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2007.09.13

United Airlines Flight 93

9/11の世界貿易センタービルに旅客機が突っ込み、その後、ビルが倒壊してゆく瞬間のリアルタイム映像は本当に衝撃的だった。あの日管理人は受験仲間たちとの飲み会に向かう途中の車のラジオで事件の第一報を知り、会場になっていた仲間の一人のアパートの部屋のテレビのニュース映像を呆然と見守っていた。足元がガラガラと音を立てて崩れ落ちて、世界が戦争に突入してゆく瞬間、とでもいうのか。そういえばSさんもそこにいたよね?

その後あちらこちらのニュースサイトを巡って、いったい何が起きたのかの事態の把握に努めた。そんな中、同時多発テロでハイジャックされた4機の旅客機のうち、唯一目標に到達しなかったユナイテッド航空93便の墜落原因を探ろうと、墜落現場のペンシルバニア州の地方新聞のwebサイトを探し当て、目撃者証言などを丹念に読み進めていくうちに、数日たってその新聞の論調がパッタリと変わって情報がまるっきり出なくなってしまった。まるで北海道新聞

その後のFOX TVやCNNや米3大ネットワークの世論形成ぶりは皆さんご記憶のとおり。ユナイテッド航空93便の乗客は「アメリカを救った英雄」として扱われ、その遺族はいろいろな場面で讃えられることになる。一つの国が戦争に向かって自国民の世論を「形成」していくプロセスをはからずもつぶさに観察してしまうはめになった。日本もかつてこういう道を歩んだのだろうなぁと思いつつ。アリゾナメモリアルや、硫黄島の擂鉢山の頂上に星条旗を立てる海兵隊員たちの銅像が眼に浮かんでくる。

11日、ディスカバリーチャンネルで「9.11 抵抗のフライト(The Flight That Fought Back)」が放映されたので、録画してみてみた。番組の冒頭ではちゃんと

What follows is based on testimony
from the families and friends
of the passengers and crew
on board Flight 93,
and on evidence from both
official sources and original research.
という断り書きがある。「ドラマ形式のドキュメンタリー」がどのような意図を持って作られるかを知った上でこの文章を熟読すると、なかなか味わいがあって、きわめて「正直な」断り書きと言ってもいいだろう。

番組はフライト93便の乗客乗員の遺族の回想と、フライトの状況を再現したドラマ、それといくつかの電話や管制塔との交信の実際の録音からなる。しかし肝心の墜落前5分間のフライトレコーダーの音声は「保安上の理由により」非公開とされている。遺族の中でもごく数名がその音声を聞くことができ、番組はその遺族からの又聞きを再構成することによりドラマが進行する。

その筋書きではこれまで何度も「公式に」語られてきたように、他の3機のハイジャックされた旅客機が貿易センタービルやペンタゴンに突入し、自分たちも同じ運命であることを悟った勇敢な乗客たちがハイジャック犯の立てこもるコックピットに決死の突入劇を繰り広げたことになっている。

ペンタゴンに3機目の旅客機が激突。番組開始後1時間10分で、2機のF16がスクランブルしたことが紹介されるが、この時点ではF16のパイロットたちはまだ93便のハイジャックのことを知らない。大統領はフロリダへ向かっている途中で連絡がつかない。ホワイトハウスの側近たちが「ワシントンに近づくすべての飛行機を撃墜すべきかどうか」という議論がなされていたことが紹介される。少なくともここまでが「公式の」歴史だ。日本語版では意訳で「ホワイトハウスでは93便の撃墜も検討していました」という字幕が流れる。

10時3分、93便はワシントンDCまであと15分という場所で背面状態になって地面に激突する。

番組の終わり近くで次のようなナレーションが入る。

Some will claim the flight 93 was shot down.
But the nearest F16 was still hundred and fifty miles away.
The Air Force did receive the authority to shoot planes down,
but not until 28 minutes after the crash of flight 93.
The forty passengers and crew frustrated Al-Qaeda's plan,
and by risking and loosing their own lives,
saved the lives of countless others.
確かに「嘘」ではないのだろう。巧妙な表現だ。

墜落前5分間のボイスレコーダーのデータが公開されて、音響分析の専門家によって真相が解明される日が来ることを強く望むとともに、乗客乗員の皆様のご冥福をお祈りします。93便には日本人の青年も一人乗っていたのだけれど、この番組のストーリーの中ではまったく言及されることがなく、最後に全員の名前が読み上げられるときだけチラリとでてきます。このあたりに「American Hero」の虚像を見て取れる。

番組のエンドロールにでてくる番組制作スタッフの名前がなぜか極端に小さくて読み取れない。かろうじて読み取れた「Directed by Bruce Goodison」で検索すると、このドキュドラマのWikipediaが見つかった。プロデューサーのPhil Craigについて検索すると、こんな記事とかこんな記事とかが見つかる。なるほど、こういう系列の人物か。エンドロールの一番最後に0.8秒ほど

Produced for Discovery Channel
by
Brook Lapping Productions
という文字が一瞬だけ現れてすぐ消える。この「Brook Lapping Productions」でさらに検索をかけてみると、ピンポン、こんなページが見つかる。なんとコンドリーザ・ライス国務長官にBrook Lapping Productionsのメンバーがインタビューした記事が米国務省のwebサイトの一部として載っている。ははぁん。そういう関係なわけね。

どうやらブッシュ政権の次の一手を読み取るための金鉱脈を見つけた感じ。今さらながら。

[追記] 目撃者証言によると、フライト93便の墜落直後にA-10が現場から飛び去ったそうです。F-16ではないから、上記の番組の「But the nearest F16 was still hundred and fifty miles away.」というのは「嘘」ではないのでしょう。ブッシュ大統領の任期が終わって民主党政権になれば、いろいろな事実が青天の下に明らかになるのかと。アメリカというのは怖い国だけど、アメリカというのはいずれ全てを明らかにする国でもある。

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