STS-114のプレスキットが公開
7月13日(日本時間7月14日)に打ち上げのスペースシャトルディスカバリー号のミッションの詳細を記したプレスキット改訂版をNASAが公開した。
NASA: NASA Return to Flight Press Kit Available Online
NASA: The Space Shuttle's Return to Flight: Mission STS-114 Press Kit (PDF 8.7MB)
JAXAが提供するプレスキットがシャトルや宇宙ステーションの一般的な解説やFAQ的な内容を織り込んで、読み手が前提知識を持っていなくても読みやすくなるように編集されているのに比べると、NASAのプレスキットは今回のミッションに関する情報、特にコロンビア号事故調査委員会の勧告項目とその各種対策のことに重点を置いている。JAXAのプレスキットもいろんなトリビア的背景説明的な「コラム」があったりして、読んでいて楽しいけれど... こういうのをいつも目にしていれば、そりゃ万起男ちゃんじゃなくてもシャトルおたくになるわな。
以下、NASAのプレスキットから拾ったトリビアをいくつか。
NASAは今回のSTS-114と次のSTS-121で打ち上げ時と帰還時に2機の高々度観測機WB-57を飛ばして、シャトルの状態を詳細に撮影する。
Image Credit: NASA
Image Credit: NASA
この飛行経路を見ていて、「いつ打ち上げになるかの保証がないのに、打ち上げの瞬間をねらって最適なフライトがよくできるなぁ」とよくよく考えたら、今回のミッションは宇宙ステーションとのドッキングがあるので、打ち上げ可能時刻が一日のうちの数分間に限られるのだった。もしこれがシャトル単独のミッションだったら、直前になっての打ち上げホールドはよくある話なので、この飛行経路通りには飛べないね、たぶん。
WB-57にはシャトルの映像を詳細に記録されるためのハイビジョンテレビと近赤外線テレビが超望遠レンズに接続されて搭載される。「超望遠レンズ」とは、天文ファンならおなじみのセレストロン社の口径27.5cm、焦点距離4,200mmの反射望遠鏡。ハイビジョンテレビはパナソニック社のAK-HC900。近赤外線テレビはSensors Unlimited社のSU640SDV 1.7RT/RS-170。
外部燃料タンクの断熱材や氷の剥離などを監視するために、タンクや固体燃料ブースターロケットにもカメラが増設される。オービターの底面とタンクの様子をモニターするために増設されるTVカメラはSONY社のXC-999。
外部燃料タンクの燃料パイプ接続口付近には従来35mmカメラが設置されていたが、これを今回はKodak社のDCS760というデジタルカメラに交換する。
このKodak社のカメラはこの他にも、シャトル打ち上げ後に外部燃料タンクを切り離した後、野口宇宙飛行士が外部燃料タンクの状態を記録するために400mmの望遠レンズで撮影するのに使われたり、シャトルが宇宙ステーションとドッキングする前に、オービター底面の様子を宇宙ステーションの乗組員が400mmと800mmの望遠レンズで撮影するのに使われたり、船外活動時の作業記録用カメラとして使われたり、NASAの宇宙活動の様々な場面で大活躍している。
「Kodak社のDCS760って聞いたことないなぁ」とGoogleで調べてみてびっくり。なんのことはない、Nikon F5のOEMじゃないか!
とまぁ、あらためてNASAのプレスキットを詳細に読み込んでみると、日本製品が思いのほかいろんなところで活躍しているのを見てびっくりする。光学系はMade in Japanの独壇場だね。浜松ホトニクスの製品も火星まで旅したし。
日本人の一人としてなんか嬉しくなる。単純?
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