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2013.08.27

ISASよ、よみがえれ

8ヶ月ぶりのブログ記事。ふと気がつけば、アームストロング船長が亡くなられた一周忌も過ぎていた。更新をさぼりがちでごめんなさい。

いよいよあと12時間ほどでJAXAの新型固体燃料ロケットイプシロンの打上げ。その前のM-V 7号機の打上げが2006年9月23日だから、ほぼ7年ぶりの鹿児島県内之浦宇宙空間観測所からの探査機打上げということに。

宇宙作家クラブ ニュース掲示板
No.1695 :イプシロン打ち上げ 26日午後1時からの記者会見
投稿日 2013年8月26日(月)14時15分 投稿者 松浦晋也

に松浦さんが記者会見の模様を掲載しておられますね。

共同通信「7年間の苦労を具体的に知りたい。」
森田プロマネ「M-Vより良いロケットを作るのは大変なことだった。M-V廃止はとてもくやしかったが、秋葉先生に「過去にとらわれずいいロケットを作って未来を開け」といわれた。M-Vより良いロケットを作るというのはどういうことかで3年は暗中模索だった。「ロケットを打ち上げる仕組みを変えることが大切なんだ」と気がついて、後は青春一直線で進むことができた。考えるべきはロケットの性能ではなく打ち上げシステムの改革だと気がつくのが大変だった。」
この間、関係者はいろいろと悔しい思いをされてきたことと思いますが、より「良い」ロケットとはどういうものかについて、深く悩む時間を持つことができたのは、結果的に日本のロケット界にとってとてもプラスになったのではないかと愚考します。

糸川博士が開発したラムダロケットが日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功したとき、管理人はまだ小学生でした。世界で四番目の人工衛星打上げ国となった日本の技術、すげーな、と大いに感動し、教科書やノートの片隅におおすみの絵をよく描いていたものです。

ただ、管理人は糸川博士以来の伝統である、カッパロケットからミューシリーズに至る「打上げごとにほぼ毎回、ロケットをペイロードにあわせてカスタマイズして最適の打上げを目指す」とでもいうべき思想(本番実験的精神?)には必ずしも傾倒しません。

ISASの伝統は理学系と工学系がそれぞれ知恵を出し合ってそれまで誰もなし得なかった観測や探査を他の国では真似のできない低予算で実行してきたことにありましたが、その黄金時代は1985年のM-3SIIロケットによるハレー彗星探査機「さきがけ」と「すいせい」の打上げまで。その後はM-Vの大型化とそれがもたらした衛星の大型化、システムの複雑化、一基あたりの予算増大に伴う打上げ機会の縮小、理学系と工学系の要求仕様の齟齬など、様々な歯車が微妙に狂いはじめます。

2003年の宇宙航空三機関統合が日本の航空宇宙産業にどのような停滞をもたらしたのかは今後の検証が望まれるところですが、管理人はあのタイミングでのJAXA発足は長い目で見れば新しい産業発展のためには不可欠な痛みであったと今でも考えています。

液体燃料ロケットと固体燃料ロケット、内之浦と種子島、MHIとIHI。官僚的目線からは一見無駄な投資のように見えるこれらの技術資産は、ロケットという極限環境の技術課題をそれぞれ異なるアプローチから解決するという日本の底力を象徴する存在であると思います。

日本の宇宙工学の発展を支えてきた第一世代が引退し、第二世代が活躍しつつある現在、JAXAはそれまでの相克を乗り越えて、輸送系や衛星系、宇宙科学・太陽系探査、衛星試験やインフラなど、それぞれの目的や課題に応じた真のシステム工学の総本山として生まれ変わってほしいと心から願います。

またISASは宇宙科学研究所の名前に恥じないよう、宇宙科学をさらに一歩先へ進めるためのしっかりとした技術とアイデア、そしてなによりも誰にも負けない科学探査へのモチベーションを抱き続ける研究所であって欲しいと願います。

なんのために探査機を宇宙へ送るのか。

その問いにずばり一言で答えられること。その気持ちが明日のISASを築いていくと管理人は考えます。

イプシロン初号機の打上げ成功を祈ります。

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