宇宙飛行士になるには(2)
過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)
宇宙への情熱
前回の記事では「宇宙に情熱があり、過酷で長い訓練にも耐えられるような強い意志のある人物を採用したい」というJAXAのコメントが選抜の最終段階で重要な意味を持つ、と述べました。ちょっと解説しましょう。
宇宙飛行士というのは、宇宙へ行って、そこであらかじめ定められたミッションを遂行して、無事に帰還することが仕事です。そのために、ありとあらゆる事態を想定した訓練を何年もぶっ続けに受けることになります。シベリアの極寒の地に不時着して、1日か2日ほど無人の地で救助を待つ、というケースや、夜間、海面に不時着して、ヘリに救助され、そのヘリがさらに墜落して、真っ暗闇で上下逆さまになったヘリから脱出する、などのサバイバル訓練、あるいは、宇宙ステーションに搭載された実験モジュールでどのような実験を行うかを地上からの聞き取りづらい無線で指示通りに遂行する、など、です。
就寝前や起床時のわずかな自由時間に、窓から地球を眺めたりすることができますが、ほとんどの時間は窓のない宇宙船の船内で、ただひたすら単調な作業を黙々とこなしていきます。
宇宙飛行士になるためには、宇宙への情熱が不可欠ですが、ここでいう宇宙とは、宇宙物理学や天文学のことではありません。書斎に閉じこもってハッブル望遠鏡が撮影した天体写真を見るのが好き、というだけでは勤まりません。自分自身が宇宙空間へ飛び立ち、帰還するための、ありとあらゆる訓練を情熱的にこなすことができる資質が不可欠です。「ジェット機を自分で操縦したい」「エベレスト登頂や南極点踏破に挑みたい」「スキューバで困難な海域を征服したい」「スカイダイビングしたい」などの意欲がある人がどちらかといえば宇宙飛行士向きと言えます。といっても、あくまで「意欲」のことであって、これらのスポーツをほんとにやっておく必要などはありません。
とはいえ、ほんとに合格したらあまり危険なスポーツはできなくなるので、もしもやり残したことがあるのなら、選抜が始まる前の今のうちに。(^o^)v
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