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2007.07.08

Mayday

スカパーのナショナルジオグラフィックチャンネル

メーデー!4:航空機事故の真実と真相 #5 「737型機に潜む危機」

という番組をなにげに見てみて驚いた。これはじつに優れた科学技術ジャーナリズムだ。

ユナイテッド航空の585便ボーイング737型機が1991年3月3日、コロラドスプリングス空港への着陸直前に突然ロールしてコントロールを失い、地表に激突。米国交通安全委員会(FTSB)のメンバーは直ちに現場に急行して事故原因の徹底的な究明を進めるが、原因はようとして判断できない。フライトレコーダーの解析から、方向舵が原因不明の挙動を示していたが、なにが方向舵を制御不能にしていたのかが突き止められない。2年後に委員会は「原因不明」という異例の報告書をまとめるが、後味の悪さがつきまとう。その1年後の1994年9月8日、今度はUSエア航空427便のボーイング737型機が、やはり突然ロールしてコントロールを失い、墜落。FTSBは方向舵の異常な挙動というUA585便との類似性に着目するが、やはり原因は突き止められない。更に2年後の1996年6月9日、Eastwind航空517便のボーイング737型機が空中で突然謎のロールを経験するが、墜落寸前で奇跡的にコントロールが回復し、同機は無事着陸する。

ボーイング737という、世界で最もポピュラーな民間旅客機が5年間に3件、同様のトラブルに見舞われるという異例の事態を受けて、FTSBは方向舵を油圧で制御する「ダブルシリンダー」に対して、軍用機と同じ基準の「極低温下に高温のオイルを流す」というヒートショック試験を課してみた。すると、シリンダーが突然動きを止めて方向舵制御に異常を来すことを発見。さらにボーイング社の追試験によって、このダブルシリンダーはある特殊な条件の下で「パイロットが操作する向きとは逆の向きに方向舵が動く場合がある」ことを発見。

例えていえば、高速道路で車を運転していて、右方向から横風を食らったので、ハンドルを右に切ったら、タイヤは運転手の意図に反して左に切れて、横風に流されるままに一瞬のうちに道路の左側に吹き飛ばされる、という状態。

民間機の操縦系統にヒートショック試験が義務づけられていなかった、というのも意外だったけれど、FTSBの調査員の粘り強さと、この番組を作った人間の見識に敬服する。

日本の科学技術ドキュメンタリーのテレビ番組でこれに匹敵するほどの感銘を受けたものといえば、第47回 科学技術映像祭 内閣総理大臣賞受賞を受賞したという

NHKスペシャル:「安全の死角 〜検証・回転ドア事故〜」

くらいのものか。

ぐぐってみると、この「メーデー」という番組、元はカナダの制作らしい。英語版Wikipediaにはじつにマニアックな解説がある。

Wikipedia: Mayday (TV series)

ナショナルジオグラフィックチャンネルでの今後の放送予定は

7月8日(日) 09:00〜10:00

御巣鷹山に墜落した日航123便について紹介している「Season 3 Number 3 Out of Control」をぜひ見てみたい。

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