宇宙飛行士になるには(3)
過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)
宇宙飛行士の仕事
「宇宙飛行士」と聞くと、誰をまず思い浮かべますか? 毛利さん? 向井さん? 野口さん? 若田さん?
あるいは、人類で初めて地球を一周したユーリ・ガガーリンや、人類で初めて月面に第一歩を印したニール・アームストロング、ちょっとマニアックなところでは、映画「アポロ13」でトム・ハンクスが熱演したジム・ラベルなどを思い浮かべる人もいるかもしれませんね。
「宇宙飛行士」というと、今でも子供たちには絶大な人気があります。かっこいい職業の代名詞ともいえるでしょうね。生身の毛利さんと会ったりすれば、その独特の雰囲気と存在感には圧倒されます。
しかし、宇宙飛行士が毎日どのような仕事をこなしているか、という現実の姿があまりにも知られていない、というのもまた事実でしょう。最近ではJAXAのwebページなどを丹念にチェックすれば、日常の訓練風景などが定期的に公開されています。今回の宇宙飛行選抜に応募しようと考えている人のうちの何人が、それらの訓練風景を「もし自分が合格したら、これがこれからの仕事になるのだ」という意識で見ているでしょうか?
少なくとも、私は受験前、まったく考えていませんでした。(^^;)
しかし、JAXAがどのような宇宙飛行士を求めているかを冷静にかつ正確に認識しておくことが、これからの1年間にわたる選抜試験の正否を握っている、と考えて間違いはないでしょう。
JAXAが今回公開した情報の中に「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士の任務」というページがあります。
今回募集する宇宙飛行士は最長6ヶ月程度国際宇宙ステーション(ISS)に搭乗し、ISSと「きぼう」日本実験棟の運用・維持を行うとともに、宇宙環境を利用した様々な実験・研究を担当します。ここで求められている任務をどれだけ正確にイメージして、そのために自分は何を準備すればいいのか、さらにその準備を着実にこなしていくことができるか、という、「イメージ作りと計画・実践」が、合格への秘訣といっても過言ではないでしょう。毛利さんや向井さんの旦那さんの著作を読めば、彼らが選抜受験にあたって、どのような心構えで、どのような努力を重ねたのかがわかります。
幸い、今年は日本人宇宙飛行士が3回、宇宙に行きます。JAXAからもマスメディアからも、さらにはNASAからも、膨大な量の情報が公開されることでしょう。それらの情報を「もし自分がこの立場だったとしたら」という、自分目線でとらえ直した上で、自分自身のあるべき姿をイメージトレーニングしていくことが、役員面接などでプラスに評価されるはずです。
3月11日にスペースシャトルSTS-123で2度目の宇宙を目指す土井宇宙飛行士のミッションの情報が公開されました。
JAXA: 1J/Aミッション:「きぼう」組立ミッション - 「きぼう」日本実験棟
JAXA: SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第8号
また、野口宇宙飛行士のブログでは、
野口聡一blog: 土井さんのフライトのことをもっと知りたい人は
という記事で、このミッションの報道関係者向け資料とプレスキットが紹介されています。これらの資料の隅々にまで「これが自分の仕事になるんだ」という気持ちで目を通しておき、土井さんのミッション中の一挙手一投足、発言のすべてについて、「自分ならこうする」というイメージトレーニングをしておくとよいでしょう。
とはいえ、選抜ではこれ以外にも厳しい健康診断や心理テスト、学力テスト、一般常識問題などが課せられます。視力や身長などのいかんともしがたい理由で門前払いの憂き目に遭う人も少なくありません。せめて、今この瞬間に誰にでもできること、しておかなければ後悔すること、について、次回、解説してみます。
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