日経BPネット:浮上した日本の有人月探査計画(2)
最近報道のあった日本の有人月探査計画に関して松浦さんが
宇宙分野を内閣府に持って行かれそうになっている文科省が、宇宙開発を内閣府に持って行かれることに対する牽制と「今、カードを切らずしてどうする」という意識とが組み合わさって有人月計画を出してきたという推測は、十分な整合性があるように思える。
という文章を書いていて、文部科学省が置かれている現状をおもんぱかるに、どうにも整合性を欠く議論だなぁと思っていたのだけれど、ふと気づいたことがある。
その前に松浦さん情報のまとめを。
・宇宙開発戦略本部事務局が、3月6日の宇宙開発戦略専門調査会・第5回会合に「先端的な宇宙開発利用の推進について(宇宙科学、有人宇宙活動、宇宙太陽光発電等)」という文書を提出した。
・その内容はこれまで文部科学省・宇宙開発委員会で審議されたり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提案してきた長期ビジョンなどと矛盾する点が多い(松浦談)
・官僚は、文書間の矛盾には敏感であり、可能な限り避ける。
・過去の文書との矛盾を放置したかのような文書を出すというのは、この文書が内容を十分練り上げる時間的余裕なしに作成され、会合に出てきたことを示唆する。
ここまでの情報は、今回の動きの震源地が文部科学省である可能性は希薄であることを示唆する。
・(松浦氏が)各方面に聞いてみると、今回の有人構想は、2009年に入ってから急に動き出したものらしい。
・同文書提出前後にJAXA内では上層部から現場に「現在保有する有人技術の種はどれか」という問い合わせが回ったらしい(松浦談)。
この状況から、JAXAにとっても寝耳に水の事態だったように見える(よくあることではあるけれど)。
で、気づいたこと、というのは、オバマ政権が発足してヒラリー・クリントン国務長官が初めての海外訪問先として日本を選んで2月16日に羽田空港に降り立った時のこと。この時、日本の女性宇宙飛行士、向井千秋さんと山崎直子さんが歓迎式典に出席したとのニュースが流れて「へぇ」と感心していたものだった。
この時、向井さんや山崎さんに出席を要請したのは誰か。海外からの要人の接待は内閣府や外務省マターであって、JAXAや文科省の舞台ではない。
ではなぜ向井さんと山崎さんが出席する必要があったのか。
ここから先は推測ですが、この時アメリカ側が麻生首相サイドに議題として持ち込んだパッケージの中に、「NASAの有人宇宙開発に参加する」という形の経済協力の要請があったのではないか。
100年に一度という未曾有の経済危機に見舞われているアメリカにとって、経済再建は最優先課題。事前の予測でもクリントン長官が日本に米国債の大量引き受けなどあの手この手の様々な経済支援を要求してくるのではないか、との観測が流れていた。
思い起こせば、日本の有人宇宙開発は1984年のロン・ヤス会談でスタートした。
宇宙と原子力、日本の安全保障と因縁の深い科学技術庁の栄枯盛衰の歴史と、さらに因縁の深い中曽根一族への取材敢行を希望します>だれ
一方私はこんな文書を解読中。本業が忙しいので遅々として読み進められないのだけど。
Wikileaks: Change you can download: a billion in secret Congressional reports
アメリカ議会の調査部が作った非公開の報告書だったものがネットで見られる。こういう文書が誰にでも見られる動きがあるところがいかにもアメリカ的民主主義だ。
重要なのがこれ:
Wikileaks: Congressional Research Service Report RL34487 - Japan’s Nuclear Future: Policy Debate, Prospects, and U.S. Interests
特に極秘情報などはないけれど、アメリカが日本の核開発についてどのように分析しているのかが第三者的視点でまとめらていて興味深い。
糸川博士と中曽根元総理との間になにがあったかについてもぜひ関係者ご存命のうちに。
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