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2008.04.29

CAMUI @ SciencePortal

JSTのSciencePortalに載っている永田晴紀さんのCAMUIロケットの解説が素晴らしいですね。

SciencePortal:インタビュー 特別企画 永田 晴紀 氏「宇宙開発を小型化したい」第1回 第2回 第3回 第4回

この解説を読んで、以前理解できなかったGXロケットの報告書にあったヘリウム気蓄器というのがどういうものか、やっとわかりました。なるほど、世界初の液体燃料ロケットを作ったゴダード博士の設計への先祖帰り、というわけですか。「極低温液体用のバルブは重くて大きい」というところがミソ、ですね。

液体燃料に囲まれて配置された固体燃料が極度に冷やされることによる異常燃焼の問題で悩んでいた、というのも存じ上げませんでした。ブログではなにやら原因が特定できて突破口が開けた、という文章を目にしていたのですが、こういうことだったんですね。当事者は大変なのでしょうけれど、こういう試行錯誤は技術者魂の真骨頂という雰囲気がして、端で見ていて頼もしいです。

今まで「ハイブリッドロケットは火薬も液体燃料も使わないため、爆発しない安全なロケットです」という説明をそのまま鵜呑みにしていたんですが、2005年からは「爆発しても火薬類や液体燃料が飛び散って二次爆発を起こすことが無い、より安全なロケットです」という説明に切り替わっていたのも存じ上げませんでした。

液体酸素タンクの構造を見ると、CAMUIロケットは、下に向かっては燃焼を続けられないことが見て取れます。ロケットの平和利用という観点からも好感が持てる設計です。でも、タンクの構造がどうであれ、ロケットが大型化していく段階では、指令破壊のシステムをいずれは組み込む必要に迫られる(=システムが複雑化する)のは、リスク対応のためには避けられないように思うのですが、どうなのでしょうか。日本人は数名の優秀なスタッフによる素晴らしいチームを作り上げるのは得意ですが、数十名〜数百名の優秀なスタッフが集まると...

LNGロケットも、CAMUIと同様に「黎明期の試行錯誤」をくぐり抜けてきていれば、また違った展開もありえたように思います。国家予算執行の時間的制約や民間との契約の事務手続き上の複雑怪奇な縛りがなければ、というか、本来、基礎的な技術開発とは、技術者の柔軟な試行錯誤を許容するシステムでなければならないと思うのですが...

iPS細胞の山中教授の提案が学者のピアレビューにうまく収まらなかった問題とあわせて考えると、いろいろとシステムの改善が必要な問題ですね。

CAMUIロケットの今後のますますのご発展を祈念いたします。

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