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2008.04.29

CAMUI @ SciencePortal

JSTのSciencePortalに載っている永田晴紀さんのCAMUIロケットの解説が素晴らしいですね。

SciencePortal:インタビュー 特別企画 永田 晴紀 氏「宇宙開発を小型化したい」第1回 第2回 第3回 第4回

この解説を読んで、以前理解できなかったGXロケットの報告書にあったヘリウム気蓄器というのがどういうものか、やっとわかりました。なるほど、世界初の液体燃料ロケットを作ったゴダード博士の設計への先祖帰り、というわけですか。「極低温液体用のバルブは重くて大きい」というところがミソ、ですね。

液体燃料に囲まれて配置された固体燃料が極度に冷やされることによる異常燃焼の問題で悩んでいた、というのも存じ上げませんでした。ブログではなにやら原因が特定できて突破口が開けた、という文章を目にしていたのですが、こういうことだったんですね。当事者は大変なのでしょうけれど、こういう試行錯誤は技術者魂の真骨頂という雰囲気がして、端で見ていて頼もしいです。

今まで「ハイブリッドロケットは火薬も液体燃料も使わないため、爆発しない安全なロケットです」という説明をそのまま鵜呑みにしていたんですが、2005年からは「爆発しても火薬類や液体燃料が飛び散って二次爆発を起こすことが無い、より安全なロケットです」という説明に切り替わっていたのも存じ上げませんでした。

液体酸素タンクの構造を見ると、CAMUIロケットは、下に向かっては燃焼を続けられないことが見て取れます。ロケットの平和利用という観点からも好感が持てる設計です。でも、タンクの構造がどうであれ、ロケットが大型化していく段階では、指令破壊のシステムをいずれは組み込む必要に迫られる(=システムが複雑化する)のは、リスク対応のためには避けられないように思うのですが、どうなのでしょうか。日本人は数名の優秀なスタッフによる素晴らしいチームを作り上げるのは得意ですが、数十名〜数百名の優秀なスタッフが集まると...

LNGロケットも、CAMUIと同様に「黎明期の試行錯誤」をくぐり抜けてきていれば、また違った展開もありえたように思います。国家予算執行の時間的制約や民間との契約の事務手続き上の複雑怪奇な縛りがなければ、というか、本来、基礎的な技術開発とは、技術者の柔軟な試行錯誤を許容するシステムでなければならないと思うのですが...

iPS細胞の山中教授の提案が学者のピアレビューにうまく収まらなかった問題とあわせて考えると、いろいろとシステムの改善が必要な問題ですね。

CAMUIロケットの今後のますますのご発展を祈念いたします。

2008.04.27

パソコン壊れた... (;_;)

先月末に某MS帝国の悪口を書いたから、というわけでもないのだろうけど(いや、ないはずなのですが...)、今月に入ってからWindows XP搭載パソコンの調子がおかしくなって、スタンバイから復帰しなくなった。電源強制OFFとかしながらしばらく様子を見ていたら、一週間ほど経って、とうとう電源が入らなくなってしまった。(;_;)

6年前に5万円で買ったパソコンだしなぁ、そろそろ潮時かなぁ、でもメモリも増設したし、スペック的には今もそんなに変わらないんだよなぁ... とか考えているうちに、お亡くなりになる直前の挙動がなんともアナログ的だったので、直感的に「もしかしたら直せるかも」と、箱の中をあけてみた。

まずはボタン電池が消耗した可能性を疑って、テスターで電圧を測ってみたけど、まだ生きている。試しに新品の電池と交換してみてもやっぱり起動しない。

ふと、CNET Japanのこの記事のことを思い出して、マザーボードに並んでいる電解コンデンサを目視で確認したら、ずばり、2個の電解コンデンサの頭から中の電解液が吹いた跡があった。(;_;)

コンデンサのスペックを確認してみようと、マザーボードを外してしげしげと眺めてみる。

Capacitor

「1000μF 6.3V」とあるので早速ぐぐってみると、なんともそのものずばりなページがヒットする。

電解コンデンサの大量死 テンプレサイト
問題のコンデンサ
コンデンサ液漏れ関連用あぷろだ

このページによると、

2001年後半から2002年前半にかけて製造された、台湾製電解コンデンサが問題だという。電解液の成分に欠陥があるようで、早いものでは1年とちょっとで膨張などのトラブルが発生する。そのまま使い続けると、破裂などにつながる。ホコリ掃除も含めて、ときどきマザーボードの点検をしたほうがよさそうだ。
とあるので、コンデンサの頭の防爆弁の形状などを眺めてみるものの、台湾製のコンデンサーとはマークが合致しない。もっと調べてみると、どうやら今回吹いたのはなんと、松下電器産業株式会社製らしい。四角い枠の中に「M」のマーク。

日本製の電解コンデンサーでも不良になるのかぁ、と思って、いろいろとにわか勉強してみると、

日本ケミコン株式会社における電解コンデンサ技術の特許

いやぁ勉強になります。こんなページもありました。現代のIT社会をそんなところとかあんなところとかで支えている縁の下の力持ち、電解コンデンサーには、液漏れやドライアップという寿命があるんですね。ということは、壊れたパソコンを拾ってきて、だめもとで数十円の電解コンデンサーを交換してみるだけで、パソコンが直るケースにも、運が良ければ遭遇するかも。CPUの動作電圧が下がってマザーボードが供給するべき電流が増加した2002年頃が狙いめのようで。三洋電機のサイトには、電解コンデンサーよりも特性の良いOS-CONの資料まであります。

電解コンデンサーといえば、子供の頃、ラジオを作る傍らで100Vのテーブルタップの先にコンデンサを差し込んでおいて、離れたところからテーブルタップのもとをコンセントに差し込むと、「ボンっ」という鈍い音と、独特の油のニオイともにコンデンサが爆発するのを楽しんでいた時代がありましたっけ。ごめんなさいもうしません(よいこはまねをしてはいけません)。

当時の電解コンデンサーには有害なPCBが電解液の中に含まれていた訳で、それを家の中に巻き散らかして... 今にして思えば極悪非道の遊びですね。^^;

ふと、SELENE(かぐや)でコンデンサの極性が間違っていたのが打ち上げ直前にみつかって、修理のために打ち上げが延期になった件を思い出した。かぐやに搭載されているのはどんなコンデンサーなのでしょうか。まさか一個数十円、というわけではないだろうけれど、その一個が壊れただけで衛星全体の機能が麻痺してしまうかもしれないわけで、マイナス百度以下からプラス百度以上の過酷な温度環境で電子機器を保護しながら運用できるように設計しなければならない宇宙開発業界の人々を改めて尊敬。

しかしそう考えてみると、大学生の時に買ったアナログ地上波のテレビが、調子は悪いけれども30年近く経った今でもちゃんと使えるのは考えてみれば驚異、ですね。政府の地上波デジタル移行政策によって国民の財産が無理矢理粗大ゴミにされてしまうまで天寿を全うしそう。いやもっと驚異なのはボイジャー1号、2号か。

我が家のパソコンは、ネットの評判をみて日本ケミコンのKZEシリーズあたりを通販で買い求めて試してみようかと思います。もし送料込みで数百円程度で直るものなら...

続きはブログで...

危機的状況だったソユーズの帰還

韓国人初の宇宙飛行士、イ・ソヨンさんがソユーズで打ち上げられたのは4月8日。国際宇宙ステーションに滞在して数々の実験をこなした後に、国際宇宙ステーションの船長で、米国人の長期宇宙滞在記録を更新したばかりのペギー・ウィットソン宇宙飛行士と、ロシアのユーリ・マレンチェンコ宇宙飛行士とともに帰還したのが19日。女性二人がソユーズで帰還したのは確か初めてのことですね。

この時、帰還モジュールは予定より475km手前の草原地帯に着陸し、管制部との通信も途切れて、しばし緊張に包まれたようですが、実は昨年10月に帰還したソユーズも同じような状況でした。

ソユーズ宇宙船は、軌道モジュール、帰還モジュール、推進モジュールの3つの部分から構成されていて、大気圏再突入の高熱に耐える耐熱板が装備されているのは、このうち真ん中の帰還モジュールの底の部分のみ。ソユーズは大気圏再突入の直前に、三つのモジュールをそれぞれ結合している爆裂ボルトに電気信号を送ってボルトを爆破させ、モジュールを分離することで、帰還モジュールだけが燃え尽きずに地上まで戻ってくる設計になっています。

帰還モジュールは紡錘形をしていて、通常の帰還では紡錘の底の部分が大気とやや斜めに接することで若干の浮力を生じさせて滑空することができます。スペースシャトルほどではないにせよ、着陸地点を多少は操縦によって選ぶことができます。また、再突入の際に大気の抵抗から受ける減速のGも和らげる設計です。

ところが、今回の帰還でも前回の帰還でも、帰還モジュールと推進モジュールが何らかの理由で正常に分離せず、推進モジュールがお尻にくっついたまま、帰還モジュールが耐熱板のない頭から再突入する、というトラブルがあったようです。

Spaceflight Now: Possible Soyuz separation problem under scrutiny

推進モジュールが分離しないままの再突入、というのは、実はソユーズ宇宙船では過去に何度もあったトラブルで、ソユーズ1号ではウラジミール・コマロフ飛行士が死亡する、という事故が起きています(直接の事故原因は、着地前に開くべきパラシュートがもつれて、モジュールが地面に激突したことによる)。

スペースサイト! 宇宙開発史 / 天文の話題:危機一髪の帰還

さらにソユーズ5号でもボリス・ボリノフ飛行士がこの状況に置かれ、一時は遺書を書いたものの、推進モジュールが奇跡的に分離、気温マイナス36度の極寒のシベリアに激しく不時着して重傷を負い、いつ来るかわからない救助隊を待つ間に近くの民家まで歩いて暖をとっていたとのこと。

ロシアの宇宙開発の現場の状況は、ほとんどメディアに出てくることはありませんが、枯れた技術(したがって信頼性も高い)であるかのように見えるソユーズ宇宙船も、その実態はなかなか悩ましいもののようです。

これからJAXAの宇宙飛行士選抜に応募しようとしている皆さんも、上記のリンク先の情報をよく読んで、家族の方と真剣に話し合ってください。いったん宇宙飛行士に選ばれてしまったら、あとは上司ともフライトサージャンとも本音ベースで打ち解けることはできません。当然のことですが、それぞれ立場が違うのです。家族の心理的サポートだけが頼りになるのですから。

[7/12追記] ソユーズTMA-10とソユーズTMA-11が連続で推進モジュールが分離しなかった件、同じ場所の爆裂ボルトが爆裂しなかったことが判明したそうです。問題のボルトは宇宙ステーションに係留中に宇宙ステーションの進行方向に向いているため、係留中に(デブリの衝突など?)なんらかの問題が発生した可能性があるとのことで、現在宇宙ステーションに係留中のソユーズから問題の爆裂ボルトを抜き取って地球に持ち帰って検査するための船外活動が行われました。爆発の危険性がある火工品を宇宙ステーションの船内に持ち込むのは異例のことです。

2008.04.18

アムステルダム再訪

Amsterdamcentralstation

写真は丸の内南口方面から見た東京駅です......?

なんてわけはなくて、アムステルダムに来ています。

東京駅はアムステルダム中央駅を真似て作られた、とどこかで聞いたことがあるのですが、よくよく較べてみると、違いますね。Wikipediaによると

かつて、アムステルダム中央駅は明治の初めに東京駅を作る際のモデルになったという俗説があったが、根拠はなく、1988年以降藤森照信らを始めとする西洋建築研究者により、設計者の系譜、建築様式の両面から、現在ではほぼ否定されている(デザインがまったく異なり、見比べれば一目瞭然である。)。
だそうです。へぇ。

アムステルダムを初めて訪れたのは、前回の選抜に落ちた2000年。ESA/ESTECを案内してくれた人に聞いたところによると、ESAでは宇宙飛行士選抜の際には過去の受験生に「また受験してね」と声をかけるとのことだけど、ほんとかなぁ。

そのESAもまた、NASAのASCAN募集にあわせてヨーロッパの宇宙飛行士を募集するとのことです。

ESA: ESA to recruit new European astronauts

詳細の発表は5月19日とのこと。ヨーロッパ国籍をお持ちの方、いかがですか?

Amsterdamnight


2008.04.15

Yuri's Night 2008 @ 日本科学未来館

12日の土曜日、日本科学未来館で開かれたYuri's Night 2008 @ 日本科学未来館に行ってきました。

Alien_2

未来館は折しもエイリアン展の真っ最中。もしかして長沼センセもいたりして。でも脇目もふらずに会場となっている7階のみらいCANホールへと直行。

300名収容のホールに100人ほどの観客。思ったよりちょっと寂しいかな。

14時からの第1部はトークショー。ナビゲーターは元TBS宇宙特派員で、秋山さんのバックアップを勤めていた菊地涼子さん。ゲストは漫画「プラネテス」著者の幸村誠さん、小説「家なき鳥、星をこえるプラネテス」著者の常盤陽さん、カップヌードルの宇宙ものCMでおなじみの「FREEDOM」シリーズの構成を担当する佐藤大さん、の3名。「宇宙旅行を中心に未来について考える」をテーマにぶっちゃけトーク。

第2部は日本宇宙エレベータ協会理事長の大野修一さん、SpaceNews.jp編集長で今回のイベントの主催者の一人、大島佳世子さん、ライブドアホールディングス元取締役で、ネット企業「小僧com」代表取締役、Virgin GALACTICで日本人として初めてサブオービタルフライトに挑む予定の平松庚三さんの3名による講演。

正直、事前の予測では「JAXA関連の人が出てこない宇宙イベントってどうよ」と半信半疑だったのですが、とてもいい意味で裏切られました。いやめちゃくちゃ面白いじゃないですかこれ。こんな宇宙ものもありっすよ、あり。大島さんはじめ主催の皆様、ご苦労様でした。すばらしいイベントをありがとうございます。

ちょっとしまったと思ったのは、デジカメを持ってくるのを忘れたこと。orz なので、その場しのぎの携帯カメラでご紹介。

Talkshow

圧巻はなんといっても前半のトークショー。初対面だという幸村さん常盤さん佐藤さんがすっかり意気投合して、「男三人の修学旅行状態」に菊地さんが楽しげにペースメーカーとして乱入。

新宿ロフトのロケットまつりは出たことがないのだけれど、あれの「アニメ製作舞台裏版」とでもいうのでしょうか。ここでしか聞けないようなぶっちゃけトークの炸裂の連続。宇宙開発業界の人たちからは聞いたことのないような視点が連続で炸裂して、腹の皮がよじれました。(w

たとえば、タバコを吸うことができない宇宙、という件について。宇宙飛行士選抜を受験したメンバーは基本、タバコを吸わないので気がつかなかったけれど、タバコが吸えないから宇宙へは行かない、という理由。なるほど。宇宙観光旅行を普及させるためには「宇宙で吸うことができるタバコ(または代替品)」の開発は必須になるかと。人間には三大欲求の他に「タバコ欲」なるものがある、と。

月や火星に人を送り込むぞと宣言するNASAって、実は一流のエンターテイナーなのではないかという件。

リアルさにこだわる幸村さんが描く船外活動用宇宙服のヘルメットがなぜリアルではなく金魚鉢スタイルなのかという件。登場人物の表情をいろんな角度から描きたかったからとか。

小僧comの平松さんのお話もエネルギッシュで楽しかった。いや、あれくらい突き抜けて生きてみたいもんです。

イベント終了後、菊地涼子さんにご挨拶できたのがいちばんの収穫かな。秋山宇宙飛行士のバックアップをつとめた菊地さんには、ぜひいろいろなお話をお伺いしたいのだけれど、そのうちぜひ受験仲間とのリユニオンでも。

sorae.jpのSHUNさんとも初めてお会いすることができました。今後ともよろしくお願いします。

夜は別の予定があったので、懇親会には出られませんでしたが、関係者の皆様、お疲れ様でした & 楽しいイベントをありがとうございました。

2008.04.09

宇宙飛行士の身長

3月31日にJAXAが宇宙飛行士候補者の募集要領を発表しました。

読んでみてまず感じたことは、「いろいろと細かい説明がずいぶんと増えたなぁ」というもの。若田さんの時、野口さんの時、古川さん星出さん角野(山崎)さんの時、と、時代とともに細かい規定が増えてくる気がする。まぁそれはさておき。

今回、一番驚いたのは、身長の規定がずいぶん厳しくなったこと。

昔、本家サイトのゲストブックに「身長が145しかありません。宇宙飛行士にはなれないでしょうか・・・」という質問が寄せられたので、こんな記事を書いたことがあります。当時は宇宙飛行士訓練についてもまだあまり突き詰めて考えてみたことがなかったので、あれから5年経って振り返れば、我ながらずいぶんと無責任なことを書いたものだと反省。

で、改めて平成10年度の「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士候補者募集要項」を取り出して比較してみました。

平成10年度版では、

**********
4.応募条件
.....
(6) 宇宙飛行士としての訓練活動、長期宇宙滞在等に適応することのできる医学的、心理学的特性を有すること。
 1) 医学的特性
  身長:149cm以上193cm以下
  血圧:最高血圧140mmHg以下かつ最低血圧90mmHg以下
  視力:両眼とも裸眼視力0.1以上かつ矯正視力1.0以上
  色神:正常
  聴力:正常
  その他心身ともに健康であり、宇宙飛行士としての業務に支障のないこと。
 2) 心理学的特性
  協調性、適応性、情緒安定性、意思力等国際的なチームの一員として長期間宇宙飛行士業務に従事できる心理学的特性を有すること。
**********

それが今回の募集ではこうなりました。

**********
4.応募条件
.....
(7) 宇宙飛行士としての訓練活動、長期宇宙滞在等に適応することのできる以下の項目を含む医学的、心理学的特性を有すること。
 1) 医学的特性
  身長:158cm以上190cm以下
  (注:宇宙服を着用して船外活動を行うには、約165cm以上が必要です。)
  体重:50kg~95kg
  血圧:最高血圧140mmHg以下かつ最低血圧90mmHg以下
  視力:両眼とも矯正視力1.0以上
  (注:裸眼視力の条件はありませんが屈折度等の基準があります。屈折度:+5.50~-5.50ジオプトリ以内、乱視度数:3.00ジオプトリまで、左右の屈折度の差:2.50ジオプトリまで。また、平成20年6月20日時点で、PRK手術・LASIK手術の後、1年間以上を経過して恒久的な副作用がない場合には医学基準を満足します。それぞれ医学検査時に評価します。)
  色覚:正常
  聴力:正常
 2) 心理学的特性
  協調性、適応性、情緒安定性、意志力等国際的なチームの一員として長期間の宇宙飛行士業務に従事できる心理学的特性を有すること。
**********

裸眼視力の条件が緩和されたのは多くの人にとって朗報だけれど、やはりPRKやLASIKの視力矯正手術は、去年の6月20日以前に受けた人でないと基準を満足しないというのは、ちょっとだまされたような気分になる人も多いのではないでしょうか。日本には近視の人が多いだけに。

前回は体重の条件がなかったのに、今回から加わっているのは、ソユーズ宇宙船の大気圏再突入の際の安全基準ということらしいです。大気圏再突入の際にカプセルが大気から受ける揚力と重力のバランス、他の宇宙飛行士との体重差による重心の移動、あるいは着地寸前に逆噴射するロケットの推力の調整能力との関係などからなのでしょうか。今回選抜される候補者がスペースシャトルではなく、ソユーズで国際宇宙ステーションに送り込まれる可能性が高くて、そのための訓練をロシアで(も)受ける必要があることを強く示唆していますね。ちなみに、今回の合格者がNASAで一緒に訓練を受けることになる宇宙飛行士候補生(ASCAN)のNASA側の応募要項には、体重の項目はありません。NASAは太っ腹なのか??

一方、身長制限が今回「158cm以上190cm以下」と狭くなったのは、そのNASAのASCAN募集の条件62インチ(157.48cm)〜75インチ(190.5cm)をJAXAがそのまま採用したから、のようです。内部の関係者でも混乱しているようで「ソユーズの基準が適用されるから(変更された)」と考えている人もいるようですが、JAXAの宇宙飛行士募集係に電話でたずねたところ、「NASAのASCAN募集の条件が変わったから」との回答でした。ちなみにソユーズの宇宙飛行士に求められる最低身長は係の人によれば150cm。

最近の日本人の体格は戦前と比べるとかなり良くなっているとはいえ、190cmを超える人はあまりいないと思いますが、下限の158cmというのは、日本人女性の平均身長くらいになります。

ということは、この項目ひとつだけで、女性の半分が不適格、ということになってしまうわけで、「国際宇宙ステーションのパートナーである日本固有の状況をNASAに配慮してもらうように働きかけなかったのですか?」と係の人に聞いてみたところ、「宇宙船を日米で共同開発するなどの話でもなければ難しい。次期有人宇宙船はNASAが開発するものですし」との苦しそうな答え。

もともとアメリカ人は体が大きいので、船外活動用の宇宙服もサイズが大きいものしかなくて、水中での無重力訓練でも、山崎宇宙飛行士が宇宙服を着ている姿を見ると、大変そう。水中訓練は無重力の感覚をとてもよく再現できるらしいのだけれど、体が服に比べて小さいと、いったん体が傾くと、服の中の空気が移動して浮力のバランスが崩れて、体が回転を始めるらしい。「船外活動を行うには、約165cm以上」という条件はここからきているらしいのだけれど、一方で、国際宇宙ステーションの任務は船外活動以外にも貢献できる分野があるということと、今回の土井さんのミッションで、デクスターという特殊ロボットアームも配備されたので、これからは国際宇宙ステーションでの船外活動の必要性はだんだん低下してくるものとも考えることができます。

それにしても、若田さん宅でお会いした向井さんは、山崎さんよりも一回り小さかったと記憶しているのですが、今回の基準についてどのようにお考えなのでしょうか?

Mukaisumino

もちろん、日本が独自の有人宇宙ロケットとか独自の宇宙服を持っていれば、こんな悩みはなくなるわけですが、よくよく考えると、単に宇宙船や宇宙服だけの問題ではないようにも思えてきます。

スペースシャトルの座席のサイズ、シミュレーターの座席のサイズ、ASCANの訓練に用いられるT-38ジェット練習機の座席のサイズ、その他、ありとあらゆるものが、アメリカ人の標準体型(それもどちらかといえば男性の)にあわせて設計されています。

NASAは今回募集する宇宙飛行士を、次世代宇宙船を使って月や火星にも送り込みたいと考えているでしょう。国際宇宙ステーションに搭乗する日本人宇宙飛行士のために、訓練設備のサイズを特別に配慮することは、予算上も厳しくなっていると考えられます。映画「アポロ13」でも有名な宇宙飛行士の訓練用ジェット機T-38も、配備からすでに50年近く経っていて、そろそろ後継機種の選定に入らないといけない時期になっていますが、その後継機種もまた、アメリカ軍パイロットの体格に合わせて設計されている可能性が高いでしょう。

宇宙飛行士の身長というのは、いろいろな要素が複雑に絡み合っていて、単純には論じられない問題ですが、それでもなお、日本は国際宇宙ステーションのパートナーなのです。今回のJAXAの募集が海外パートナーの条件変更のあおりで、日本人にとって極端に敷居が高いものにならないことを切に願います。

[追記]

宇宙服を着たプールでの訓練の内容に詳しい人からこんなご指摘がありました。

水中訓練では、宇宙服の中に空気がたくさんあると、体の姿勢をかえるごとに、浮力のバランスが崩れて体を安定させるのに力を要するのですが、出来るだけ宇宙服の中の空気を減らすように、中につめるパッドがいろいろ種類があり、カスタマイズできます。本番(宇宙)ではそういう問題はないので、訓練時にハンディをおって練習している分、実際に宇宙に行くと小柄の人はより効率よく作業ができる、とNASAの宇宙飛行士が語っていました。

なので、小柄な人もめげずにがんばりましょう!!!

とのことです。

2008.04.05

幕末古写真

Imamuraの日記経由:

幕末古写真ジェネレーター

確かにこりゃなかなか味があって面白いですね。

のぐっちゃん胴上げの写真を古写真にしてみました。

Sangoku2k

オリジナルはこちら

PS友の会発見!

このサイトを「宇宙飛行士になりそこなった」という検索ワードで訪れた方がいらっしゃったおかげで、旧NASDAの記念すべき第1回の宇宙飛行士選抜の受験生の会、「PS友の会」のメンバーの方のページを発見!

宇宙飛行士になりそこなった話

いやしかしこりゃ... びみょーなサイトですね。^^;

あの時、最終選抜に残ったメンバーの情報がどこからマスコミに漏れてしまったのか、旧NASDAは犯人探しにやっきになっていたけど、たしか謎のままだったかと。向井さんをモデルにした「女の一代記『向井千秋~夢を宇宙に追いかけた人~』」でも確かマスコミに情報が漏れた場面が再現されていましたね。

1984年から1985年にかけて行われた、日本初の宇宙飛行士選抜は、管理人から見れば伝説の時代だったんですが、いやしかしこりゃ... ご本人がカミングアウトしていらっしゃる... (www

いまから宇宙飛行士選抜に応募しようとしてる皆さん,他の受験生の個人情報や、JAXAの選抜情報を漏らしちゃだめですよ。

2008.04.01

ふぉくすけぬいぐるみが国際宇宙親善大使に

宇宙空航研究開発機構では、ふぉくすけぬいぐるみを「国際宇宙親善大使」として正式に採用する見込みであることが、1日までに明らかになった。山崎直子宇宙飛行士がふぉくすけぬいぐるみをマツド市長に直接手渡すなど、国際宇宙ステーション登場宇宙飛行士として採用された3名がそれぞれ記者会見を開き、明らかにした。ふぉくすけのつぶらな瞳と、オープンソースプロジェクトに対する偏りの無い姿勢が国際共同プロジェクトに最適であるとして評価された。

空航機構では今後、NASAのきびしい安全基準などをクリアすることを確認の上で、国際宇宙ステーションに登場する日程をNASA、ロシア宇宙局、ESAなどと調整していく予定。

Sumino2ss
マツド市長にふぉくすけぬいぐるみを手渡す山崎宇宙飛行士
Credit: JaXa

Sumino1ss
マツド郵便局では訪れた市民にふぉくすけが配られた
Credit: JaXa

Hoshides
記者会見する星出宇宙飛行士
Credit: JaXa

Furukawass
ふぉくすけぬいぐるみに目を細める古川宇宙飛行士
Credit: JaXa

なお、このニュースのソースは不明です ;p

Happy April Fool!

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