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2007.04.19

夜の帳

北太平洋上空、高度1万1千メートル。成田を飛び立ってから1時間半、サンフランシスコへ向かう大圏コースの機上からふと窓の外に目を向けると、どこまでも澄み切った成層圏の空の彼方から、夜の帳が巨大な壁のように迫ってくるのが見えた。

Earthshadow

写真ではわかりずらいけれど、水平線から接線方向に地球の影が宇宙へ向かって伸びているのがくっきりと見える。飛行機には何度も乗っているけれど、こんなにくっきりと地球の明暗境界線を目の当たりにしたのは初めて。皆既日食のときに巨大な月の影が地上をものすごい速度で覆っていくのを見た時と同じような畏怖を感じた。

いま眼下に広がっている地球はどれくらいの範囲だろうか。パソコンを取り出してExcelを使って三平方の定理で近似してみた。高度1万1千メートルだと、水平線までの距離は370km程度。とすると、眼下に広がるのは100〜200kmほどの風景ということになる。東京上空から関東平野一円が見渡せる、という計算か。

一方、宇宙ステーションの高度は400km。鹿児島上空から北海道の先までが視界に入ることになる。

ボーイング747の飛行高度は宇宙ステーションの36分の1。しかし視界の広さで比べると6分の1程度でしかない。宇宙に行く夢はかなわなかったけれど、かつて零戦のパイロットが苦労して登りつめた成層圏で、宇宙の片隅にいる自分を感じた一瞬だった。

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