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2008.03.31

JAXAが宇宙飛行士募集要項を公開

JAXAが宇宙飛行士募集要項を公開しました。

国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士候補者の募集開始について
http://www.jaxa.jp/press/2008/03/20080331_select2008_j.html

とりあえず速報のみ。後日解説します。

2008.03.30

定刻の終演

いや、タイトルはほんとは「帝国の終焉」と書くつもりでした。

某MS帝国の興亡に言及しようとしている筆者の意図を、ことえり様が事前に察知していたのか、と、あまりにもつぼにはまって憤死したので、ことえり様のご宣託提案をそのまま採用することに。春なので、脳内バランス崩れてるかも...>じぶん

閑話休題。

昨夜の「AA版STAR WARS」の記事は、ある種のおじさんホイホイというか、ピンポイントで特定の世代の特定の職業の特定の趣味嗜好の人にしかヒットしない可能性きわめて大、なのですが、かつてコピュータと言えばすべて半角80文字×24行の半角アスキー文字の表示にキーボードからの文字入力だけを使って脳内の思考と対話をしていた時代がありました。いわゆるVT100端末という時代。(そのもっと昔は紙のパンチカードや穿孔テープに開いた穴の二進法データを直接読み取って脳内変換してしまう神様のような人々の時代があったわけですが)

そんな作業の毎日の中でのMacintoshとの出会いは筆者にとってはまさにコペルニクス的転回であったわけで、YouTubeによれば、当時はあのゲイツ君ですら絶賛していたという。

Appleが当初発売していたMacWriteというワープロソフトはとても直感的でサクサクと使いやすくて、「これぞまさしく未来のオフィス環境」という期待を抱かせるには十分なポテンシャルを持っていたのだけれど、搭載されていた機能がまだ十分とは言えず、「靴に合わせて足の形を変えてから行軍する」という玩具感が拭い去れませんでした。

満を持してのMicrosoft Word 3.0の登場は、バグだらけであったとはいえども、カスタマイズ可能なスペルチェッカーや参照機能の搭載など、論文書きのためのプラットホームを模索していた筆者にとってのユートピアとも言える時代。

あれから20年。赤ん坊が成人になるほどの時間が流れたというのに、CPUのスピードもプログラムが作業を展開するためのメモリ空間もほぼ1,000倍になったというのに、ワープロソフト市場に漂うこの場末感覚はなんなのでしょうか。

時速30kmで走る自転車が、20年後に速さが1,000倍になっていれば、時速3万km、つまり秒速8.3kmであるわけで、人工衛星になることだってできるはずなのに。

OSの進化も然り。

谷誠之の 「カラスは白いかもしれない」:恐ろしいまでの論旨のすり替えに注意

という記事で紹介されていたこちらのページを読んでみて、そのあまりにも大本営発表ぶりに驚いて、このサイトの訪問者のWindowsの内訳の月別変化を調べてみたのがこちら(3月のデータは25日まで)。

OSxpvista

OS0803

訪問者数が少ないので、統計誤差はかなり大きいと思われますが、Vistaのシェアのピークは昨年11月で、その後は漸減傾向に。もっと訪問者数の多いサイトではどうなっているのか、とても気になります。

世界に冠たる帝国といえども、その従業員も人の子である以上、毎日食べていかなければならないわけで、その給料の元となる製品の売り上げがない、という事態にもしもなったというのであれば、帝国は内側から崩壊と変貌を始めるのか、既に征服した領土から“税金”を徴収する以外に道は残されていないことに。

VT100は、DECという極めて優れた技術力を持った名門コンピュータ会社の名器と言える端末でした。DECが開発したVMSというこれまた素晴らしいOSの遺伝子は、本来Windows NTに引き継がれているはずです。そのDECは、パソコンメーカーの新興国家Compaqに買収され、そのCompaqもヒューレットパッカードに買収されました。

「定刻の終演」ですか。

そうなのですか、ことえり様?

AA版STAR WARS エピソードIV

こっ、これはすごひ...

% telnet towel.blinkenlights.nl

これを見るために我が家のFirewallのtelnetポートの設定を一時変える必要がありましたが... その労は十分すぎるほどに報われます。一見の価値あり。

kazuさん経由。詳しくはこちら

「続きはIPv6で」っつーところがまたなんとも...

VT100 ESCシーケンスですかぁ。みんなで遊んでたなぁあのころ。なつかしい。何もかもみななつかしい...

うさぎ美味しかのやま(違

2008.03.28

STS-123帰還

土井さんおかえりなさい。おつかれさまでした。

2008.03.20

宇宙飛行士になるには(7)

前回からの続き

過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)

メンタル・トレーニング

NASAの宇宙飛行士だったマイク・ミュレインの著書「ライディング・ロケット(上) ぶっとび宇宙飛行士、スペースシャトルのすべてを語る」の冒頭部分では、NASAの宇宙飛行士選抜のプロセスの中で精神科医の面接を受けて、「この質問にはどのように答えるのが合格への近道となるのか」と、得られるはずのない手がかりを求めて、一瞬の間にそれまでの自分の人生のすべてが走馬灯のように脳裏によみがえる場面が出てきます。私も旧NASDAの選抜で、まさしくこれと同じような体験をしました。

「宇宙飛行士になりたい!」と熱望しながら試験を受ける受験生にとっては、どんなささいな検査でも質問でも、すべてがパーフェクトでなくてはならない、という、一種独特の精神状態になります。その結果、「この検査項目で相手は自分の何を調べようとしているのだろう?」とつい疑心暗鬼になったりすることもあります。

旧NASDAの試験項目の中には、筆記による心理テストや、精神科医や心理学の専門家による面接、検査器具を使っての単純労働を続けた時のパフォーマンスの変化、などなど、様々な手法で受験生の心理適正や精神状態を検査するものがあります。

一次試験の段階では筆記による簡単な心理テストだけなので、普通の精神状態でなるべく正直に回答するように心がければ、まず問題はありません。しかし、もしこの段階で嘘をついて次のレベルに進むことができたとしても、専門家との詳細な面接や、検査器具を使っての作業の様子の精密な観察などが待ち受けています。以前のテスト結果との矛盾点が浮上すれば、容赦なく質問攻めにされます。小手先の技術を磨いただけではとてもこれらの検査を矛盾なく乗り切ることなどできません。では、まったく受験対策がないのかというと、そうでもなくて、一つできることがあります。

それは、自分自身の性格を「誰が見ても恥ずかしくないような宇宙飛行士」に変えてしまうことです。

もっと正確に言えば、「宇宙飛行士にふさわしい人間として自分自身を高めていく」という自己暗示をかけてしまうことです。

自己暗示にはいろいろな方法があると思いますが、私の場合は「自分がもしほんとうに宇宙飛行士に選ばれたとしたら」という目線で様々な映画を見たり本を読んだりすることが役に立ちました。

例えば選抜試験の合間に萩尾望都原作の「11人いる!」という漫画を映画化したものを観た時は、実際の選抜の手法とはまったく違う場面にも関わらず、「なるほど、あの検査ではこういう資質が求められているのか」などと一人で納得したりしました。

「ライトスタッフ」や「アポロ13」なども、選抜試験の合間に観たりすると、それまでとは全く違う視点が得られたりして、新鮮な気分になります。ヒストリーチャンネルやナショナルジオグラフィックチャンネルなどで放映される航空機事故の調査や潜水艦事故の救出などのドキュメンタリー番組を見るのも、英語力のトレーニングの他にも、メンタル面を強くする効果があります。

宇宙飛行士には、誰とでも仲良くなれる協調性が求められますが、もう少し詳しく見ると、「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」あるいはその両方の適度なバランス、が、求められていることがわかります。「リーダーシップ」とは、あるチームをまとめて引っ張っていく役割、「フォロワーシップ」とは、リーダーをもり立てていきながら、チームの最終目標を達成していく役割のことです。冬山登山やバディとの潜水を経験したことのある人であれば、その重要性はおわかりと思います。

旅客機の機長と副操縦士がコックピット内でどのようなチームワークを保てば安全を保つことができるか、という分析も進んでいます。旧NASDAのスタッフの一人に教えてもらった機長のマネジメント—コックピットの安全哲学「クルー・リソース・マネジメント」という本は、チームワークと安全性との関係を冷静に分析していて、とても参考になりました。

宇宙飛行士という職業は、お手本になる人が身近にはいない、とても特殊なものです。さまざまな困難に直面した時に、自分だけで解決策を見つけて困難を乗り越えていかなければならないことがあります。ある意味では、イチローやタイガーウッズ、オリンピックのトップアスリートたちだけが直面するような、「ベストの自分をイメージする」というメンタルトレーニングが必要な世界とも言えます。スポーツとは全く縁のなかった私にとって、「日本人のメンタル・トレーニング」という本は、私のメンタル面に大きな影響を与えてくれました。

つまるところ、私は選抜に落ちてしまったので、これらのメンタル・トレーニングがどこまで有効だったのかはよくわかりません。でも、私のその後の人生にはとても役に立ったと感じます。宇宙飛行士受験がなければ、これらのトレーニングをする機会はなかったでしょう。

(続く)

アーサー・C・クラーク氏逝去

YOMIURI ONLINE: 「2001年宇宙の旅」アーサー・C・クラーク氏が死去

1956年からスリランカに在住の氏の元には、NASAの宇宙飛行士も氏の洞察を伺うために訪れていましたね。

日本のきぼうモジュールが国際宇宙ステーションに無事に取り付けられた直後の訃報、というのも、なにかの巡り合わせでしょうか。土井さんは軌道上でこのニュースに接して、何をお感じになられたのかな...

ご冥福をお祈りします。

2008.03.16

宇宙飛行士になるには(6)

前回からの続き

過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)

英語力

JAXAの発表によれば、今回の国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士募集の応募受付期間は2008年4月1日(火)から6月20日(金)までと予定されています。1998年の選抜と同じ形式であれば、この期間中と〆切後1ヶ月程度の間に、全国数ヶ所の会場で英語検定が行われます。

1998年の選抜では札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の会場で2回にわたって英語検定が開催されました。受験生はこのうちのいずれか1回を受験することになっています。内容はTOEICと似たようなものですが、旧NASDA独自の問題です。前半はスピーカーから流れてくる英語の放送や会話を聞き取って5者択一式の設問に答える問題で、後半は記述式の問題です。

宇宙飛行士になると、訓練や本番で英語を正確に聞き取れない場合にはミッションの成否に関わるだけでなく、クルー全員の生命を危険にさらす可能性もあります。このため、受験生の英語の能力はこの検定の後も筆記試験やネイティブとの面接試験、NASAの現役宇宙飛行士によるインタビュー、など、様々な場面で手を替え品を替え、最終選抜まで試されることになります。

前回と同じ条件であれば、現在海外在住の人は、この英語検定のためにわざわざ帰国しなくとも、一次選抜の際に同時に受験できるようにJAXAが配慮してくれるものと思われます。

一次選抜を受験できる受験者数は、医療施設のキャパシティと予算との関係で今回も200人程度と予想されます。ということは、受験者数は、応募書類の経歴や健康診断、受験資格、応募の動機、それと英語検定の成績だけに基づいて、数分の一に絞り込まれてしまいます。海外在住組はさておき、現在日本国内に住んでいる人は、今から英語の勉強、特に、ネイティブが早口で話す言葉を正確に聞き取る訓練をしておくとよいでしょう。

好きこそものの上手なれ。

英語を聞き取る訓練は、日頃自分が興味を持っているテーマに絡んだ素材を繰り返し繰り返し聞いたりすると、あまり苦痛にならずに上達します。私の場合は3回目と4回目の選抜の合間に知人が送ってくれた「Astronauts」という、アメリカの公共放送の科学ドキュメンタリーNOVAのビデオをカセットテープに録音して、通勤の車の中で毎日聞いていました。このビデオは、若田宇宙飛行士が初めて宇宙へ行った時のSTS-72というシャトルミッションのクルーに、打ち上げ前から1年間、番組スタッフが密着取材して、クルーの日常の訓練風景からシャトルの打ち上げ、帰還までを描いた貴重なものです。自分が若田宇宙飛行士になった気分で何度も繰り返して聞いているうちに、ヒューストンとの交信もだいぶ聞き取れるようになりました。今でも番組内に出てくる会話はほぼ頭に入っています。

また、ケーブルテレビやCS衛星放送を契約している人はCNNを日常的に流すようにしておけば、世界の時事問題に精通することができて、一次試験の一般常識の問題でも役に立ちます。天気予報で最高気温や最低気温、風向きなどを意識的に聞き取る訓練をするのもいいでしょう。BBCでもいいですが、JAXAの英語検定で出題されるのはほぼ確実にアメリカ英語です。

TIME誌やNewsweek誌などを読んでおくのも役立ちます。例えばサブプライム問題について英語で解説しなさい、とか。じつは宇宙飛行士ともなると、アメリカやフランスの大統領と面会する仕事もあるかもしれないですし、各界の著名人とのパーティなど、日本国を代表した「宇宙飛行士外交」などのお務めも果たさねばなりません。

今この記事を読んでいるような人であれば、ネット上の情報収集も得意でしょうから、ネット上の素材を上手に活用するというのも一つの手法です。

NASA Multimedia Video Gallery

NASA TVのハイライトシーンを収めたビデオギャラリーです。現在飛行中のSTS-123のランデブーピッチマヌーバの映像と音声なんて、じつに萌えますね。

ここで問題です。STS-123のランデブーピッチマヌーバで耐熱タイルの様子を記録に収めるデジタル一眼レフは何台で、レンズの焦点距離と、撮影を担当している宇宙飛行士の名前は誰でしょう?

Planetary Radio Weekly Podcast

惑星協会(The Planetary Society)が提供するポッドキャストです。3月10日の番組では探査機が地球や他の惑星の重力を利用してフライバイする際に、探査機の速度が重力理論からずれるように見える現象の話題や、土星の衛星レアに輪があることが見つかった話題などが語られています。惑星協会の科学技術コーディネーターであるEmily Lakdawallaさんが、電話でのインタビューに答えています。

ここで問題です。Emilyさんが土星の衛星レアの輪のことを最初にブログに書いた時に慌てて電子メールを送ってきたのは誰でしょうか? また、この成果はどの論文誌に掲載されたでしょうか。

余談ですが、このEmilyさんは「はやぶさ」がイトカワにタッチダウンした時に惑星協会のブログでその偉業をいち早く世界中に広めてくれた、日本の宇宙開発業界にとっての恩人です。かぐやでもその打ち上げからハイビジョン映像、国際会議での科学的成果の発表に至るまで、きわめて熱心にフォローしてくれています。JAXAが科学探査ミッションを世界に認めてもらうには、Emilyさんが熱望しているような情報をタイムリーに英語で情報公開していくべきでしょう。

先のポッドキャストでは、電話インタビューの後ろでEmilyさんのお子さんの声が聞こえます。はやぶさのタッチダウンから9ヶ月後に生まれた赤ちゃんです。かわいい。

Flyby anomalyについてもWikipediaに載っているので、腕に覚えのある人は、この謎を解いてみるのもいいかもしれません。ただし、謎解きに夢中になって我を忘れてしまうような人は宇宙飛行士には不適格です。宇宙ホタルの謎解きに夢中になって危うく命を落としかけた宇宙飛行士のその後の運命についてはまた日を改めて。

(続く)

[3/17 追記]

IsanaさんのすばらしいPostcastコレクションのことに言及するのを忘れていました。

Reach for the stars - Podcast

それぞれのPodcastを聞きながら、文字として打ち込んでみましょう。こちらに解答があるので、後で比べてみてください。

2008.03.15

パイの日には物理屋のごときお喋りを

すでに昨日のこととなってしまいましたが3月14日は「3.14」ということでこことかこことかここのブログによれば「数学の日」ということで一部で盛り上がっていてdankogai氏のブログで結城浩氏の「数学ガール」が紹介されていてAmazonのなか見!検索でぱらぱらとめくってみたら一目惚れしたのでかねてよりショッピングカートに放り込んであったNASAの宇宙飛行士のぶっちゃけ話「ライディングロケット(上)」「ライディングロケット(下)」と合わせて思わずポチッと注文ボタンをクリックしてしまったでわないか給料日前だっつーのにどーしてくれるよしるぶぷれ。

其は兎も角。

3月14日は「円周率πの日」でもあると同時に、かの天才物理学者アインシュタインの誕生日でもある、ということで、海の向こうの物理学者ブログ「Comic Variance」によれば、今年の3月14日は「物理屋のごときお喋りをする日(Talk Like A Physicist Day)」として制定されたらしい。

Talklikeaphysicistday

くだんのComic Varianceで紹介されていた各種パーツが秀逸なので、ご紹介。

***

相対論的隕石シューティングゲーム。Enterキーでゲームを開始し、矢印キーで宇宙船を操作して、スペースバーでミサイルを発射する。ゲーム中に「F」キーを押すと、視点が宇宙船に移って、隕石の形がローレンツ収縮でひしゃげていくとともに、隕石の点滅の時間間隔(つまり宇宙船から見た隕石の時間の流れ)がゆっくりとなる。
relativistic asteroids

先頃報道のあった阪大や名古屋大などの研究グループが、車の渋滞の発生メカニズムを調べた研究がNewScientist.comでも紹介されている。(論文発表以前に「サイエンスZERO」でも紹介されていましたね)

そして極めつけがこれ。いかにもアメリカン・ナード・ジョークですが...

最後の一言にウケた(w

2008.03.11

STS-123打ち上げ成功

土井さん無事2度目の宇宙へ! おめでとうございます!!

STS123 Launch
Credit: NASA TV

深夜のきれいなローンチ。歴代日本人宇宙飛行士のオンスケジュール打ち上げは3回目で2人目らしい。ちなみにこれまでの2回はどちらも向井さんとのこと。

IsanaさんのところでGoogleマップ上の現在位置表示が始まっています。いつもありがとうございます。

2008.03.08

訂正

AFPの記事にあった間違いを修正するつもりが、かえって自分の勘違いをさらけ出す醜態に。いやはや、面目ないです。こんな基本的なところをチェックし忘れるなんて。記事は修正しておきました。お詫びして訂正します。S石さん、ご指摘ありがとうございます。

日本実験棟「きぼう」打ち上げまで77時間

土井さん二度目の宇宙へ。お気をつけて。

副長日誌経由。

なんというか、スゴい記事だなぁ。三つぐらい次元を隔てたパラレルワールドからの配信じゃなかろうか。
AFB BB News: 「きぼう」日本実験棟、いよいよ打ち上げへ 国際ニュース

おお、福田さんだ。お元気そうで。

福田さんの勢いとMiwa Suzukiさんのコラボ記事クォリティ、というところでしょうか。

日本は2020年までに月に宇宙飛行士を送ることを目標にしている。2003年には隣国中国がこれを達成している。
善意に解釈すれば、「JAXAは2020年までに国際プロジェクトに参加して、別の天体における有人宇宙活動のノウハウを蓄積しておきたい。隣国の中国は自国のロケットで2003年に有人宇宙活動を達成した。」と言いたかったのでしょうねきっと。
2009年3月には船外実験プラットフォームなど残りの部分が打ち上げられ
ということは、NASAはそろそろこのきぼう組み立ての最後のミッションのフライトアサインをしますね。タイミング的には超微妙。NASA的にはロボットアームの操作で万一ミスがあった時に国際問題にならないように日本人を起用したい。星出さんは次の1Jミッション、若田さん野口さんはISS長期滞在に向けて訓練中、となると、候補は古川さんか山崎さん。山崎さんは土井さんのクルーサポートアストロノートだから、いまアサインがあると外されてしまう。逆に、NASAがSTS-123の結果を見極めてからアサインをするとなれば、土井さんのサポートをした山崎さんの方が有利になる。NASAも国際協力パートナーである日本のプロジェクトを軽くはみないだろうから、となると、「3月のフライトアサイン」は、STS-123帰還後に発表される可能性が高い。

古川さんと山崎さんの適正を考えると、結論はほぼ決まっているのかも。

[3/8追記] S石さんのご指摘で、「きぼう」3便目のフライト、STS-127 2J/Aのアサインはすでに発表されていることを思い出しました。そういえば宇宙ステーション滞在を終えた若田さんがこのフライトで帰還するというニュースが流れていましたね。すっかり失念していました。すみません。S石さんありがとうございます。

2008.03.07

Google、基地周辺画像削除

東京新聞:米軍基地周辺画像を削除 グーグル、国防総省要請で:国際

米国防総省は、インターネット検索大手のグーグル社に対し、テロ攻撃などを招きかねないとして米軍基地周辺道路の詳細な画像などをネット上で公開しないよう要請、同社はこれを受け入れ、一部画像を削除した。
やっぱり。

そこらじゅうでGarminのGPSが買える時代、座標がわかるということは、いろいろな手段がありうるわけで。むしろこれまで野放しだったのが不思議というか。韓国には解像度が低いままの場所があるので、Googleはむしろ国外のほうがいろいろと配慮しているような印象がありますね。

でも、この記事をチェックしたら、まだ見える。ニミッツもいるし。削除されたのはピンポイントでなにか極秘のものが写っていたのかな...

自衛隊はパトリオットの件、Googleに要請しないのかな...

[3/8追記]

AFPにこの件の詳細が出ています。

AFP BB News: 米国防総省、グーグルの米軍基地撮影を禁止

米軍基地の「地上で撮影された詳細な画像」がグーグル・マップ上で閲覧可能になっていた。360度のパノラマ画像には、出入管理施設、フェンス、本部施設など複数の施設の画像が含まれていた
ということのようで。なんだ。Street Viewのことだったのね。ちなみにテキサス州のフォート・サム・ヒューストン米軍基地での出来事らしい。「約10日前に撮影車両の1台がフォート・サム・ヒューストン基地に入ってよいかと訊ね、許可を受けた上で基地内の撮影を行った」ということで、なんとまぁgdgdな... 許可を出した側がStreet Viewとはどういうものかを知らなかったほうに10カノッサ。

宇宙飛行士になるには(5)

前回からの続き

過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)

職場との関係

今回、JAXAが募集する宇宙飛行士は1名から3名程度です。10年間、募集がなかったので、何人が応募するのか、まったく予測がつかないですが、前回が864人だったので、今回も1000人弱くらいではないかと考えます。

ということは、宇宙飛行士になるための競争率は300倍から1000倍の間。じつに狭き門ですね。応募する人のほとんどが、選抜の途中で不合格となって、涙を飲むことになります。

JAXAが求める応募書類には、家族が書く「応募に対する家族の意見」という欄がありますが、職場の上司などの推薦書は最初の段階では必要ありません。2次選抜までは職場に内緒にしておいても、とりあえず受験することはできます。第0次の英語試験と1次試験は週末に行われるので、週末が休みの人は仕事を休まなくても受けられますし、2次試験では筑波宇宙センターに一週間、缶詰めにされますが、会社に毎朝「今日も体調がすぐれないので、お休みします」と電話をかけ続けて試験を受けた猛者もいます。

試験設備の収容人数の関係で、3次選抜には今回も8人がチャレンジすることになると思いますが、この8人にはこのとき初めて、職場の上司からの推薦状を出すようにJAXAから求められます。なにしろ3次選抜を受験する、という人は、もういつ何時、宇宙飛行士としてJAXAに転職してもおかしくない、という状況なわけです。

職場に内緒で応募するか、あらかじめ上司や同僚に打ち明けてから応募するか、というのは悩みどころです。

「自分は1000人中の997人のほうにまわるだろう」という自信(?)があるのなら、職場に内緒で受験する、というのも一つの選択肢です。

でも、もし仮に万が一、3次選抜まで進むことになった場合、いきなり推薦状を上司に突きつけて、「これ、書いてください」というよりも、自分が何をやろうとしているのかを事前にわかってもらった上で応援してもらった方が、精神的にも落ち着きます。

とはいえ、上司や職場のトップがすんなりと応援してくれるかどうか、というのは、それぞれの組織で大きく異なるようです。宇宙航空関連業界の大企業であれば、「いや、じつは俺も若い頃、応募したことがあるんだよ。お前ならきっといい線いくぞ。がんばれ!」と、背中を押してくれる上司と出会う可能性も高いかもしれません。実績ベースではJAXAとかMHIとかIHIとかJALとかANAとか...

大学や公的研究機関の研究者であれば、自分の進退は自分の自己責任である場合が多いでしょうから、結果責任さえ取る覚悟があれば、比較的自由に受験できると思います。指導教官の性格にもよりますが... 毛利さんの著作によれば、毛利さんが当時所属していた研究室の教授は、当初、毛利さんを応援していたけれど、2次選抜、3次選抜、と進むにつれて、だんだん機嫌が悪くなっていったようです。

民間の会社では、直属の上司が応援してくれても、会社のトップが「うん」と言ってくれないケースも考えられます。特に会社のお金で何年か留学させてもらっていたような場合、英語力や海外滞在経験がJAXAに対しては有利に働きますが、有能な若手を引っこ抜かれる会社の側からすれば「誰のおかげでここまで育ってきたと思っているんだ!」と言いたくなる気持ちもわからなくもありません。

実際のところ、最終選抜にまで残るような人ほど、元の組織にしてみれば、手放したくないというのが本音でしょう。JAXAはその辺りの事情を見極めるために役員が一軒一軒、最終選抜者の職場のトップを訪ねて挨拶にきます。

宇宙飛行士選抜受験といえば、究極の転職であり、ヘッドハンティングです。転職のことばかりを考えるような人を警戒する一方で、相手の組織が手放したくないと思っている人をいかにして円満に採用するかに関してもJAXAは細心の注意を払っています。

JAXAのある人によれば「周囲の人を味方に付けて、物事を円満に解決していく能力、も、宇宙飛行士の資質のうち」だそうです。自分を理解し、応援してくれる上司や同僚や家族に恵まれているか、というところで、すでに選抜試験は始まっています。

(続く)

2008.03.06

白崎さん講演会

私と一緒にヒューストンまで行ったファイナリストの一人、白崎先生が、倉敷科学センター プラネタリウムで15日に講演会だそうです。

白崎 修一 科学講演会「夢を追いかけて〜私の宇宙飛行士への挑戦」 倉敷科学センター

岡山在住の人、チャンスですね。

GXふるぼっこ

ある人から、こんなブログがあることを教えてもらった。

The Third Three-Months:
朝日新聞記事「GXロケット、開発費当初の3倍1500億円に、」、宇宙開発の無駄遣いを注視せよー1
朝日新聞記事「GXロケット、開発費当初の3倍1500億円の見通し」、宇宙開発の無駄遣いを注視せよー2
朝日新聞記事「GXロケット、開発費当初の3倍1500億円の見通し」、宇宙開発の無駄遣いを注視せよー3
朝日新聞記事「GXロケット、開発費当初の3倍1500億円の見通し」、宇宙開発の無駄遣いを注視せよー4
朝日新聞記事「GXロケット、開発費当初の3倍1500億円の見通し」、新聞は科学政策の失敗を糾弾せよ

どうも松浦さんの記事をベースに徹底分析なさったらしい。いやはや、GXロケットぼっこぼこです。でも正論なんだよなぁ。特に新聞記者への注文など。

新聞社は別に月刊誌またはインターネットで詳しい報道をする体制をぜひ整えてほしいと思います。記者さんは当然詳しい知識と情報を集めたはずですから、それを発表しないのは宝の持ち腐れです。
責任者不在を非難するだけでは駄目で、失敗がなぜ起きたのかを徹底的に分析し、今後の教訓を引き出すことが大変重要です。新聞社の科学部は、単に科学の内容を記事にするだけでなく、社会に影響を及ぼす科学政策の失敗をもっと徹底的に追及すべきです。

「宝の持ち腐れ」というのは、まさにその通りですね。asahi.comなんて、日本の新聞各紙の中では真っ先にwebサイトを立ち上げたのに。このページによると、CNN.comとほぼ同時。すごい。ちなみに、NASDAがwebサイトを作ったのも確か95年だった気がする。この年に5thstarの元となる宇宙飛行士募集があって、webで募集要項を確認したような記憶が...

件の記事では宇宙飛行士を活用する体制についてもぼっこぼこです。

このノウハウの継承の体制がわが国にはないのではないか。新聞社にはこのあたりの突っ込んだ分析もぜひお願いしたいと思います。
これは毛利さんと向井さんの去就のことを指しているのだと思いますが、この問題についてはいずれ連載の方でも取り上げたいと考えています。未来の宇宙飛行士にとっても切実な問題でもあるだけに。

「きぼう」に関する記事の指摘についても、役員面接で「どう思うか」と逆に利用されそうな予感が...

2008.03.04

宇宙飛行士になるには(4)

前回からの続き

過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)

今そこでできること

過去4回の宇宙飛行士選抜はいずれも旧宇宙開発事業団(NASDA)によって行われました。それぞれの選抜で求められる宇宙飛行士の資質やミッション内容は少しずつ異なっているので、募集要項も微妙に異なります。選抜試験のやり方も毎回かなり異なっています。選抜する側もいろいろ悩んで試行錯誤を繰り返しているのです。正確を期すためには、JAXAが今回の募集要項を4月1日に発表するまで待つ必要があります。

しかしその中でも、今から準備しておくと役立つことがあります。

それは「応募の動機」を考えておくこと、です。

応募書類の中には「宇宙飛行士志願書」という、A3の紙を二つ折りにしたような書類が含まれています。その中の、A4の3分の2くらいのスペースに「応募動機」を書く欄があります。

この志願書は、これからの1年間の選抜過程で、あなた自身を特徴づけてくれるパスポートのようなものです。その中でも「応募動機」の欄は、それぞれ個性があるので、選抜する側はたとえ何百人分の書類を見ていても、一人一人の応募動機を見るだけで「ああ、この人ね」と、あなたを思い出すことになります。二次選抜、三次選抜、と進んでゆくにつれて、役員面接の席上であなたに質問を投げかける役員の手元には、この志願書のコピーがあるはずです。

なぜ、宇宙飛行士になりたいと思ったのか、なぜ応募したのか、宇宙に対しどのような情熱を持っているのか、選考委員にアピールしておきたいことを、あなた自身の言葉で簡潔にまとめておきましょう。

応募動機のほかにも「自分の目指す宇宙飛行士像(自己アピールも含め)」を書く欄や、「応募に対する家族の意見」を書く欄もあります。

95年の選抜のときの書類のコピーを見直してみたら、「応募に対する家族の意見」には一言、「応援している」とだけ自分で書いていました。そしたら98年の書類では「応募に対する家族の意見(可能な限り家族本人が記入すること)」となっていました。よく書類選考で落とされなかったものだ...(汗

また、治療すれば完治するものについては、必ず今の段階で治療をすませておきましょう。

かつては「虫歯があると、パイロットや宇宙飛行士にはなれない」と言われていた時代がありました。成層圏などの気圧の低いところでは、虫歯の詰め物と歯の隙間に残っている空気が膨張して、我慢できない痛みを誘発し、操縦や作業に支障があります。現在は治療技術が進歩しているので、「フライト前にちゃんと治療すれば大丈夫です」と、JAXAのフライトサージャン(宇宙航空医学の医師)が言っています。

私は95年の選抜では親不知と虫歯の治療をしないままに2次選抜に臨んだため、不合格通知の紙にはしっかりと「歯科治療の必要を認める」という一文がありました。まぁこれだけが理由で落ちたのではないのでしょうが、選抜を実施する側から見れば「こいつ、どこまで本気で受験しているんだ?」という印象を持たれたのかもしれません。合格したいのであれば、今そこでできること、は、ちゃんとやっておきましょう。歯槽膿漏の人は、歯茎を毎日朝と夜にデンタルフロスでブラッシングすると、症状が軽減します。

一方、日本人に多い近眼についてはどうでしょうか。現在の基準では、視力が両眼とも裸眼で0.1以上かつ矯正視力1.0以上で色神が正常であることが求められています。毛利さんたちの時代には確か裸眼でも0.3以上求められていましたが、日本人には近視の人が多いことから、NASDAがNASAと交渉した結果、条件が緩和された、と聞いたことがあります。

最近はレーシック手術などで近視を矯正することができます。10年前のNASDAの判断では「手術はお薦めしない」とのことでした。急減圧などの過酷な環境で過ごす宇宙飛行士にとってどのような副作用が生じるかあまりわからなかったためです。

ところが!!!

今回の募集で選ばれた人がNASAに行って一緒に訓練することになるNASAの宇宙飛行士候補生募集条件を見てみると、

The refractive surgical procedures of the eye, PRK and LASIK, are now allowed, providing at least 1 year has passed since the date of the procedure with no permanent adverse after effects. For those applicants under final consideration, an operative report on the surgical procedure will be requested.

え〜〜〜、今の今まで知らんかった!

今回のNASAの募集では、「選抜の1年以上前にPRKもしくはレーシックの矯正手術をすませ、その後の後遺症が認められない場合は応募資格がある」とのことです!!

裸眼視力が0.1未満だと、これまでは宇宙飛行士になることを諦めざるを得なかったのですが、これは朗報になるかも、ですね。「1年以上前」ってところが微妙。JAXAが公表する募集要項を固唾を飲んで見守りましょう。JAXAのフライトサージャンの見解が重要です。くれぐれもあわてて手術を受けないように。

近視で裸眼視力が0.1ぎりぎりの人は、遠いところと近いところを交互に20秒ほど見つめて目のピントを合わせる毛様体筋のストレッチ運動をして、目をリラックスさせてやると、若干ですが視力が回復します。ただし疲労が蓄積しないように、ほどほどに。

体力作りにはジョギングや水泳が適しています。向井さんは選抜期間中、英会話教室2クラスに通いつつ、水泳をやっていたそうです。毛利さんはエアロビクスの教室に通ったそうです。アメリカ人で初めて地球を周回したジョン・グレンはジョギングを欠かしませんでした。

私の場合は95年の選抜ではスポーツの知識がなかったので、がむしゃらにトレーニングしては三日坊主で、全く効果がありませんでした。じつは脈拍を上げないゆっくりした運動を毎日30分ほど継続して行えば、有酸素運動能力は数ヶ月で見違えるほど向上します。「脈拍 有酸素運動」などで検索して、自分にあったトレーニング方法を見つけてください。

タバコは宇宙飛行士にとっては厳禁です。お酒はほどほどに。脂肪肝の疑いのある人は今から禁酒しておきましょう。

今のスケジュールではおそらく7月か8月頃に英語の試験、9月か10月頃に基礎学力試験と医学検査となります。大学のセンター試験程度の受験勉強を今からこつこつとやっておくといいでしょう。特に数学、物理、化学、生物、地学、英語のヒアリング、などです。

宇宙飛行士受験に王道なし。「これだけやっておけば大丈夫」という妙案はありません。「こんな宇宙飛行士になりたい」というイメージに自分自身を近づけていくために、地道にトレーニングを重ねましょう。「継続は力なり」です。

(続く)

2008.03.02

宇宙飛行士になるには(3)

前回からの続き

過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)

宇宙飛行士の仕事

「宇宙飛行士」と聞くと、誰をまず思い浮かべますか? 毛利さん? 向井さん? 野口さん? 若田さん?

あるいは、人類で初めて地球を一周したユーリ・ガガーリンや、人類で初めて月面に第一歩を印したニール・アームストロング、ちょっとマニアックなところでは、映画「アポロ13」でトム・ハンクスが熱演したジム・ラベルなどを思い浮かべる人もいるかもしれませんね。

「宇宙飛行士」というと、今でも子供たちには絶大な人気があります。かっこいい職業の代名詞ともいえるでしょうね。生身の毛利さんと会ったりすれば、その独特の雰囲気と存在感には圧倒されます。

しかし、宇宙飛行士が毎日どのような仕事をこなしているか、という現実の姿があまりにも知られていない、というのもまた事実でしょう。最近ではJAXAのwebページなどを丹念にチェックすれば、日常の訓練風景などが定期的に公開されています。今回の宇宙飛行選抜に応募しようと考えている人のうちの何人が、それらの訓練風景を「もし自分が合格したら、これがこれからの仕事になるのだ」という意識で見ているでしょうか?

少なくとも、私は受験前、まったく考えていませんでした。(^^;)

しかし、JAXAがどのような宇宙飛行士を求めているかを冷静にかつ正確に認識しておくことが、これからの1年間にわたる選抜試験の正否を握っている、と考えて間違いはないでしょう。

JAXAが今回公開した情報の中に「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士の任務」というページがあります。

今回募集する宇宙飛行士は最長6ヶ月程度国際宇宙ステーション(ISS)に搭乗し、ISSと「きぼう」日本実験棟の運用・維持を行うとともに、宇宙環境を利用した様々な実験・研究を担当します。
ここで求められている任務をどれだけ正確にイメージして、そのために自分は何を準備すればいいのか、さらにその準備を着実にこなしていくことができるか、という、「イメージ作りと計画・実践」が、合格への秘訣といっても過言ではないでしょう。毛利さんや向井さんの旦那さんの著作を読めば、彼らが選抜受験にあたって、どのような心構えで、どのような努力を重ねたのかがわかります。

幸い、今年は日本人宇宙飛行士が3回、宇宙に行きます。JAXAからもマスメディアからも、さらにはNASAからも、膨大な量の情報が公開されることでしょう。それらの情報を「もし自分がこの立場だったとしたら」という、自分目線でとらえ直した上で、自分自身のあるべき姿をイメージトレーニングしていくことが、役員面接などでプラスに評価されるはずです。

3月11日にスペースシャトルSTS-123で2度目の宇宙を目指す土井宇宙飛行士のミッションの情報が公開されました。

JAXA: 1J/Aミッション:「きぼう」組立ミッション - 「きぼう」日本実験棟
JAXA: SPACE@NAVI-Kibo WEEKLY NEWS 第8号

また、野口宇宙飛行士のブログでは、

野口聡一blog: 土井さんのフライトのことをもっと知りたい人は

という記事で、このミッションの報道関係者向け資料プレスキットが紹介されています。これらの資料の隅々にまで「これが自分の仕事になるんだ」という気持ちで目を通しておき、土井さんのミッション中の一挙手一投足、発言のすべてについて、「自分ならこうする」というイメージトレーニングをしておくとよいでしょう。

とはいえ、選抜ではこれ以外にも厳しい健康診断や心理テスト、学力テスト、一般常識問題などが課せられます。視力や身長などのいかんともしがたい理由で門前払いの憂き目に遭う人も少なくありません。せめて、今この瞬間に誰にでもできること、しておかなければ後悔すること、について、次回、解説してみます。

(続く)

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