実際に実現できてしまう。かなりマッドでゴスロリだけれど。

それと... ストーリーとは直接の関係はないが、設定の細かい部分でなぜかこのブログで多少なりとも触れてきたネタとも、かなりかぶる気がする。じつは著者はこのブログをちょくちょくチェックしているのではなかろうか、と、疑いたくなるほどだ。おらの頭の中を覗くなぁ〜(爆

それだけではない。このブログには書かなかったけれど、海外出張の際にこれまで2回ほど、飛行機の中で隣りの席に座った日本人の若者が私費を投じてこれから参加しようとしている自己啓発セミナーがいかに素晴らしいものであるか、延々何時間も説得をされた経験がある。この本の前半200ページほどを読んでいると、その時の若者達のなにか取り憑かれたようにしゃべる表情が思い起こされてきて、なんとも憂鬱な気分になった。機本氏がこの作品で掘り起こしたテーマは、日頃あまり話題になることはないが、まぎれもない現実の日本の姿の一つなのだ。

くだんの飛行機で乗り合わせた若者たちにビッグバンから始まる宇宙開闢の物語を延々と聞かせてあげたら、目を輝かせて食いついてきたので、管理人にもじつはそれなりのビジネスチャンスはあるのかもしれない...などと妄想するのはおいておいて、「自分とは何か」「宇宙とは何か」が裏テーマとなっている本作品は、まぎれもなく機本氏の真骨頂が発揮されている。

物語の後半は「007」シリーズのボンド役のようなアクションを出来の悪いワトソン役の「綿さん」がコミカルにこなしていく、のだけれど、ストーリー展開的にはおおむね予測できてしまう。沙羅華と綿さんの今後のシリーズ化に期待できそうなラストが救いと言えば救い。

どちらかといえばかなり地味めな作品だけれども、この作者の提示する問題意識は、じつはこのブログの裏テーマともかなりかぶる気がする。かつ、他の作者が提示しているのを見たことがない。ということで、星三つ。★★★☆☆

つばさ

出張で乗った飛行機の主翼たち。行きも帰りも似たような席だった www


しなる主翼 - YouTube動画
日本海上空で軽い乱気流に突入した時の動画。翼がよくしなる。

Img_0050
圧縮された空気が主翼上面で局所的に雲の層を作る

Img_0057
シベリア上空の夕日
(画面上方の起点は窓ガラスのフレア)

Img_0211
ヨーロッパ上空

2009.09.01

宇宙飲み in つくば

TwitterのTime Lineに一旦はまったら、RSSリーダーの未読も消化しきれなくなるほどに時間がなくなる件について。とか、いろんな話をしました。

管理人が昔からウォッチしていて、このブログにもときどきコメントを下さるKazuさんから、飲み会のお誘いをいただいたのが7月のこと。その後お互いいろいろ忙しくてお会いできませんでしたが、あのNASA TV.appの@summerwindさんとともに、昨日お会いすることができました。Kazuさんがすばらしくまとめてくださってますので詳しくはそちらにて。

Tsukubanomi

歴史的な政権交代が実現した今、我々受験仲間も日本の有人宇宙活動の今後についてのなんらかの「say」を持ったほうがいいのだろうなぁ、と、なんとなくゆるやかに盛り上がりました。

どういう形での活動がいいのかはわからないのだけれど、ものすごくパワフルな人たちの緩やかで一生続くつながりであることだけは確かなわけで...

まずはMさんいいだしっぺの、某ワークスでの合宿勉強会なんか、とても魅力的なわけですはい。

ちかぢか某機関からもビッグなニュースも飛び込んできそうな予感がするし。

時代が動きそうな、というか、動かす責務を負った年齢に突入したという、予感。

三次元に挑んだ人間は、みな、仲間ですよ>Kazuさん

[追記] summerwindさんも記事を書かれてました。今後ともよろしくです。

2009.07.18

重いコンダラ

運動不足、時差ぼけ、寝不足、夏バテ、の四拍子そろって、このところ絶不調記録絶賛更新中だったわけですが、さすがに身体のほうから「運動せよ」シグナルが上がってきて、かといって、このところの酷暑の中をいきなりジョギング再開したりすればてきめん熱中症でやられてしまうわけで、空調の利いた室内でちんたらエアロバイクをこいで、心肺・循環器系の回復につとめることに...

Aerobikemeter

かつてはただがむしゃらにがんばりすぎて、苦しいだけだった。重いコンダラ、試練の道を。そういえば昔はスポ根トレーニングといえば、山寺の階段をうさぎ跳びでぴょんぴょん登るなんていうトンデモシーンがよくありましたっけね。

映画「羊たちの沈黙」の冒頭で、ジョディ・フォスターが野山をジョギングするシーンがあって、映画を見た当時は自分にはとても真似できそうも無いと思っていたのに、今では主人公の気持ちにごく自然に感情移入できる。Long and Slow Distance。苦しくないペースを守りつづけること。心肺・循環器系が復調すると思考も前向きになってくるのが実感できる。宇宙飛行士受験を経験してよかったと一番実感するのが、ランナーズハイのこの瞬間。

20年前に9千円ほどで購入した中国製のエアロバイク。負荷の調整はホィールに布ベルトでブレーキをかける形式、回転数のモニタはバネ式のアナログメーター。なので電池も電源も不要。ということで、我が家ではもっともお手軽に運動不足解消に活躍している屋内トレーニング機器。やっぱりシンプルイズベストですなぁ。

14年前、筑波宇宙センターの宇宙飛行士養成棟の中に備え付けられた宇宙飛行士専用(?)のシャワーで汗を流して以来、トレーニングについての認識が180度変わってしまった。これも健全なる精神は健全なる肉体に宿る、でしょうか。

若田さんもエンデバーのクルーとして月末にはいよいよ帰還。宇宙ステーションにはベンチプレスもエアロバイクもトレッドミルもあるけれど、シャワーがない生活ってやっぱりきつそう。地球に戻ったら、やっぱり温泉いきたいでしょうねぇ。

年末にはいよいよ野口さんの番かな。がんばってくれ〜。

2009.07.04

これもSingularityなのか?

「The Singularity」といえば普通はレイ・カーツワイルがいうところの「特異点の後では科学技術の進歩を支配するのは人類ではなく強い人工知能やポストヒューマン」、まぁいわゆるターミネーターな世界観なわけですが、昨今のTwitter経由のNASA広報だとか、NASAのブログがいつの間にかこんなに一杯増殖していることやら、NASA初のバイリンガル宇宙飛行士Twitteristが登場したことやら、もはやとても一人の人間では追いきれない。

2009年はネット上の追跡可能情報流通量が特異点を通過した年として記憶されることになるのか?

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