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2011.07.23

パイオニア・アノマリーの謎が解けた?

惑星協会からのメールで、パイオニア・アノマリーの謎が解けたらしいことを知る。

Pioneer Anomaly on the Verge of Solution - What We Do | The Planetary Society

パイオニア・アノマリーとは、NASAの惑星探査機パイオニア10号と11号がそれぞれ木星と土星の探査を終えて太陽系の外に向かって飛行を続けている際に、探査機が太陽の重力で減速される効果よりもわずかに強く減速されている事が探査機との通信の電波を解析した結果わかったことをいう。

パイオニア・アノマリー - Wikipedia

これはすごく小さなズレだけれど、ドップラー効果による解析なので、ほんのわずかなズレでも重力理論との比較が極めて精密にできる。1980年にNASA/JPLのJohn D. Andersonが初めて指摘して以来、30年にわたっていろいろな可能性が検討されてきた。重力理論がほんのわずか間違っている可能性、太陽系内に未知の天体がいてその重力の影響を受けている可能性、などなど。

惑星協会が会員から寄付を募って、1970年代の古いコンピュータの磁気テープをフォーマット変換して打ち上げ直後からのドップラー効果の詳細な変化を解析した結果、この減速の大きさは時間と共に減少している事が明らかとなった。

つまり、謎の減速は打ち上げ直後の方が強くて、時と共にだんだん理論値とのズレが少なくなっているという。

この減速の様子を説明するもっとも有力な説は、パイオニアが搭載している原子力電池の崩壊熱によるものらしい。

NASAの深宇宙探査機には、プルトニウム238の崩壊熱を熱電素子によって電力に変換する原子力電池が搭載されている。その熱はパイオニアのパラボラアンテナの裏面(地球から見て)などから宇宙空間に放出されるが、その放出のエネルギーがパイオニアを減速させているらしい事が今回の解析で明らかとなった。パイオニアの熱流量のコンピュータモデルをシミュレーションして突き止めたとのこと。

パイオニアは探査機全体を自転させて姿勢を安定させる「スピン制御」を行いながら太陽系の外に出た初めての探査機なので、この種類のドップラー効果の測定に適している。その後のボイジャーやガリレオ、カッシーニなどはフライホイールによる三軸制御で姿勢を保っているために、ドップラー効果の測定には誤差が大きく、解析には不向きという。

1970年代のSF映画に出てくるようなコンピュータの磁気テープを再解析することが可能になったことが今回の成果につながった。

管理人もこのデータのフォーマット変換にかかる費用に寄付をしたので、惑星協会からのお礼のメールで顛末を知ることができた。

解析チームとチームをまとめたSlava Turyshevさん、おめでとう&おつかれさま。

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