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2005.11.05

はやぶさのリハーサル降下

4日に行われたはやぶさのイトカワへの降下リハーサルは高度700m付近で自律航法装置のデータに異常が発生したために中止したとのこと。松浦さんのブログで記者会見の様子を読むと、探査機の自律航法のアルゴリズムで想定していたよりもイトカワの形状が複雑だったので、自機の位置を算出する誤差が大きくなってしまうようだ。イトカワの画像のピクセルをしきい値で抽出して重心を計算することでイトカワとの相対位置を検出しようとしているらしい。アルゴリズムの改良は地上から可能なのかな... ちょっと心配。

しかし従来のフライバイのミッションと比べると格段に探査の自由度が高いですね。その意味でも画期的なミッションといえる。ミネルバの放出はぜひ成功させて欲しい。これでサンプルリターンに成功すればアポロ13号並みの成果...?! いやアポロ13は「偉大なる失敗」か。失礼。

管制室のリアルタイム中継も、音声なしの画像のみ、だったけど、その姿勢は評価したい。従来のISASからは想像もつかないほどの情報公開ぶりだ。JAXA統合の効果が出て、広報面での人手不足が解消したのかな。ブログの解説もよかった。実況解説にブログを使うことを提案した人は知恵者だね。投稿の時刻が表示されるとさらにいいと思う。

でも、できればリアルタイム中継には解説の音声が欲しい。当事者はとても解説どころではないだろうから、事情のわかっている部外者を連れてくればいいと思う。高柳さんあたりいいんじゃないのかなぁ。

[追記] いや、ここはやっぱり的川先生に一肌脱いでいただくのがよろしいかと...

海外の宇宙系のメディアもこぞって注目している。情報公開の効果がてきめんに現れているようだ。

The Planetary Society Weblog: New High-resolution Image of Itokawa from Hayabusa
SpaceDaily.com: MINERVA Explores The Surface Of Itokawa
Space.com: Japan's Hayabusa Closes in on Asteroid Landing Site
SpaceRef.com: MINERVA explores the surface of ITOKAWA
BBC News: Asteroid encounter postponed
AstroArts: 「はやぶさ」世界に先駆けた画期的な観測結果 〜 4日のリハーサル降下は中止へ

これに対して日本の一般紙の見出しは「中止」の文字が目立つ。なんかあいかわらず、という気がするけれど、4日の出来事は失敗ではなくて大事を取ったというだけのことなのだから、「中止」って、ある意味、関係者に対してしかニュースバリューを持たない気がする。一般読者に対しては「世界初」のほうがニュースなのじゃなかろうか、って思うんですが。

ここではやぶさのリンク集のリンクなど:

Wikipedia: はやぶさ(探査機)
del.icio.us/spiegel/HAYABUSA
星が好きな人のための新着情報
Space Figher Now: 今日のハヤブサ
松浦晋也のL/D: 「はやぶさリンク」:11/4降下リハーサル中止の記者会見
脇見運転:[はやぶさ]降下中

JAXAは「はやぶさ」を事あるごとに工学試験衛星であると強調している。にもかかわらず、(公式には)目的の本質ではない小惑星探査についてここまで閉鎖的になるのは目的を履き違えていないか。二次的な成果であれば世界に対して広く速やかにデータを提供するのが税金の正しい使い方ではないか。
という意見が。たしかにISASの言い分を額面通りに受け取れば、このほうが正論だ。あたしゃ逆に考えてた。もし人手不足で自分のところで理学データを解析する力がないのだとすれば(「すれば」ですよ)、データを人類の共有資産とするべきだ。脇見運転さん、あなたが正しい。

ISASはこの件については公式見解をなにも発表してない。あくまで部外者の邪推の域を出ない。

しかしなんとなくISAS内部の工学系と理学系のパワーバランスが透けて見えてくるような気が...

残る降下のチャンスは2回? それとも3回? うまくいってほしいものです。

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Comments

御無沙汰しております。
これは純粋に興味なんですが、外から見るとISASの理学と工学のパワーバランスはどのように見えるんでしょうか?

akiakiさんご無沙汰してます。お身体の具合は大丈夫ですか? いまごろになってですが、能代宇宙イベントの大成功、おめでとうございます。

外から見たISASの理学と工学のバランス? それは松浦さんのブログ記事にある

>「はやぶさ」は工学試験機であり、小惑星探査は「せっかく行くのに何もしないのはもったいない」という位置付け。

という記者会見に象徴されてますね。「ISAS内部では理学はおまけ」と言っているように聞こえます。これははやぶさだけではなく、のぞみの失敗の時に「いや、実はこれこれこれだけの工学的成果が得られた」という主張を聞いた時にも感じました。

はやぶさのPIって、もしかして大学の先生ですか? JAXA/ISASが単独では記者会見を仕切りづらい理由がなにかあるのでしょうか? 部外者にはそれすらわからないです。

GO/NOGOの経過説明だけであれば、プロマネの川口先生だけの記者対応でよいのかもしれませんが、一般論として記者会見には工学系、理学系、それぞれの代表が仲良く席をならべて記者の質問に答えたほうが、ぐっと印象がよくなると思います。

逆に、それをやらないとなると、いろいろ勘ぐっちゃいます。^^;

痛くもない腹を探られるよりは、事態が順調に推移しているうちにあっさりと記者の前に出てきておいたほうが、なにかあったときに味方が増えて心強くないですか?

はじめまして
いつも楽しく読ませていただいております。
今回の、はやぶさに関することですが、"はやぶさ"はもともとMUSES(Mu Space Enginearing Satellite=Muロケットを使った技術試験衛星:旧NASDAでのETS系と似た系列)系の衛星で、工学ミッションが中心の衛星ですので、その様に感じられるのではないでしょうか。
すざく(ASTRO系)などだと随分雰囲気が違う気がします。

tnkhさん、コメントありがとうございます。

たしかにASTRO系の衛星は非常に頑張ってますね。小田稔先生の伝統かな。最近運用を終了した「はるか」も世界に先駆けて画期的な衛星でしたね。

ISASに工学系衛星があっても悪くはないんですが、出自が「宇宙_科学_研究所」なので、いろいろ期待してしまいます。組織の長がどのような人材を集めてくるかとか組織の存在意義をどこに見出すかとか...

http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.242/tokushu-01.html

には「先生が繰り返し強調されたのは,宇宙科学研究所における理工の連携の重要さでした。」という追悼の言葉もあるのですが。

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