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2009.03.08

日本の惑星探査

「ああ、やっぱり」という気持ちと「はたして今がほんとうにその時期なのですか?」という気持ちと「その関係者は真相をどこまで詳しくかつ客観的にご存知なのでしょうか?」というところでしょうか。

私自身はアポロ世代であると同時に、プロジェクトXが見事にスルーしたおおすみ世代でもあるので、ラムダロケットおおすみさきがけすいせいはやぶさの偉業は大好きです。小田稔先生のすだれコリメーターによる白鳥座X-1の同定やその人柄にもすっかり感服しているし、早川幸男先生も素晴らしい研究者でした。

個人的には「日本の宇宙開発で内外からもっとも高く評価されている」という評価はISASに関する限り、はるかあすかひのでぎんが、などに与えられるべき、と考えており、これらは「世界で一番であることがなによりも重要視される」をまさに体現してきたプロジェクトでした。

これらの華々しい成果と比べると、のぞみやはやぶさはシステム工学的には発展途上の探査機であり、失敗学の観点からも慎重な再検討の余地が大いにあると感じています。それでものぞみが送ってくるはずであった火星の画像に期待し、はやぶさのタッチダウンに我がことのように興奮することができたのは、これらのプロジェクトに関わった人たちの、未知の領域へのチャレンジ精神に感動することができたことと、人類がまだ誰も見たことのなかった世界を見せてくれた、という、惑星探査の要素が大きかったからだと自分なりに理解しています。人間という生物は、活動の領域や行動の可能性を広げてくれる「探検」という行為が本能的に好きなのです。

以前、JAXA内部に「月・惑星探査プログラムグループ」が発足した、というニュースを聞いたとき、私はJAXAの組織図でこのグループがどこにどのように位置づけられたのかを確認してみて、「ああ、これはまずいな」と思いました。

JAXAは本部制をとっているので、経営企画部や情報システム部などが属する管理部門と、

・宇宙輸送ミッション本部
・宇宙利用ミッション本部
・有人宇宙環境利用ミッション本部
・研究開発本部
・宇宙科学研究本部

の5つの本部の他に

・航空プログラムグループ
・月・惑星探査プログラムグループ
・情報収集衛星システム開発グループ

の3つのグループがあります。

このうち航空プログラムグループの統括リーダは理事が兼任となっていますが、月・惑星探査プログラムグループの統括リーダはなぜかシステムズエンジニアリング推進室の情報化統括の方が兼務されており、理事から2ランク下がり、かつ管理部門の方が担当になっています。

これが何を意味するのかというと、月・惑星探査プログラムグループと理事会、執行役員会の間を取り持つパイプがきわめて細く、意思決定や組織運営におけるお互いの意思疎通がきわめて希薄であるように見えるということです。「独立性の高い自律的グループ」と言えば聞こえはいいですが、科研費やCREST, NEDOなどの競争的資金を自力で確保する覚悟がない限り、この組織図上の立ち位置では活路が見出せないように見えてしまいます。

私の個人的感想を言えば、「月・惑星探査」はその名の通り「探査」あるいは「探検」であって、「科学」と「宇宙開発」の中間に位置づけられるべき存在だと思います。つまり、世界初の成果だけが価値があるのではなく、またその成果は人類共有の知識の蓄積、というわけではありません。日本が独自にその技術を習得することにこそ意味があり、かつまた、過去半世紀にわたる惑星科学や太陽系形成の謎の理解が飛躍的に進化したことにより、太陽系内のどこにどのような資源があるのか、それらの資源を利用するにはどのような技術を開発しなければならないかを、今後半世紀もしくは1世紀にわたるビジョンで描き続けていくべきものと考えます。

JAXAの理事か執行役のどなたかに月・惑星探査プログラムグループの統括リーダを兼任していただくか、せめて経営企画部や情報システム部の責任者に探検の夢を共有してもらう必要があるでしょう。

特集:一流の事務部門を目指す
理研を日本の研究機関のモデルにしたい

事務部門にそっぽを向かれた研究者は、手足をもがれたも同じです。

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Comments

樋口氏ですが、平成20年3月31日までは理事を務めていた方のようですね

担当分野をみても「経営企画部」「国際部」「産官学連携部」とあり、むしろパイプは太い方のように見受けました。

↓のPDFファイルの10ページをご覧ください
http://stage.tksc.jaxa.jp/johokoka/jyohou/hyoka/data/H19/19houkokusyo.pdf

付け加えるのであれば、情報化統括の略称はCIOという話です。樋口氏は情報システム部長の上にいて、JAXA全体の情報を統括している方だと考えます。

http://stage.tksc.jaxa.jp/jxithp/jaxa/greeting.html

bn2islanderさま

情報ありがとうございます。なるほど、理事のお一人だったんですね。納得です。

ただ、教えていただいたwebには

>優れた情報技術を航空宇宙分野の研究開発に取り入れ、プロジェクトの信頼性の向上を図ることはもとより、これを支える事務的業務を含めたJAXA事業全体の効率化を図ることが、情報化事業のねらいです。

という一文があって、旧ISASの文化とはかなり違う部分、川口プロマネとはどううまくいってるのかなぁ、なんて、思ったりします。

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