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2008.04.27

危機的状況だったソユーズの帰還

韓国人初の宇宙飛行士、イ・ソヨンさんがソユーズで打ち上げられたのは4月8日。国際宇宙ステーションに滞在して数々の実験をこなした後に、国際宇宙ステーションの船長で、米国人の長期宇宙滞在記録を更新したばかりのペギー・ウィットソン宇宙飛行士と、ロシアのユーリ・マレンチェンコ宇宙飛行士とともに帰還したのが19日。女性二人がソユーズで帰還したのは確か初めてのことですね。

この時、帰還モジュールは予定より475km手前の草原地帯に着陸し、管制部との通信も途切れて、しばし緊張に包まれたようですが、実は昨年10月に帰還したソユーズも同じような状況でした。

ソユーズ宇宙船は、軌道モジュール、帰還モジュール、推進モジュールの3つの部分から構成されていて、大気圏再突入の高熱に耐える耐熱板が装備されているのは、このうち真ん中の帰還モジュールの底の部分のみ。ソユーズは大気圏再突入の直前に、三つのモジュールをそれぞれ結合している爆裂ボルトに電気信号を送ってボルトを爆破させ、モジュールを分離することで、帰還モジュールだけが燃え尽きずに地上まで戻ってくる設計になっています。

帰還モジュールは紡錘形をしていて、通常の帰還では紡錘の底の部分が大気とやや斜めに接することで若干の浮力を生じさせて滑空することができます。スペースシャトルほどではないにせよ、着陸地点を多少は操縦によって選ぶことができます。また、再突入の際に大気の抵抗から受ける減速のGも和らげる設計です。

ところが、今回の帰還でも前回の帰還でも、帰還モジュールと推進モジュールが何らかの理由で正常に分離せず、推進モジュールがお尻にくっついたまま、帰還モジュールが耐熱板のない頭から再突入する、というトラブルがあったようです。

Spaceflight Now: Possible Soyuz separation problem under scrutiny

推進モジュールが分離しないままの再突入、というのは、実はソユーズ宇宙船では過去に何度もあったトラブルで、ソユーズ1号ではウラジミール・コマロフ飛行士が死亡する、という事故が起きています(直接の事故原因は、着地前に開くべきパラシュートがもつれて、モジュールが地面に激突したことによる)。

スペースサイト! 宇宙開発史 / 天文の話題:危機一髪の帰還

さらにソユーズ5号でもボリス・ボリノフ飛行士がこの状況に置かれ、一時は遺書を書いたものの、推進モジュールが奇跡的に分離、気温マイナス36度の極寒のシベリアに激しく不時着して重傷を負い、いつ来るかわからない救助隊を待つ間に近くの民家まで歩いて暖をとっていたとのこと。

ロシアの宇宙開発の現場の状況は、ほとんどメディアに出てくることはありませんが、枯れた技術(したがって信頼性も高い)であるかのように見えるソユーズ宇宙船も、その実態はなかなか悩ましいもののようです。

これからJAXAの宇宙飛行士選抜に応募しようとしている皆さんも、上記のリンク先の情報をよく読んで、家族の方と真剣に話し合ってください。いったん宇宙飛行士に選ばれてしまったら、あとは上司ともフライトサージャンとも本音ベースで打ち解けることはできません。当然のことですが、それぞれ立場が違うのです。家族の心理的サポートだけが頼りになるのですから。

[7/12追記] ソユーズTMA-10とソユーズTMA-11が連続で推進モジュールが分離しなかった件、同じ場所の爆裂ボルトが爆裂しなかったことが判明したそうです。問題のボルトは宇宙ステーションに係留中に宇宙ステーションの進行方向に向いているため、係留中に(デブリの衝突など?)なんらかの問題が発生した可能性があるとのことで、現在宇宙ステーションに係留中のソユーズから問題の爆裂ボルトを抜き取って地球に持ち帰って検査するための船外活動が行われました。爆発の危険性がある火工品を宇宙ステーションの船内に持ち込むのは異例のことです。

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