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2007.09.22

連載小説「失われた航跡」

国際電話会社に勤める深沢慎二は、出張先の英国のヨークで「どこかで出会った気が」する女性、田辺千賀子と出会い、勧められるままに陶器を購入する。別れ際、彼女が抱えていた大きな郵便物を「ホテルの郵便局で出しておきましょうか?」と軽い気持ちで受け取り、歩き始めたその時、千賀子を迎えにきた車が突然爆発し、慎二は路上に吹き飛ばされる。

慎二が預かった郵便物の宛先は、米国ポートランドに住む一人の老人だった。シアトルでの予定の仕事がキャンセルになったため、慎二はポートランドを訪れ、老人にその郵便物を手渡して千賀子の死を告げる。そこで老人は慎二にある依頼をする。

世界の各地で奇怪な死を遂げるナチ戦犯。旧ソ連のボストークロケットのエンジンを開発した科学者や、アポロ計画のサターンロケットのエンジン開発に携わった技術者らが次々と殺されていく。運命の女から託された一通の郵便物が、慎二を国際的な秘密組織へと導いていく。

連載小説「失われた航跡」

とまぁ、勝手にご紹介してしまいましたが、管理人自身はこの小説の著者の「空乏層」さんとはなんの面識もゆかりもありません。たまたまなにかのきっかけでこのブログに出会い、読み始めたところ、そのスケールの大きさとテンポの良さと登場人物が抱える複雑な過去に思わずハマってしまいました。一人で楽しむのもなんかもったいないので、ここでご紹介する次第。

ブログのタイトルに「私小説」とあるとおり、団塊の世代であるらしい著者ご自身の本業の海外での仕事の体験や挫折や個人的な追想が織り込まれているらしく、それらが歴史的事実や小説としての創作と、幻想的、重奏的に入り乱れ、一種独特の世界観を構築しています。

ストーリーはまだ序盤ですが、今後の展開がとても楽しみです。こんな面白い小説がただで読めるなんて!

2007.09.17

長沼センセ、NHKに登場

5thstarメンバーでもあり、あののぐっちゃんも敬愛してやまないという長沼センセこと長沼毅広島大学准教授がいよいよ明日22時からのNHK総合の「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場します。題して「地の果てにこそ、真実はある~生物学者・長沼毅

のぐっちゃんのブログにもあるとおり、「プロフェッショナル」の予告ムービーが秀逸です。長沼センセ、あいかわらず破天荒でかっこいいぜぃ!

裏情報によれば

あのナレーター(橋本さとし)が、あのナレーションで、こう言うんです:
「とつぜん、長沼が脱ぎ始めた」
スタジオ、大爆笑。
だそうです。「この番組はじまって以来の爆笑編」との前評判もありますので、みなさん、お楽しみに。

そういえばリメーク版「日本沈没」の田所博士の役作りって、きっと長沼センセの破天荒ぶりをロールモデルにしたに違いない、と、管理人はひそかに睨んでます。しんかい6500にも乗ってるし、南極やら地の果てまでも地の底までも出かけていくし、JAMSTECとも仲いいし、ね。

ニコルソン・クレーター

一瞬、火星の人面岩の話題かと思ったけど、違うのね(w

Technobahn ニュース : 火星のナゾの地形「ニコルソン・クレーター」

元ネタはこれのようです。

ESA: Nicholson Crater on Mars

Nicholsoncrater
Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum)

Technobahnでは

こういった侵食は、流水によるものと、風による風化によるものの2つが可能性として挙げられるが、どちらにしても、どうして丘陵部分の片面だけにこのような侵食の跡が残っているのかに関しては十分な説明ができていない。
としているけれど、管理人は非専門家なので、この画像を見て、一目で「非科学的に」断言します。(w

これはどうみても風による浸食ですね。まるで風洞実験の跡みたい。風上側のクレーターの底面が標高が高く、風下側がえぐれている。しかも風食によって運ばれた堆積物が、風を遮る山の陰に堆積している。

これが何を意味するかというと、火星のこのニコルソン・クレーターの付近では卓越風の風向がほとんど一定であるということ。季節によって、風向の変動がほとんどないのでしょう。地球のような海を持たない火星では、大気の循環モデルが地球とは比較にならないほど単純であることを予想させる。

火星の大気圧と風速はわかっているのだから、ニコルソン・クレーターの中央丘を形成する岩石の硬度がわかれば、この地形が発達するのに何万年か、あるいは何千万年かかるのか、が計算で求められる。

似たような計算を他のクレーターに対して行えば、火星の卓越風が維持された期間が求められるかも。もしかしたら、火星に海が存在したとされる期間が推定あるいは否定されるかも。

2007.09.15

かぐや打ち上げ成功おめでとう

一日遅れですが、かぐやの打ち上げ成功、おめでとうございます!

ニュースサイトでいくつか見たけれど、やっぱり松浦さんのYouTubeの画像が親近感が湧いていいなあ。というか、リアルタイムでは見られませんでした。「JAXA TVの創設を!」とかわめいておきながら、ごめんなさい。m(__)m

あれから3年半か。JAXAも変わりましたね。

山本探偵事務所(ココログ版): 「かぐや」打ち上げ成功

H-IIAロケットとしては、静止軌道よりも離れた初めての飛行でした。これを機に惑星や小惑星への飛行にも使えるロケットしてどんどん活躍してほしいと思った打ち上げでもありました。
そうなんですよ! 某所で「NASDAとISASは共同して惑星探査機を打ち上げるべきだ! いつまでも縦割りを続けている場合じゃない(という趣旨のこと)」と吠えてからすでに13年。JAXAよりも前に文部省と科学技術庁が統合してしまう、という想定外の大事件がありましたが、日本の科学技術もあれからずいぶんと成長しました。衛星本体にまで縦割り構造と丸投げ下請け構造が持ち込まれてしまう、という、これまた想定外の展開はありましたが、関係者のみなさま、お互い仲良くコミュニケーションを緊密にしつつ頑張ってほしいものです。はやぶさとミネルバの一件もあるしね。

管理人の理想像は、ISASの人たちが理想の探査機を追求できる柔軟な発想を持つこと。そのためには特定のロケットにこだわっていてはだめだし、いつまでも「工学試験」と銘打たないと予算をもらえない状況はだめだし、リアクションホイールをけちってまで観測機器を詰め込もうという、「零戦設計の美学」にいつまでも自己陶酔していてはだめだし、なによりJAXAの経営にISAS側からもっと人を送り込む必要があります。外の人が政府に働きかけるのもいいけれど、まずはISAS自らがもっと汗を流さないと。いでよISAS版小平桂一

あとは、かぐやの状況をリアルタイムで情感豊かに国民と世界に伝えられる報道官、ですねぇ... 公式英語ページはどうなっている... NatureやScienceが表紙に使ってくれたら文科省がらくになるよ。そういえばEmilyさんもまた応援してくれると思うから、懇意にしてあげてね(はぁと)

[追記] なんと、今回はNASAの月探査衛星ルナルコネサンスオービター(LRO)の教育・アウトリーチ国際部門のヘッドが種子島からの打ち上げ見学記を英語で発信している。こりゃうかうかしていると、かぐやの国際的評価はLROチームによって決められてしまいますよ>JAXA広報。

2007.09.13

United Airlines Flight 93

9/11の世界貿易センタービルに旅客機が突っ込み、その後、ビルが倒壊してゆく瞬間のリアルタイム映像は本当に衝撃的だった。あの日管理人は受験仲間たちとの飲み会に向かう途中の車のラジオで事件の第一報を知り、会場になっていた仲間の一人のアパートの部屋のテレビのニュース映像を呆然と見守っていた。足元がガラガラと音を立てて崩れ落ちて、世界が戦争に突入してゆく瞬間、とでもいうのか。そういえばSさんもそこにいたよね?

その後あちらこちらのニュースサイトを巡って、いったい何が起きたのかの事態の把握に努めた。そんな中、同時多発テロでハイジャックされた4機の旅客機のうち、唯一目標に到達しなかったユナイテッド航空93便の墜落原因を探ろうと、墜落現場のペンシルバニア州の地方新聞のwebサイトを探し当て、目撃者証言などを丹念に読み進めていくうちに、数日たってその新聞の論調がパッタリと変わって情報がまるっきり出なくなってしまった。まるで北海道新聞

その後のFOX TVやCNNや米3大ネットワークの世論形成ぶりは皆さんご記憶のとおり。ユナイテッド航空93便の乗客は「アメリカを救った英雄」として扱われ、その遺族はいろいろな場面で讃えられることになる。一つの国が戦争に向かって自国民の世論を「形成」していくプロセスをはからずもつぶさに観察してしまうはめになった。日本もかつてこういう道を歩んだのだろうなぁと思いつつ。アリゾナメモリアルや、硫黄島の擂鉢山の頂上に星条旗を立てる海兵隊員たちの銅像が眼に浮かんでくる。

11日、ディスカバリーチャンネルで「9.11 抵抗のフライト(The Flight That Fought Back)」が放映されたので、録画してみてみた。番組の冒頭ではちゃんと

What follows is based on testimony
from the families and friends
of the passengers and crew
on board Flight 93,
and on evidence from both
official sources and original research.
という断り書きがある。「ドラマ形式のドキュメンタリー」がどのような意図を持って作られるかを知った上でこの文章を熟読すると、なかなか味わいがあって、きわめて「正直な」断り書きと言ってもいいだろう。

番組はフライト93便の乗客乗員の遺族の回想と、フライトの状況を再現したドラマ、それといくつかの電話や管制塔との交信の実際の録音からなる。しかし肝心の墜落前5分間のフライトレコーダーの音声は「保安上の理由により」非公開とされている。遺族の中でもごく数名がその音声を聞くことができ、番組はその遺族からの又聞きを再構成することによりドラマが進行する。

その筋書きではこれまで何度も「公式に」語られてきたように、他の3機のハイジャックされた旅客機が貿易センタービルやペンタゴンに突入し、自分たちも同じ運命であることを悟った勇敢な乗客たちがハイジャック犯の立てこもるコックピットに決死の突入劇を繰り広げたことになっている。

ペンタゴンに3機目の旅客機が激突。番組開始後1時間10分で、2機のF16がスクランブルしたことが紹介されるが、この時点ではF16のパイロットたちはまだ93便のハイジャックのことを知らない。大統領はフロリダへ向かっている途中で連絡がつかない。ホワイトハウスの側近たちが「ワシントンに近づくすべての飛行機を撃墜すべきかどうか」という議論がなされていたことが紹介される。少なくともここまでが「公式の」歴史だ。日本語版では意訳で「ホワイトハウスでは93便の撃墜も検討していました」という字幕が流れる。

10時3分、93便はワシントンDCまであと15分という場所で背面状態になって地面に激突する。

番組の終わり近くで次のようなナレーションが入る。

Some will claim the flight 93 was shot down.
But the nearest F16 was still hundred and fifty miles away.
The Air Force did receive the authority to shoot planes down,
but not until 28 minutes after the crash of flight 93.
The forty passengers and crew frustrated Al-Qaeda's plan,
and by risking and loosing their own lives,
saved the lives of countless others.
確かに「嘘」ではないのだろう。巧妙な表現だ。

墜落前5分間のボイスレコーダーのデータが公開されて、音響分析の専門家によって真相が解明される日が来ることを強く望むとともに、乗客乗員の皆様のご冥福をお祈りします。93便には日本人の青年も一人乗っていたのだけれど、この番組のストーリーの中ではまったく言及されることがなく、最後に全員の名前が読み上げられるときだけチラリとでてきます。このあたりに「American Hero」の虚像を見て取れる。

番組のエンドロールにでてくる番組制作スタッフの名前がなぜか極端に小さくて読み取れない。かろうじて読み取れた「Directed by Bruce Goodison」で検索すると、このドキュドラマのWikipediaが見つかった。プロデューサーのPhil Craigについて検索すると、こんな記事とかこんな記事とかが見つかる。なるほど、こういう系列の人物か。エンドロールの一番最後に0.8秒ほど

Produced for Discovery Channel
by
Brook Lapping Productions
という文字が一瞬だけ現れてすぐ消える。この「Brook Lapping Productions」でさらに検索をかけてみると、ピンポン、こんなページが見つかる。なんとコンドリーザ・ライス国務長官にBrook Lapping Productionsのメンバーがインタビューした記事が米国務省のwebサイトの一部として載っている。ははぁん。そういう関係なわけね。

どうやらブッシュ政権の次の一手を読み取るための金鉱脈を見つけた感じ。今さらながら。

[追記] 目撃者証言によると、フライト93便の墜落直後にA-10が現場から飛び去ったそうです。F-16ではないから、上記の番組の「But the nearest F16 was still hundred and fifty miles away.」というのは「嘘」ではないのでしょう。ブッシュ大統領の任期が終わって民主党政権になれば、いろいろな事実が青天の下に明らかになるのかと。アメリカというのは怖い国だけど、アメリカというのはいずれ全てを明らかにする国でもある。

2007.09.08

機体カラー

時事通信:M5後継ロケットは「イプシロン」=H2A一部利用−11年打ち上げへ・宇宙機構

旧ISAS関係者であれば、忸怩たる想いがあるであろうこのニュース、もうそろそろ吹っ切れたのかな?

当初、アメリカに気兼ねした一部の勢力が勝手に先回りして圧力をかけてきたのか、と、邪推してましたが、その後の開発方針の推移をみる限り、むしろ「隠れゴーリスト」と言わんばかりの勢いですね。この勢力、大丈夫なのか?

一方、銀色と赤の機体カラーは、継承されるか分からないという。
とのことですが、時事通信でこんなマニアックな質問が出来る記者って…、Mさん、あんたしかいない?!

迷彩色だけは避けていただけるよう、切にお願いしますよ>JAXA

知名度

星出宇宙飛行士の母校を訪問する機会があったので、「星出くんは君たちの先輩だよ。知ってる?」と聞いたら、20人中1人しか星出くんのことを知らなかった。

こんなんでいいんかい>ほしくん、JAXA?

なんかテコ入れが必要っすねぇ…

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