テレビ世代
SONYが流しているTVコマーシャルがどうも気になる。
SONYのwebでチェックしてみると、このCMの初オンエアは4月7日のようだ。
何が気になるのかというと、大型液晶テレビでサッカーの試合を観戦して興奮しているのに、部屋には矢沢さん一人しかいない。
「ALWAYS 三丁目の夕日」や続編のヒットで昭和の時代のノスタルジアがもてはやされている一方で、家電製品の主力商品であるはずの大型液晶テレビのコマーシャルからは、家族の痕跡が消え去ってしまっていることを、この博報堂制作のコマーシャルは暗示している。
いったんそう気がついてみると、SHARPのAQUOSのCMをずっと担当している吉永小百合さんも、生活感のないショーウィンドウのようなリビングで一人で和服を着てテレビ画面を見つめているシーンがずっと続いている。
矢沢永吉さん、吉永小百合さん、東山魁夷画伯へのオマージュ、とくれば、これらの商品の対象購買層は40代後半から50代であることは明白だ。
日立のWoooが黒木瞳さん、PanasonicのVieraが小雪さんの起用、ということで、SONY、SHARPよりも対象年齢が5歳から10歳程度は若そうだけれど、各社とも大画面薄型テレビのコマーシャルにはもはや三丁目の夕日のような一家団欒の生活臭は微塵も出てこない。少なくとも20代、30代の人間がこの種のテレビの主力購買層でないことを、広告代理店は熟知しているようだ。それどころか老夫婦が二人で仲良く同じテレビ番組を見つめるシーンも出てこない。テレビはいつの間にか一人で見るメディアになっている。
最近のコマーシャルで例外といえばSONY VAIOのこれだけど、この一台でリビングに家族が戻ってくる、という設定がかえってあざとくて、テレビのパーソナルメディア化を強く意識させられてしまう構成になっている。この家族団欒CMもすっかりみかけなくなってしまった。
この記事を書いてから半年。小寺信良さんがこんな記事を書いた。
Yahoo NikkeiBP: アナログ波停止まで余すところ3年
〜アナログ放送の終わりは、テレビ世代の終わり
テレビは全く見られなくなるわけでもないだろうが、もう娯楽の中心ではなくなる時が来たのだろう。同感です。その兆候はもうとっくに広告代理店の人たちが感じ取っていたんですね。
これから先、もし宇宙飛行士が火星に一歩を記すことがあったとしても、アームストロング船長ほどには有名にならないような気がなんとなくする。世界中の人間が一つの画面を見つめたあの時代のあの熱狂は、もはや戻ってこないのだろう。日本中の人間が聞き取りにくい玉音放送に耳を傾けていた、あの暑い夏の一日と同じように。
そういえば「決断」は私も大好きな番組でしたよ>だれとはなく。特に第25話はおすすめ。
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