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2008.02.29

宇宙飛行士になるには(2)

前回からの続き

過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)

宇宙への情熱

前回の記事では「宇宙に情熱があり、過酷で長い訓練にも耐えられるような強い意志のある人物を採用したい」というJAXAのコメントが選抜の最終段階で重要な意味を持つ、と述べました。ちょっと解説しましょう。

宇宙飛行士というのは、宇宙へ行って、そこであらかじめ定められたミッションを遂行して、無事に帰還することが仕事です。そのために、ありとあらゆる事態を想定した訓練を何年もぶっ続けに受けることになります。シベリアの極寒の地に不時着して、1日か2日ほど無人の地で救助を待つ、というケースや、夜間、海面に不時着して、ヘリに救助され、そのヘリがさらに墜落して、真っ暗闇で上下逆さまになったヘリから脱出する、などのサバイバル訓練、あるいは、宇宙ステーションに搭載された実験モジュールでどのような実験を行うかを地上からの聞き取りづらい無線で指示通りに遂行する、など、です。

就寝前や起床時のわずかな自由時間に、窓から地球を眺めたりすることができますが、ほとんどの時間は窓のない宇宙船の船内で、ただひたすら単調な作業を黙々とこなしていきます。

宇宙飛行士になるためには、宇宙への情熱が不可欠ですが、ここでいう宇宙とは、宇宙物理学や天文学のことではありません。書斎に閉じこもってハッブル望遠鏡が撮影した天体写真を見るのが好き、というだけでは勤まりません。自分自身が宇宙空間へ飛び立ち、帰還するための、ありとあらゆる訓練を情熱的にこなすことができる資質が不可欠です。「ジェット機を自分で操縦したい」「エベレスト登頂や南極点踏破に挑みたい」「スキューバで困難な海域を征服したい」「スカイダイビングしたい」などの意欲がある人がどちらかといえば宇宙飛行士向きと言えます。といっても、あくまで「意欲」のことであって、これらのスポーツをほんとにやっておく必要などはありません。

とはいえ、ほんとに合格したらあまり危険なスポーツはできなくなるので、もしもやり残したことがあるのなら、選抜が始まる前の今のうちに。(^o^)v

(続く)

2008.02.28

宇宙飛行士になるには(1)

10年ぶりに日本人宇宙飛行士を募集することをJAXAが正式に発表しました。

JAXA: 10年ぶりに日本人宇宙飛行士候補者を募集! 募集要項は4月1日に発表予定

10年前の選抜は宇宙三機関統合前のNASDAですから、JAXAになってからの募集は初めてです。NASDA時代には4回の募集がありました。

過去4回の宇宙飛行士選抜のうちの3回目と4回目を受験した経験をもとに、今回の選抜がどのような経緯を辿るか、宇宙飛行士を目指すとはどういうことか、について解説してみます。もちろん、選抜に落ちた人間の予想ですから、内容が正確であるという保証はどこにもありません。(^-^;)

まずは情報の整理

JAXAが公開する情報や、ニュース記事などは、とても貴重な情報源です。コピーを取るなりして、あとでじっくりと読み返してみましょう。

MSN産経ニュース:宇宙飛行士10年ぶりに募集 JAXA
時事ドットコム:10年ぶり宇宙飛行士募集へ=活動拡大、若手確保−宇宙機構
時事ドットコム:新人飛行士、飛べない可能性も=4月1日から募集−ISS長期滞在要員・宇宙機構
asahi.com: 10年ぶりに宇宙飛行士募集、ISSに滞在 宇宙機構
YOMIURI ONLINE: 「求む!宇宙飛行士」10年ぶり開発機構が募集開始へ
毎日jp:JAXA:ステーションに長期滞在…宇宙飛行士を募集
NIKKEI NET: 日本人宇宙飛行士を新規募集・宇宙機構、10年ぶりに
NHKニュース:宇宙飛行士 10年ぶり募集へ
TBS News i: 10年ぶりに日本人宇宙飛行士募集へ

また、上記のJAXAのページには、文部科学省の宇宙開発委員会に提出された資料がPDFでリンクされています。この資料によると、「2月27日 記者発表」とあるので、産經新聞だけが昨夜の時点でフライングして記事にして、他の新聞各社やNHKは、JAXAの記者発表をちゃんと待ってからその内容やJAXAへのインタビューを詳しく記事にしたことがよくわかりますね。(^^;)

今回の募集の詳細も掲載されています。

これらの一次資料は、何度でも読み返してみてください。読むたびに新たな発見があると思います。

たとえばNHKのニュースの最後にある

宇宙航空機構では「宇宙に情熱があり、過酷で長い訓練にも耐えられるような強い意志のある人物を採用したい」と話しています。
というひとこと。

この何気ないひとことが、選抜の最終段階で重要な意味を持ってきます。これからの1年間、いろいろと心の迷いが生じたときにこの言葉を思い出しましょう。

(続く)

2008.02.27

JAXAが宇宙飛行士募集

秋沙のココログ既知ログ:JAXA、10年ぶりに宇宙飛行士の募集をする方針を決定
MSN産経ニュース:宇宙飛行士10年ぶりに募集 JAXA

おお。

JAXAが国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士を1〜3人程度募集する方針、とのこと。申し込みは4月1日から。

宇宙ステーション後の計画がまだ見えていないから、募集は当分先、と思っていたけれど、今にして思えば、この記事が予兆だったのか。10月の理事長のコメントだから、平成20年度の予算要求の編成が始まった時期だと思われる。

昨日の読売の社説を見て、論説委員が何が言いたいのかわからず「?????」っていう状態だったんですが、こういう動きがあったとは。

JAXAのスイートスポットは20代後半から30代前半でしょうね。若田さんの人柄をロールモデルにしてがんばってください>若い人たち。毛利さんをモデルにすると管理人のようになります(w

2008.02.24

MacBook Air分解

maclalala: MacBook Air 分解 - 外は無駄なし、中身は無駄だらけ:日経エレクトロニクス分解班 �

したがって、この記事はアップルデザインの持つ力とその意図とを根本的に誤解したものとなっている。彼らのいう「出来映えや・・・コストダウン」は大変特異なものだ。MacBook Air は、当初から非常に薄くて、頑丈な作りにすることを念頭においてデザインされており、バッテリーやパフォーマンスはそこそこと考えられているのだと私は考える。
いやぁこの記事はスクープですねぇ。GJ!

ソユーズロケット vs サターンVロケット?
ゼロ戦 vs グラマンF6Fヘルキャット?

この記事とあわせて読めばまた趣も深し。

しかし日本の宇宙飛行士が宇宙へ行く場合のJAXAの安全性チェックに基準がないことに対する井口さんの懸念を五代さんがスルーしているのは実に残念だ。防弾鋼板のない俊敏なゼロ戦と、燃料タンクやコックピットに防弾装備が満載で、強力なエンジンで力任せに一撃離脱するヘルキャットのどちらを操縦したいか、と聞かれれば、個人的にはゼロ戦なのだけど...(それでは負ける)

2008.02.16

月とオリオン座

仕事の帰り道にふと窓の外を見ると、空があまりにも澄んでいて、オリオン座がくっきり見えたので、道ばたに車を停めて、カメラを窓枠にのせてファインダーも覗かずに適当に5秒露出したら、意外にもいい構図。ぼけぼけだけど。

Orion

ぼけ味がかえって星座を強調してくれた。冬の大三角が西に傾いて、空の上ではもう春ですねぇ。地上は氷点下0.5度。

2008.02.12

コロンバスモジュール取り付け

国際宇宙ステーションにヨーロッパの実験区画、コロンバスモジュールが取り付けられた。

sorae.jp: STS-122、コロンバスを取付け

宇宙ステーションの最初のモジュール、ザーリャがロシアのプロトンロケットで打ち上げられてから足かけ10年。ESAの人たちはさぞほっとしてることでしょうね。おめでとうございます。

オランダのアムステルダム近郊、NoordwijkにあるESA/ESTECを訪れて、コロンバスモジュールのモックアップとバーチャル3DによるISS滞在体験をさせてもらってからもう9年。あの人たち、元気かなぁ...

アムステルダムといえば7年前にも訪れたっけか。夜、ホテルへの帰りに近道しようと迷い込んだ道が例の飾り窓の地区だったのでずいぶんと驚いた。しかし普通の民家も透明で大きなガラス窓がどのリビングルームにもあって、夜になると道から部屋の中が丸見えで、あけっぴろげだなぁ、と妙に感心した。

もっとも、コロンバスのアッセンブリはたしかドイツのケルン、でしたっけね?

この春にもまたアムステルダムを訪れることになりそう。これもまたなにかの因果か。

次はいよいよ日本のきぼうモジュールの番ですね。長く待ちましたね。がんばってください。

2008.02.11

「大鳥居」と飛行場跡

産経ニュースのサイトで「旧海軍の土浦海軍航空隊内にあった『土浦航空隊神社』の大鳥居が、戦後62年以上の時を経て発見された」という記事を見かけたので、見に行ってみた。

産経ニュース:「大鳥居」62年ぶり発見 元予科練生直感ぴたり

土浦航空隊神社は昭和16年5月、土浦海軍航空隊内を流れる精進川(現・花室川)の北側に建立された。予科練制度が5年に発足して以来、殉職者の英霊が奉られ、厳しい訓練にいそしむ予科練習生らは毎月15日、全員で整列し、同神社に参拝する習わしだった。
常磐道谷田部インターから車で5分ほど。

Kashima

「こんなところに神社があったのか」と思うほど目立たない場所にひっそりと建っていた。

Kashima2

鳥居の根元には「昭和十七年七月建之」の文字が。真珠湾攻撃から8ヶ月後、ミッドウェーの敗戦から1ヶ月後。

Kashima3

記事では「大鳥居」とあるけれど、ごく普通の大きさ。社もこじんまりとしている。境内にひっそりと子供向けの遊具が設置されている。

「そういえばこの近くにたしか飛行場があったな」と思って、「谷田部飛行場」でぐぐってみると、こんな記事が。

常磐道谷田部インターから常陸方面へ2kmほど進むと常磐道をまたぐ形で「飛行場橋」という陸橋がかかっている。

Yatabe2

上記のブログの後日談によると、この陸橋のすぐ近くにある谷田部神社は、かつて谷田部飛行場内にあったものを戦後移設したものという。

Yatabe

農業環境技術研究所や農業工学研究所などが立ち並ぶ広大な敷地というのがじつは東京を爆撃するB29を迎撃するための戦闘機の基地の跡、だったんですね。

Yatabe3

そう言われてみれば、つくば界隈の卓越風の吹く方向に1.8kmほどの直線の広大な土地が広がっている。Wikipediaによると、終戦の4ヶ月前、第七二一海軍航空隊に編入され、ロケット特攻機「桜花」の訓練が行われたという。「戦闘機隊の技量低下も著しく、戦闘機隊も爆装のうえで特攻攻撃に投入された。」とのこと。

統帥権干犯を隠れ蓑に、日本を戦争へと導いた当時の軍の首脳部と軍国主義を許すことはできないけれど、命をかけて国を守るために戦う以外の道が残されていなかった若い兵士たちのことは忘れたくはないと思う。黙祷。

「そういえば某所に展開しているパトリオットってどうなっているんだろう」と、Google Mapでバンカーの場所をチェックしてみると、トレーラーとおぼわしき車影が確認できる。いいのか>自衛隊?

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