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2005.07.31

中国が女性宇宙飛行士候補を選抜

少し前のニュースですが、

CNN.co.jp: 中国、初の女性宇宙飛行士候補35人を選抜

中国が初の女性宇宙飛行士候補35人を選抜したとのこと。2010年までに宇宙へ送り出す。17歳から20歳までの女性35人を20万人以上から選抜。

って、20万人以上????

すげ。

17歳から20歳までということは2010年には22歳から25歳ってことか。日本やアメリカと違って、ずいぶん若いですね。

2005.07.30

What a View!

第1回の船外活動は準備に手間取り1時間以上遅れた。日本時間18時46分、バッテリーを宇宙服に切り替えNASAは「船外活動開始」を宣言。野口さんが最初にハッチから外へ出る。18時54分、「Wao! What a view!」という声が聞こえる。ハッチから出たと思われるが、データ中継衛星の範囲外にあるため、映像が見えない。;_;

あと数分で映像が入ると思われる。

19:10 最初の映像が入った。右下に宇宙服が写っている。

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19:16 野口宇宙飛行士が緊急帰還用の宇宙ステーション側のエアロックのハッチを開いた。

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19:58 シャトル貨物室の後部で耐熱タイルの修理をテスト中。ロビンソン宇宙飛行士のカメラから見た野口宇宙飛行士。

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GoogleSatTrack2なんてサイトがあるんですね。すごい。

ニュース実況++@2ch掲示板で「STS114について」をご紹介いただき、どうも、です。

ディスカバリー号の損傷箇所は6分の1に

同じ内容を伝えるのでも、見出しのつけ方一つで読む側の印象はまるで違って見える例。ちなみに記事に見出しを付けるのは現地で取材をした記者ではなくて、日本の本社にいる編集デスクの権限。

asahi.com: シャトル、翼などに傷複数 NASA「機体は健全」

ディスカバリー号が宇宙ステーションにドッキングする前に行った360度の縦宙返り。宇宙ステーションのクルーが望遠レンズで撮影した結果などを地上のスタッフが解析した結果、機体の25箇所に損傷が認められたという。いずれも重大な損傷ではないとのこと。

事情をよく知らない人が聞けば「25箇所も損傷があったのか!」と驚くかもしれないけれど、以前のミッションでは平均して145箇所の損傷があったというから、今回は大幅な改善、と見るのが妥当。毛利さんや向井さんや若田さんや土井さんのミッションではもっと多くの損傷を抱えて無事帰還している。とはいっても損傷を軽視するべきではない。

損傷部位については今日のOBSSの再検査でさらに詳しい状況を解析する。

NASAのグリフィン長官は記者会見で「Discovery is the cleanest bird we've seen」「Six times cleaner than the average across 113 (previous) missions.」と述べ、技術者のこれまでの努力をねぎらった。

CBS News: News Coverage of Shuttle Mission STS-114

04:30 p.m., 07/29/05, Update: Griffin defends shuttle, external tank

FloridaToday: NASA boss: Fast foam fix is possible

おなじ会見でグリフィン長官はアトランティス号の外部燃料タンクへの対策を比較的短期間で完了させるとの見通しを示し、9月の打ち上げが目標であると述べた。ただしこれはあくまで目標であり、対策が完了しなければ打ち上げを延ばす可能性も認めた。

今日はあと2時間半ほどで1回目の船外活動が始まる予定。耐熱タイルのサンプルを使って損傷修復のテストやGPSアンテナの修理、ESPADという船外保管プラットフォームの取り付け作業などを行う。

NASA TVを聞いていたら、今回のドッキングで姿勢制御の負荷がかかったのか、宇宙ステーションの姿勢制御用ジャイロCMG-3のベアリングから異音が発生しているとのこと。CMG-1とCMG-2は停止しているので、CMG-3まで壊れたらジャイロでの姿勢制御がかなり難しくなる。今日の船外活動で電源ケーブルを交換しCMG-2が復旧する見込み。明後日の2回目の船外活動で野口宇宙飛行士が故障したCMG-1を交換するが、これらの修理がうまく行けば、CMG-3を停止してベアリングを温存する、という。

アトランティス号の打ち上げ日が現時点では予測できないため、NASAはディスカバリー号の帰還を一日延ばして、宇宙ステーションでの機器の交換やゴミの回収作業を行うことを検討している。

asahi.com: ディスカバリー帰還、1日延期を検討 NASA
FloridaToday: Discovery may stay up extra day

帰還延期の決定は明日。

逆転現象

GeoCitiesのトップページの「今週のピックアップ」で本家サイトが紹介された。この影響もあって本家サイトのアクセス数が増えている。いつもは日記(ココログ)の方がアクセスが多いのに。

のぐっちゃんの打ち上げ以降、本家サイトのビジター当たりページビューが多い。それだけ関心を持ってくれる人が訪れるようになった、ということか。昨日の本家サイトのビジター数1100、ページビュー4550。

ところでこの方はケネディ宇宙センターまで26日の打ち上げを見に行かれたようだ(トップ→What's New→7月26日)。とてもうらやましい。^o^

見学者数が少なかったのと到着時間が早かったので、草むらではなく、見学用のスタンドに連れて行ってもらえたらしい。なんてラッキーな!! そんなことがあるんですね。

2005.07.29

外部燃料タンクの断熱材

先程ひらかれたNASAの記者会見の模様がCBS Newsに。

CBS News: Shuttle Mission STS-114 Status Report

ディスカバリー号の外部燃料タンクから打ち上げから約130秒後に剥離した断熱材の破片は、その高度での大気が薄かったためにディスカバリー号にぶつからなかった、という。剥離したタイミングがあと数十秒早ければ、コロンビア号の時と同じく壊滅的なダメージを与えていた可能性がある、と、NASAの技術者が認めた。

特に打ち上げから81秒後の空気力学的に負荷が最大となる瞬間に剥離していれば、破片が大気で減速しながらシャトルにぶつかるので、ぶつかる瞬間の両者の相対速度が最大となり、ダメージがもっともひどくなる。タイミングがずれると破片の軌道が変わり、ぶつかる場所も変わってくる。今回の打ち上げでぶつからなかったのは幸運だった。

今回剥離したのはケーブルトレイや燃料パイプを空気力学的に保護するPALランプ(Protuberance Air Load)と呼ばれる部分。形状が複雑なため、製造工程を機械化できず、職人が手で吹き付ける。コロンビア号事故調査委員会の勧告の第一項目が「外部燃料タンクからのオービターに危害を加える可能性のある物体の剥離を無くすこと」だったので、NASAはこのPALランプをやめてケーブルトレイなどをむき出しにすることも検討したという。

風洞実験の結果、シャトルが音速の壁を越える時に、PALランプがないとケーブルトレイなどを保護できない、という解析結果が出て、断熱材の吹き付けを従来通り行うことを決定した。その決定が間違っていた、と、シャトル計画部長のビル・パーソンズが昨日の会見で述べた。その模様がこれ。

毎日新聞:<ディスカバリー>NASA計画部長「我々は間違っていた」

2005.07.28

ISSとドッキングに成功

日本時間20時18分、大西洋太平洋上空でドッキングに成功。

ドッキングに先立ち、コリンズ船長は国際宇宙ステーションの下方180mでディスカバリー号を宙返りさせ、宇宙ステーションのクリカレフとフィリップスは400mmと800mmの望遠レンズを装備した一眼レフで耐熱タイルの様子を撮影した。この画像データはまもなくダウンリンクされ、地上のスタッフによってタイルのダメージの様子が解析される。

Docking
Credit: NASA TV

コリンズ船長のドッキングは完璧ともいえるスムーズなものだった。2002年11月25日以来、2年8ヶ月ぶりにシャトルが宇宙ステーションに戻ってきた。

OnBoard
Credit: NASA TV

のぐっちゃん、宇宙ステーションに乗り込む。乗り込んだ後はハンディカムを片手にみんなの様子をビデオに撮ってばかりだった。しかしもう無重力の環境に馴れてるねぇ。あさっての船外活動も大丈夫そう。

アトランティス号の打ち上げを延期か

26日のディスカバリー号の打ち上げ後125秒後に固体燃料ロケットブースターを分離。その数秒後、かなり大きな断熱材の破片がはがれ落ちて行くのがビデオカメラに捉えられた。

その後、外部燃料タンクを切り離した後の映像を野口宇宙飛行士らが撮影し、どの部位が脱落したのかが特定された。映像はここここここここ

脱落したのは、タンクの周辺にある燃料パイプや信号ケーブルのでっぱりで気流が乱れるのを防ぐために整形のために吹き付けられたPALランプと呼ばれる部分。破片は幸い、ディスカバリー号にはぶつからなかったが、NASAははがれ落ちた破片の大きさにショックを受けている。

「外部燃料タンクから断熱材や氷などがはがれ落ちることがないこと」というのがコロンビア号事故調査委員会の勧告であり、今回のミッションのトッププライオリティであるにも関わらず、今回の脱落が起きたことから、NASAは9月に予定されていたアトランティス号の打ち上げ予定をとりあえず白紙に戻す。

Spaceflight Now: STS-114 Shuttle Report | Mission Status Center

日本のメディアが一生懸命とりあげている前輪格納扉付近の4cm角程度の耐熱タイルの損傷についてNASAは現時点ではどちらかといえば楽観的な見方をしている。この部位について修理が必要かそのまま帰還させるかの決断はOBSSの映像データなどをまとめて解析し、今週末に結論を出すとのこと。

燃料パイプと信号ケーブルトレイの気流成形のために断熱材を吹き付けるのをやめて金属板で囲うなどの改善策が議論されている。

コロンビア号の事故が起きるまでは、これらの事象は確認することすらできなかった。100台以上増設されたテレビカメラや外部燃料タンクの詳細な映像、OBSSの診断結果などをもとに今後の対応策を詳細に議論することができるのが、今回のフライトの最大の利点だ。

断熱材剥離の問題はいささかがっかりするが、これだけの調査体制を実際に作り上げてしまうところがNASAのすごい所だと思う。日本では調査にここまでお金をかけないような気が...

2005.07.27

「STS-114について」を日本時間に対応

本家サイトの「STS-114について」のフライトプランを日本時間に対応させてみました。

アルタに始まりアルタに...

そういえば管理人がのぐっちゃんと初めて会ったのはアルタの前だった。9年前、5thstar初めての全体顔合わせ。そのアルタで彼の打ち上げを見るというのも何かの人生の縁、かな?

アルタでは民放のカメラの放列が待ちかまえていて我々は動物園のパンダ状態だった。しかし大画面の迫力は満点。ここまで来た甲斐があった。明朝のニュースに注目!

のぐっちゃん、今、宇宙かぁ。しっかり頑張ってくれ〜。

[追記]

ALTA

青いユニフォームに日の丸。ワールドカップの日本チームサポーターの気持ちがちょっとわかるようになった。我々の周りを報道陣が取り囲み、さらにその周りを通りすがりの人が遠巻きに見守る、という3重構造。

フジテレビとテレビ朝日ではちらっと放映されたらしい。

読売新聞のニュースサイトにも写真が載った

ALTA2

打ち上げ後の取材の様子。

2005.07.26

打ち上げ成功!

やったぁ!のぐっちゃんおめでとう!!p253i0001769731.jpg

アルタ前に到着

雨があがってる。風はちょっと強いがいい打ち上げ日和だ。フロリダの青い空とは比ぶべくもないが。のぐっちゃんはディスカバリーに搭乗。いよいよだね。p253i0001638657.jpg

台風とシャトル

これから都内某所に出かけて打ち上げの応援。まさかシャトルの打ち上げで台風と喧嘩することになるとは。

フロリダの天候は良好。確率80%に向上している。センサーは4つともokと。よかった!どうか無事に!

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2005.07.25

強引なるNASA

燃料タンク残量センサーの不調の問題を例外的に3個のセンサーだけでもよしとして土曜日から打ち上げのカウントダウンを続行しているNASA。宇宙飛行士の立場としてはこうなったら自分に与えられた任務を着実に遂行する、としかいえない。

ただ、引退した宇宙飛行士は自由な立場でものが言えるから、StaffordとCoveyの二人に今回のNASAのやり方をどう思うか、直撃インタビューしてみてよ元村さん、と、思っていたら、元村記者と永山記者のタイアップでいい記事が出ている。

毎日新聞: ディスカバリー:今回もスケジュール優先で打ち上げへ

そう、そうなんです。このタイミングで書いておかなきゃね。日本人宇宙飛行士はみなし公務員。その生命の安全を保障するのはJAXAと日本政府の責務ですよ。

一方、アトランティス号のVABヘの移動は当初の予定より2日遅れた。その様子を見ていた別の記者の話によると、それを見ていた地元の人がこんなセリフをもらして笑っていたという。

"It's government work. Alwayas slow."

「STS-114について」を更新

本家サイトの「STS-114について」を7月26日打ち上げの予定にあわせて更新した。


CBS Newsのサイト
ではSpaceCalcというExcelのファイルと「Space Reporters Handbook」というPDFファイルがダウンロードできるようになっていて、これがなかなかすごい。NASAのプレスキット顔負けの充実した内容になっている。これだけの情報を一人でアップデートしているCBS News Space ConsultantのWilliam Harwood氏って、いったいなにもの?

2005.07.24

でじかめ

管理人は高校の頃からのNikon党員。さほどたくさん交換レンズを持っているわけでないが、小さい頃から慣れ親しんだフォーカスリングの感覚などは肌になじむ。ニッコールレンズの実務的な描写が好きだ。父親がライカ党員だったので、よけい意固地になってNikonにこだわっていた部分があるのかもしれない。

一方、長年のMacintosh党員でもあるので、プリンタドライバなどの問題からCanonの社風にはあまり与したくないという先入観があった。

今回、フロリダに行って、プロの報道カメラマンから面白い話を聞いた。

シャトルの打ち上げは危険を伴うので、打ち上げ時、発射台から5km以内には人は近づけない。そこでNASAは報道陣のカメラを預かって、射点に近い場所に設置し、リモートコントロールでカメラマンが写真を撮ることができるサービスをやっているとのこと。NASAのプレス対応にNikon党員がいるのかどうか知らないけれど、このサービスはリモートコントロールの信号の規格からNikonのカメラに対してしかやってくれないらしい。

そういえば万起男ちゃんの著作にも出てくる旧NASDAのT部長は選り抜きのNikon党員でもある。その筋では有名なアマチュア写真家らしい。

さて、時代はIT。スピードが求められる報道カメラマンにとって、一眼レフのデジタル化は世の習い。

そこで、プロから話を聞いたところによると、その人は今回、NASAのリモコンに預けるためのカメラにNikon、自分の手でシャッターを切るためのカメラにCanon EOSを選択したらしい。システムが2重になるので荷物が重くなるのだけど、もはやCanonのCMOSセンサーの画質は圧倒的にいい、という。これはその人だけの意見ではなくて、アメリカの同業者の間でもNikonからCanonへのシフトが一斉に起きつつある、とのこと。

CMOSって食わず嫌いで敬遠してたけど、そうなんか。レンズをそうそう買いかえられない個人としては、Nikonにはここでより一層踏ん張ってもらって挽回して欲しい所だけど、一度、報道のプロが撮ったNikonとCanonの違いをじっくりと確かめてみたい所。

どなたか詳しく比較してみた方がいらっしゃれば、ご教示いただきたく。

2005.07.23

「きぼう」打ち上げ延期か中止か

読売新聞:実験棟「きぼう」打ち上げ延期も、NASAが通告

とうとうNASAがあからさまにこの話を日欧に持ちかけてきたんですね。

国際宇宙ステーションを完成させるのに必要な28回のシャトルのフライトが困難で、グリフィン長官は最近はシャトルの飛行回数をさらに削減すると言っている。当然、再検討の矢面に立たされるのが日本とヨーロッパの実験モジュール、ということになる。

FloridaToday: House passes bill on NASA policies, programs

月と火星をめざすNASAの新戦略の予算案が米下院を通過。この案には国際宇宙ステーションの計画削減が盛り込まれているという。

The legislation also contained an important new clue about NASA's plan to downsize the International Space Station to reflect the reality that the space agency will not be able to build the orbiting research facility that had been envisioned prior to the loss of shuttle Columbia in 2003.

Added to the legislation at the last minute today was an amendment that permits NASA to complete the space station "in such a configuration as to support fewer than six persons."

乗員を「6名より少なく」するという。古川・星出・山崎の三宇宙飛行士は本当に飛べるのか? まかり間違ったら管理人自身がその運命だったかもしれないだけに、まさに他人事じゃない!

NASAにとってはより焦眉の問題である、ロシアからイランへの核技術輸出の問題で「NASAがロシアに打ち上げてもらう契約を認めない」とする禁止条項を停止する件は今回の予算案では触れられていない。NASAにとっては自国の宇宙飛行士を宇宙ステーションに滞在させられなくなる可能性があって国内世論の反発を招きかねず、きぼうやコロンバスの問題よりもっとずっと頭が痛い。

84年のロンドンサミットでレーガン、中曽根、サッチャーが国際宇宙ステーション構想に合意してから21年。93年に国際宇宙ステーションがわずか1票差で米下院で生き残ってから12年。日本人宇宙飛行士選抜の真っ最中だった98年11月に宇宙ステーションの最初のモジュールである「ザーリャ」が打ち上げられてから、6年8ヶ月。IT業界の「dog year」と較べると、宇宙開発業界の時の流れは悠久であるかのように見えるけれど、その間の国際情勢の変化はまさに激動。

1984年って、村井純先生がマンホールに潜って、日本のインターネットを立ち上げた年じゃないか。ひゃあ。そういえば電電公社って、いまとは想像もつかないくらい尊大な存在だったよなぁ... 日本の電気通信事業を一手に独占して。

日本の三人の宇宙飛行士をなんとか飛ばしてあげたい。そのためには日本がもっとしっかりしてなくちゃね。うーん、彼らが引退するまでに間に合うか... 宇宙開発って息が長すぎ...

2005.07.22

チケット販売

ディスカバリー号の打ち上げは26日に再設定された。

これにともない、26日の打ち上げ見学チケットがまた販売されている。13日の打ち上げを見に来た人が全員また見にくるわけではないので、空席ができたようだ。

Kennedy Space Center: Space Shuttle Launch Viewing Tickets

ということで、前回チケットを買えなかったけど、今回こそは買いたいと思っている人はぜひどうぞ。

見学に行けない我々の分まで応援してきてください!

2005.07.21

ディスカバリー号の打ち上げ日は26日に再設定

13日の打ち上げ延期の翌日、燃料タンクセンサーのトラブルの詳細を知って、管理人は「個人的憶測だけど、今回のトラブルは燃料タンクの熱収縮によるメカニカルな接触不良だ。ディスカバリー号が組立て棟(VAB)に戻るのはほぼ確実のはず」と予言した

しかしその後、NASAはオービターの側のポイントセンサーボックスを調査したりケーブルの接触を調査したりして、一向に外部燃料タンクを調査したり燃料注入試験を開始する気配がない。

ようやく昨日になって、NASAは外部燃料タンクを常温のままで数日間調べることにした。注入試験も行うことに決めたが、来週火曜日まで行わない、という。

CBS News: 09:45 p.m., 07/18/05, Update: NASA mulls launch options

一方でNASAは次の打ち上げ日を「26日以降」と設定した。宇宙飛行士に休日を与え、26日の打ち上げに向けて再隔離の態勢に入った。

FloridaToday: Shuttle crew takes quarantine break

ケリー、ローレンス、ロビンソン、トーマスの4宇宙飛行士がヒューストンに戻って子供たちと再会。

一方、次のアトランティス号を今日、VABに移動する、と、SpaceflightNowが報じている。つまり、ディスカバリー号のVABへのロールバックはもうない。

NASA上層部は肚を括ったな。センサーの問題をそのままにして、フライトルールを変更してこのまま打ち上げるつもりだ。

CBS News: 08:45 a.m., 07/20/05, Update: SpaceCalc, flight plan updated to reflect 7/26 launch target; possible grounding problem assessed 

NASAからは48時間以内に正式な発表があるでしょう。すでに帰国された報道陣の皆さん、ご苦労様ですが、26日、打ち上げみたいですよ。

26日の打ち上げ時刻は日本時間午後11時38分54秒(米東部夏時間午前10時38分54秒)。

NASAが注入試験を行いたくない理由はよくわからない。穿った見方もしてみたけど、案外、金属疲労の蓄積が心配なのかもしれない。どうなんでしょう>詳しい方?

2005.07.18

液体燃料タンクセンサー

液体水素燃料タンクの残量を見るセンサーの不調で打ち上げが延期になったディスカバリー号。船長のアイリーン・コリンズが声明を出した。

NASA: Statement From Space Shuttle Commander

"My crew will remain in quarantine for the near future, maintaining our proficiency for this mission. We are keeping in close touch with the
troubleshooting plan; we have confidence that the best people are
working it. In fact, the plan our engineers have put together is
impressive, and we are very proud of the work they are doing!


"While the launch delay is disappointing, we have strong confidence
that the mission will launch safely and successfully, and we fully
support our NASA leadership for taking the time required to understand
the problem. We thank all of you for hanging with us!"

宇宙飛行士というのはトラブルがあっても同僚を責めたりはしない。どんな状況でも与えられた任務を着実にこなす、優等生のような性格の持ち主でなければならない。コリンズ船長のこの声明も、優等生を絵に描いたような見事な模範的回答だ。

ただ、よく見ると、この言葉の選び方に、彼らの置かれた立場からのじつに微妙な主張を読み取ることができるような気がする。

ポイントは「we fully
support our NASA leadership for taking the time required to understand
the problem」という一文だ。管理人の見るところ、この下線部にコリンズ船長はNASA上層部へのメッセージを込めたと思える。つまり「しっかり時間をかけて調査しろよ(中途半端な状態で打ち上げるなよ)」と。いつ打ち上げられてもいいと思っているのなら、もっと別の言葉を選ぶはずだ。あくまで邪推だけれど。

今回、打ち上げが見られなかったのは個人的にはとても残念だけど、NASAのシャトルプログラムがトラブルに遭遇した際の危機管理の一端をNASA TVなどでリアルタイムに垣間見たのは収穫だった。というか、ちょっとした懸念のような感情を抱いた。

まずは打ち上げ延期後の最初の記者会見でシャトルプログラム副マネージャーのWayne Hale氏が語った“All I can say is, shucks,”という言葉。「ちぇっとしか言えない」なんて、最初に聞いた時は「自分の感情を素直に表に出す人だな」と思ったけれど、その後の数日の会見でHale氏の記者とのやりとりを聞いていて、「この人は果たして部下から信頼されているのか」と思ってしまった。

国際宇宙ステーションとのドッキングと、打ち上げ時にシャトルや外部燃料タンクの様子を撮影するための日照条件から、打ち上げ可能日時が強く制限されていて、NASAが極めて強いスケジュールのプレッシャーにさらされていることはよくわかる。しかし管理人の目にはNASA上層部、とくにHale氏がそのプレッシャーに負けてしまって、判断能力をやや失っているのではないかと映る。

今回、トラブルを起こしている液体水素燃料タンクの残量センサーの履歴がこの記事によくまとめられている。

Spaceflight Now: Engine Cut-Off Sensor Background

4月の一回目の燃料注入試験で、4つあるセンサーの3番目と4番目のセンサーが動いたり動かなかったりするというトラブルがあった。そこでオービターに搭載されているセンサー制御ボックスをアトランティス号のものと交換し、下ろした制御ボックスを分解して動作確認したが、不調は見いだせなかった。3番目と4番目のセンサーの信号ケーブルもこの時、張り直した。

この注入試験では、燃料パイプへの着氷の問題がクローズアップされ、外部燃料タンクと固体燃料ロケットブースターをアトランティス号のものと交換することが決まった。

5月に2回目の注入試験を行った時、センサーは正常に作動した。しかしその後に行った追試験で制御ボックスが不調になり、エンデバー号のものと交換された。

6月、外部燃料タンクと固体燃料ロケットブースターをアトランティス号のものと交換したディスカバリー号が再び発射台にその雄姿を現わした。管理人はこの時、NASAは当然、3回目の燃料注入試験をするものと思っていた。が、3回目の注入試験は行わないことが決定、「NASAはどうしても7月に打ち上げるつもりだな」と、解釈した。

で、7月13日、打ち上げ当日。燃料タンクに燃料が注入され、センサーは「wet」の信号を出した。ここでシステムの検査のため、センサーが「dry」になるような信号を送ったところ、3つのセンサーは期待通り「dry」の応答を返したが、2番目のセンサーだけが「wet」の信号を送り続けた。

打ち上げが中止になって、燃料が抜かれた時、他の3つのセンサーは正確に「dry」の信号を送ってきたが、2番目のセンサーはやはり「wet」の信号を送ってきた。このセンサーからの信号が「dry」になったのは、燃料を抜いてから3時間後。

このように、起きたり起きなかったりするトラブルの原因を突き止めるのはとても大変なことだ。こんな時のトラブルシューティングの鉄則は、「再発の条件があきらかになるまでシステムにはさわらない」ことだと管理人は思うのだけれど、その後のNASAの対応はいささか我が目を疑いたくなる。「これがNASAのやることか?」と。

外部燃料タンク内に設置されたセンサー本体と、その周辺の信号ケーブルの取り回しをチェックするのは発射台ではとても困難なことだ。そこで、NASAは作業員がアクセスのしやすい制御ボックスと、オービターから燃料タンクまでの信号ケーブル周辺をまず確認する、という方針に出た。

管理人としては13日のセンサーの挙動から考えると、極低温の液体水素注入に伴う熱収縮がまず疑われる。巨大な燃料タンクに液体水素を注入すると、タンク全体が数センチは収縮するはずだ。その際、センサーからの信号を運ぶケーブルはどのような取り回しになっているのだろう? 設計変更はなかったのか?

NASAにとって緊急の課題は「同じトラブルを再発させ、その条件を特定すること」のはずだ。そのためには、再度の燃料注入試験を行うことが必須だと管理人は考える。ところが、NASAはトラブルを再発させる前にシステムのケーブル接触を確認したりして、再発条件を確認しないままに部品交換などの着手しやすい手段でトラブルを回避しようとしているように見える。

燃料注入試験は発射台でしかできない。再発試験のタイミングは今をおいてありえないのに...

そういう目であらためて4月と5月の燃料タンク注入試験とその後のセンサーの「修理」の履歴、さらに6月に3回目の注入試験を行わないことをNASAが決めたことを振り返ると、「これがほんとにNASAのやることか?」と思えてくる。

打ち上げ延期決定後のNASAの声明はじつに見苦しい。7月中の打ち上げにこだわるあまり、システムのトラブルシューティングをどのような手順で進めるかの見通しが声明の中に明らかにされていない。限られた日数の中でアポロ13号のクルーを無事に地球に帰還させた「NASAのすばらしい危機管理」とは対極に位置するなにかを感じる。

そしてその「なにか」は、チャレンジャーとコロンビアの事故直前の「なにか」とだぶって見えてしまう。

コロンビア号事故調査委員会の「NASAのスケジュール優先、安全軽視の文化を改めよ」という勧告が、今ほど重みを持って感じられる時はない。

金曜日の記者会見で「宇宙飛行士達はいったん、ヒューストンに戻る」と発表されたという。ところが、その後、ある記者から聞いた情報では、そのわずか数十分後に、NASAはその発表を覆し、宇宙飛行士をフロリダにとどめておく決定を下したそうだ。NASAの内部でも混乱して意見が対立している様子がうかがえるような気がするのは管理人だけだろうか。

その決定を下したのはいったい誰だ? なんのために?

ディスカバリー号をチャレンジャーやコロンビアの二の舞いにして欲しくない。

宇宙飛行士達はセンサーのトラブルシューティングにまつわる状況を逐次、伝えられている。そう思って、もう一度、冒頭のコリンズ船長の声明を読み直してみると、彼らの気持ちが伝わってくる気がする。

シャトル打ち上げのスケジュールと、国際宇宙ステーションに与える影響の話がHoustonChronicleにまとめられている。

HoustonChronicle: Space station needs boost from shuttle

NASAも苦しいというのはよくわかる。しかしここは、全体のチームワークをもう一度建て直すべき時だ。調査のやりやすい場所から少しずつシステムに手を出していくと、なにがなんだかわからなくなって、最後は自分で自分の首を絞めることになる。

2005.07.17

KSC防衛任務のF16?

13日の朝、ケネディ宇宙センター周辺を低空で旋回飛行していた機影のアップ。

F16

エンジンが単発なのでF16戦闘機と思われる。主翼付け根付近の大きな二つのポッドは地対空ミサイル警戒のためのジャマーか? 主翼両端に空対空ミサイル4発を装備しているように見える。

2005.07.16

Good bye, Florida!

これから帰国。打ち上げがみられなかったのは実に残念。しかしのぐっちゃんは仲間のクルーとモチベーションを維持して、いつ打ち上げになってもうまく対応してほしい。彼なら大丈夫だろうけどね。

しかしご家族は今、大変だろうね。理事長はもう帰国したのだろうか?

18年ぶりのフロリダ。今と同じくシャトルは事故の後、地上に降りたままだった。'Dream is Alive!'というIMAXの映画を見て、当時のアメリカ人の不屈の精神に感動したものだ。なぜかあのころから時計の針が止まっているような錯覚にとらわれる。当時はまさか自分が関係者の一人として戻ってくることになるとは夢にも思わなかったけど。

シャトルは長く飛びすぎた。そろそろその翼を休めてほしい。

I shall return!

待ってろよ、フロリダ。

200507162003000.jpg

Astronaut Hall of Fame

フロリダ滞在最後の日。ケネディ宇宙センターからインディアンリバーを挟んで対岸にあるAstronaut Hall of Fame(宇宙飛行士記念館)を訪れてみた。

AHOF

ケネディ宇宙センターのビジターコンプレックスとの共通チケットもあるが、単独でも見学できる。単独チケットは税込み18.22ドル。

建物の外観から、たいしたことないと思って訪れてみたけど、なかなかどうして。いろんなお宝がある。宇宙飛行士、特にマーキュリーからジェミニ、アポロの時代の宇宙飛行士達の経歴やゆかりの品々を展示しているので、その時代の宇宙開発や宇宙飛行士に思い入れのある人は、静かにどっぷりと楽しむことができる。

sigma7

シラー宇宙飛行士が乗った「シグマ7」マーキュリーカプセル。

GeminiCockpit

ジェミニ計画の訓練に使われたコックピット。

Apollo14

アラン・シェパードらが乗り組んだアポロ14号の司令船(スミソニアン博物館から借用中)

4Gsim

4Gを体験できるシミュレータ。

午後2時頃に行ってみたら結構ガラガラだったけど、ビジターコンプレックスを見た帰りに立ち寄る客が多いのか、5時頃には駐車場が結構埋まっていた。

逆取材

「日本のマスコミは日本の宇宙開発に対して冷たい、という意見があるが、どう思うか?」と、メディアの何人かに逆取材してみた。

ある人からは「確かにそういう面はあるかも」と前置きした上で、その理由として、

1) 新聞は読んでもらえる記事しか書かない。ロケットの記事は普通の人に読んでもらえない。打ち上げが失敗した時には世間の注目が集まるので、注目が集まるような記事の書き方になってしまう。

2) 日本の新聞は専門の記者が育たない。ある分野を担当して詳しくなったとしても、3年くらいで別の分野の担当に替わってしまうので、経験や長期的視点が蓄積されない。深く考えずについ目先の話題を追いかけがちになってしまう。

という趣旨の答えが返ってきた。

別の人からは

1) 宇宙開発の意義を自分なりに理解して伝えようとしているつもりだけど、社内的に通らない。使っているお金の大きさに対して社会にどのようなリターンがあるのかをきっちりと説明することが求められる。

2) 宇宙グッズを配ったり、宇宙の音楽を募集したりなどの企画は、必ずしも効果的なお金の使い方だとは思わない。これらの企画はすでに宇宙に関心を持っているマニアックな層の理解を得るには役立つかもしれないが、残りの8割以上の宇宙に関心を持っていない層には届いていない。むしろGPSや気象衛星など、宇宙が暮らしの中でどれだけ重要な役割を果たしているかを残りの8割の人間に分かりやすく説明して理解を得るべきではないのか。

3) 宇宙開発は国家の存続の基盤に関わるものなのに、長期的視点からの戦略や説明がない。狭い縦割りの系列組織の中だけで話が閉じている。例えば太陽発電衛星などはエネルギーの問題であるので、その観点からプロジェクトを推進するべきなのに、現状では「ロケットを何機打上げることができる」という宇宙機関としてのメリットの話が中心になっている。これでは国民の理解は得られない。

4) 科学衛星などは打ち上げの時だけ大きな話題になるが、科学的成果の発表がタイムリーに出てこない。NASAのチャンドラなどでは、成果が出るたびに記事の素材になるようなプレスリリースが次々と出てくる。日本の場合は、ある成果が得られた場合、素材としてではなく「最初から最後までこのような感じの記事にして欲しい」と方向性の定まったリリースを出そうとして、他の国に先を越されそうになったり、記事として扱いづらい情報になる傾向がある。

という話があった。

さらに別の人は、今回のディスカバリー号の窓の保護カバーが脱落して耐熱タイルを傷つけたことに対するNASAの広報スタッフの対応に感心していた。トラブルが発覚して報道陣が駆けつけると、広報スタッフがすでに何人も待ちかまえていて、記者の一人一人に現状がどこまでわかっていて、次に誰がどこでどうするという話を手際よく伝えていたとのこと。広報スタッフの一人一人に与えられている説明可能な権限の範囲がじつに手広く、しかもお互いに横の連携がとれていてよどみがない。直前に打合せをして「何をどこまで話してもよい」という調整をしてあるのだろうけれど、それにしてもすばやい、とのこと。日本だったらこのような場合、「それについては何時何分から説明会を開きますので、それまでお待ちください」という回答しかもらえない、という。

旧ISASと旧NASDAの広報の姿勢の違いについて聞いてみると、旧ISASのほうが取材がしやすかったらしい。旧ISASには専門の広報組織がなかったので、それぞれの先生がたに直接取材することが許されていた。先生がたも質問すれば丁寧に答えてくれた。一方、旧NASDAはすべて広報部門を通して取材する必要があり、それぞれの質問に対していちいち上層部の決裁をクリアする必要があった。午後3時に取材を申し込んでも翌日の朝刊に記事が間に合わない、ということがたびたびあった。旧NASDAの広報は「分かりません」「答えられません」という回答が多かったという。

「火星探査機のぞみの失敗報道についてはどう思うか」と聞いてみると、ある記者は「新聞記者にとっては自分が知らなかったことはニュースなんですよ」と答えた。「制御ができなくて火星軌道投入が難しいことはずいぶん前からわかっていたことじゃないですか」と聞くと、「プロジェクトの先生たちがいいニュースも悪いニュースもそのつどメディアに流してくれていればもっと違っていたでしょうね」という。

ISASが「情報を隠ぺいしているのではないか」という感想は別の記者も抱いたらしい。記事を書く際にその印象は記事になんらかの影響を与えたと思う、とも。金額の話は個人的には書きたくはなかったが、社内で「記事としては不可欠な要素」と指摘されて書いたのだという。

情報を公開する姿勢については、のぞみ以降、改善されたという感想をもっているとのこと。ただ、プロジェクトマネージャーはあまりに忙しくて広報どころではない、というのが現状のようだ。

悪いニュースの発表のタイミングをずるずるとうしろに延ばし続けると、悪気はなくても「隠ぺいだ」と疑われてしまって不利だという。「なにがあっても事実を淡々と伝え続けるのだ」という姿勢がプロジェクトを進める側にはとても大事なのだ、と、この逆取材で感じた。

2005.07.15

しょっぴんぐ

気分転換のため、車を40分ほど走らせてショッピングモールに出かけた。

GSMプリペイド端末を買おうかどうしようか迷いながら、大蔵省の「またこんなものを買って!」という顔を思い浮かべて踏みとどまる。携帯のパンフレットを腰のポケットに突っ込んだままお土産物屋さんを覗いていると、アンちゃんがめざとくパンフレットを見つけて「もっといい店を紹介するからwebでアクセスしてみろ」という。なんのことはない、自分がその店を開いているのらしい。アメリカに長期滞在する人なら、こういうのも便利かも。ただし、国際電話はできないから、Vodafoneやドコモの海外ローミング端末とは通話できない。

その土産物屋で、クリスタルグラスの中に小さな泡を3次元的に並べてシャトルやさまざまなものを再現する置物に心魅かれて買い求める。1ヶ月ほど前、NASAの関係者とおぼわしき人間が300個ほど仕入れていったらしい。昨日、シャトルの打ち上げを見に行って延期になったことを伝えると、「え?まだ打ち上がってなかったの?」と答えた。地元の普通の人の反応はこんなものか...

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その後、Cocoa BeachからTitusvilleまで打ち上げ見学スポットを探しながらドライブする。ホテルで奨められたのはここ。自分でドライブしてみて「いいかも」と思ったのはここここ。ただし、

・合法的に車を停められて
・渋滞に巻き込まれず
・場所取り競争に負けない

というのが重要なので、現実にはなかなか難しいかも。

FloridaToday: NASA sets Sunday as unlikely, earliest launch date

この記事によると、燃料残量センサーの不調は燃料注入時に発生し、暖まると回復するらしい。

それがほんとなら、個人的憶測だけど、今回のトラブルは燃料タンクの熱収縮によるメカニカルな接触不良だ。ディスカバリー号が組立て棟(VAB)に戻るのはほぼ確実のはず。おとなしく予定通り帰国することにした。残念。

管理人がもしNASA長官なら、ディスカバリー号が打上げ台にいる現在のタイミングで三回目の燃料注入試験を行う。そこでデータを蓄え、ディスカバリー号を組立て棟に戻して原因究明と修理を行い、発射台に戻してさらに4回目の燃料注入試験を行う。それくらい大事な問題だ。誰だって打上げの途中にメインエンジンが停止して緊急着陸、なんて事態になりたくない。

組立て棟内部でセンサー周辺と信号ケーブル周辺を液体水素の温度まで冷やして検証する手だてが必要だ。多分、原因はわかってみればとても単純なことなのだろう。下手すれば1ドルかそこらの部品の不良という可能性すら考えられる。極低温と危険な液体水素との組み合わせが問題解決を困難にしている。

2005.07.14

Hurricane EMILY

打ち上げ延期の翌日。夕べは憑き物が落ちたかのようによく眠った。今日は快晴。天候だけの問題であれば今日打ち上げだったら良かったのになぁ...

今回初飛行となるカマーダ宇宙飛行士の思いっきりがっかりした顔が地元の新聞の一面を飾っていた。のぐっちゃんはそれと較べるとずいぶん泰然自若としたものだ。さすが。

受験仲間と「宇宙飛行士はこういう時でも周りの士気を考えて、あんまり落胆を表に出せないよねぇ、たいへんだねぇ」と話し合った。

宇宙飛行士達のモチベーションが下がらないように、今日か明日にはSTA(シャトル訓練機)による訓練が予定されているらしい。MS1であるのぐっちゃんは、船長とパイロットを助けて乗機することになるだろう。

残りの4人はどうやってモチベーションを維持するのだろう。いやはや宇宙飛行って大変だね。

次の打ち上げがいつになるかは今日の会議で決定される。とはいえ、燃料残量センサーのトラブルの歴史をCBS Newsなどで読んでみると、はっきりいってとてもタチが悪いタイプのトラブルだ。いろいろな経緯で、原因を特定できないままに部品がどんどん変わっている。これではとても現状のデータでは原因を特定できないだろう。で、どうするか。個人的には、土曜日の打ち上げは不可能だろうと思う。というか、自分がNASAの長官だったらそうする。NASAはあと数時間で結論を出すけれど。

念のためハリケーン情報をチェック。次のハリケーンがこちらをうかがっている。

NOAA: Hurricane EMILY

今のところ、フロリダには大きな影響はなさそう。

[追記] ところで、昨夜から日本経由の携帯電話がつながらなくなっている。ドコモに問い合わせたところ、CingularとT-Mobileと日本向けの回線をつなぐ中継設備が昨夜から17時間以上不通になっているのだそうだ。つまり全米でこの障害が起きている。これはこれでかなり大きな事故だ。ということで、私に連絡のつかなかった皆さま、ごめんなさいです。

[追記2] 携帯電話はこちらの16時過ぎ、電源を入れ直したら復旧した。ほぼ24時間ぶり。憶測だけど、シャトルの打ち上げ延期で通信量が一気に増えた時間帯となんらかの相関がありそうだよなぁ...

Scrubbed!

ビジターセンターから見学場所に向かうバスに乗り込もうとバス乗場に向かうと、前方からぞろぞろと他の見学客が帰ってくる。口々に「スクラブド!」と叫んでいる。最初、Scrapped!と言っているのかと思ったら、「Scrubbed!」(取り消された)ということらしい。

The launch is scrubbed!

記者会見でシャトルプログラムマネージャーのWayne Haleは

"All I can say is, shucks" (今は「ちぇっ!」としか言えない)

FloridaToday: SCRUB: Soonest retry is on Saturday

昨夜遅く開催した「共同記者会見」の成果が記事になっている。

毎日新聞: ディスカバリー:招待客席の同期生、野口さんにエール

元村さん、ありがとう。打ち上げが延期になってしまって、結果的にはこの記事の応援は実現しなかったけど。

東京新聞の夕刊にも奥田さんの記事が載ったらしい。Webでは見つけられなかった。

某カメラマンのかたがた、今日はごめんなさいでした。ビジターコンプレックスでの待ち合わせがどんなことになるのか、事前に予想がつかなかったので...

そろいのTシャツを着て、横断幕をもって記念撮影をしていたら、通りすがりのアメリカ人まで写真を撮っていた。^^;

今後の予定は明日決定されるけど、結果だけからみれば宇宙飛行士と見学客数十万人を集めた上でのTanking testのwet runをやった、というのが正直な印象かな。

打ち上げ延期

今日の打ち上げは延期になった。詳細不明。エンジントラブルか?

KSCVC

Tマイナス3時間。ビジターコンプレックスで待機中。雷雲から稲光があり、ビジターからブーイングの合唱。小雨も降り始めた。その後天気は回復。周辺をF16戦闘機が旋回して警戒中。今朝の燃料注入が1時間半遅れたとの情報あり。これからバスに乗って見学サイトに向かう。

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2005.07.13

大渋滞

うわ、混んでるよ。

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旅立ちの朝

All systems are GO...
フロリダの朝、晴れ。蒸し暑い...
地元のテレビでもシャトルのニュースで持ちきり。アメリカ国民の間でものぐっちゃんへの期待がすごく高いのを感じる。入国審査などでで知り合いかと聞かれ、受験仲間だと答えると、ものすごく驚かれる。

そろそろケネディ宇宙センターに移動する。

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シカゴに到着

乗り継ぎのためオヘア空港で時間調整。            
機内で大橋マキさんといろいろ話をした。ソトコトの連載が始まった経緯とか。

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夜にはフロリダで共同記者会見。

2005.07.12

成田空港

これからアメリカに出発。元村記者の体験に鑑がみ、荷物は全てcarry  onにした。到着してもカメラもなし、というのはサヒ゛シイシネ。

行ってきます!

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2005.07.11

セキュリティはこれでも緩和されてる?!

さて、明日からフロリダへ出かける。

元村記者のブログDSPACEの記事なんかを読んでみても、ケネディ宇宙センターのセキュリティ対策はかなり厳しいらしい。以前は宇宙飛行士招待枠といえばスタンド席で打ち上げを見られたらしいが、今回はどうやらNASA Causewayという道端の草っぱらに連れていかれるらしい。「毛布をお持ちになるのがよいでしょう」だって。

何度も打ち上げを見たことのあるJAXA関係者に聞いてみても「本当にスタンドじゃないの?」と、どうもぱっとしない。

ところがHoustonChronicleの記事によると、この厳重なセキュリティは、これでもまだ緩和されたほうらしい。前回のコロンビア号の打ち上げではイスラエル人のラモン宇宙飛行士が乗り組むこともあって、打ち上げ時刻は24時間前になるまで明らかにされなかったらしい。

HoustonChronicle: Astronauts land in Florida amid tight security
HoustonChronicle/AP: NASA relaxes some shuttle launch security

テレビでおなじみの、宇宙飛行士がオレンジ色の宇宙服を着て、建物から出てきてバンに乗り込むシーンでは、SWATの特別警備隊がヘリに乗り込んで上空からバンを警護するらしい。さらに米空軍機が宇宙センター周辺を常時パトロールするのだとか。

考えてみたら、前回、日本人宇宙飛行士がシャトルに乗り込んだのは2000年10月の若田さんの時だった。9.11のテロが起きる前のことだから、JAXA関係者に聞いてもNASAのセキュリティ事情がどうも響いてこないのはある意味当然かも。そう考えると、あらためて、長い時間が経過したねぇ。

nikkansports.com: 野口さん打ち上げ、史上初街頭生中継

今回の打ち上げは新宿の街頭テレビ「アルタビジョン」で生中継されるようだ。予算約100万円。日本時間で14日午前4時51分。果たして何人くらい集まるのだろう。

新宿かぁ。

野口宇宙飛行士の合格が決まって、5thstarメンバーは彼の壮行会を開くために1996年6月14日、新宿に集まった。

NoguSangokuichi

二次会、三次会、と飲みすすむにつれて、メンバー数人は夜更けの歌舞伎町の街角を練り歩いた。と、声をかけてくるキャバレーの客引きのアンちゃんが一人。

「兄さん兄さん、うちよって行かない? 今日はみなさんなんの集まり?」
「宇宙飛行士に選ばれたやつがいて、その壮行会を今までやってたんだよ。」
「へぇ!!日本の宇宙飛行士ですかぁ! って、まだ5人くらいしかいないんじゃなかったすかぁ?」
「おお、なんと! よく知ってるねぇ。詳しいじゃない。」

「宇宙飛行士選抜を祝う集まり」という言葉に動じなかったこのアンちゃん、商売も忘れて我々と道端に座り込んで、いつしか身の上話を始めた。

聞くと、このアンちゃんの親父さんは札幌のすすき野で飲み屋を営んでいるらしい。で、修行の一環として、東京新宿の歌舞伎町に送り込まれているのだとか。

「宇宙かぁ。いいですねぇ。」

札幌に来ることがあったら、ぜひうちの店に来てください、と、店の名前を教えてくれたけど、酔っていたので忘れてしまった。

アンちゃん、今ごろどこでどうしているのかなぁ。あの時の宇宙飛行士クンが、今、宇宙へ飛び立とうとしてるよ。新宿のアルタビジョンは、君になにを見せてくれる?

2005.07.10

【バトン】月探査情報ステーション再開求む

kazuさんの記事に共感。どういう事情があるのか知らないけど、現状はちょっと状況説明がなさすぎ。3ヶ月近くこの状態というのはちょっと尋常ではないですね。

覚え書き@kazuhi.to: 【嘆願】月探査情報ステーションの早期運用再開を求めます

こういうのはバトンにしてみませんか?

といっても、blog上の面識ある知り合いがあまりいないのだけど、とりあえず、akiakiさん福原直人さんyosukeさんごんざぶろうさん有希子さん、いかがでしょうか。

私は月探査情報ステーションの早期運営再開を求めます。

趣旨に賛同されるようでしたらお知り合い5人にバトンを渡してくださいませ。

[7/20追記] 星が好きな人のための新着情報の7月20日のところに月探査情報ステーションの運営担当者の寺薗さんの文章が載っている。この件に関してはblack_knightさんがまとめを作っている。

IT技術に強い一個人が組織の中で一人頑張ってサーバーを運営してその上でいろいろなサービスを始めると、うまくいっている時にはいいが、その人が忙しくなってくると、いろいろな問題に遭遇するようになる。組織としてサービスを開始する際には、周囲とうまく協調するように気をつけないと、いつかは燃え尽きてしまう。寺薗さんには問題を一人でしょいこんで欲しくなかったので、この記事を書いたのだけど、結果的には解決の方向に向かっているようで、よかった。

今回の場合、サーバーが停止していることに対する組織としての正式な広報が遅れたことがちょっとあれだったと思う。JAXAの新着情報に載るより先にUniverseに載るのって、それってどうよ、と思ってしまう。

誰と誰がツーカーな仲で、連絡がしやすい、って事情はわからなくもないけれど、組織としての活動であるなら、しかるべきルートで連絡をちゃんとしましょう。燃え尽きてしまわないために。

野口宇宙飛行士、フロリダに到着

知り合いの記者の方から、野口宇宙飛行士がフロリダに到着した際の記者会見の写真を送っていただいた。許可をいただいたので掲載。ありがとうございます。

NoguchiKSC

NHKの7時のニュースでもこの記者会見の模様が流れていた。日本語でひとしきり長くしゃべった後で、ひとこと短く"I will say the same thing in English. Let's go fly!"としゃべって、周囲の笑いをとっていた。

FloridaToday: Astronauts set for flight

さすがのぐっちゃん。余裕だね!

ASTRO-EII打ち上げ成功

JAXA/ISASのX線天文衛星ASTRO-EIIが12時30分、鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から打ち上げに成功し、無事軌道に乗った。

JAXA: ASTRO-EII/M-V-6 カウントダウンページ
朝日新聞:M5−6号機打ち上げ成功 X線天文衛星を分離
読売新聞:エックス線観測、天文衛星「アストロE2」打ち上げ

日本のお家芸だったX線天文衛星。先代の「あすか」以来5年間の空白を埋める打ち上げ成功。関係者の皆さまおめでとうございます! チャンドラとニュートンに対抗できるか...

しかしwebニュースは野口宇宙飛行士のフロリダ到着の記事が圧倒している。^^;

14:40現在、毎日は出遅れている...?

今回は宇宙作家クラブのニュース掲示板も淡々としたものだ。松浦さん、行かなかったのかな...

ディスカバリー号の報道陣2500人

今回のディスカバリー号の打ち上げに集まる報道陣は総勢2500人だという。コロンビア号の事故が起きるまでは100人程度だったというから、いかに今回のフライトが注目を浴びているかがよくわかる。

理系白書ブログ: good-bye JAPAN, 打ち上げ台

テロの影響を受けて、ケネディ宇宙センターに出入りする人間のセキュリティチェックが大変厳しくなっていて、みなさん苦労しているようだ。DSPACEの林公代さんもNASAとの交渉ですったもんだがあったらしい。

DSPACE: 世界からプレス2500人!シャトル打ち上げ

NASA側やJAXA側のプレス対応の人の苦労も相当なものだと思うけれど、うまくいって欲しいものですね。

12日の夜にNight View Tourをメディア向けにやるらしいのだけど、1回だけの開催か2回にわけるか、についても、混乱があったようだ。メディアパスの受け取りも打ち上げ当日の13日朝でも大丈夫になったらしい。旅程を組み立てる側も大変。

気になるハリケーンの動向は、昨日、別の記者の人から現地レポートをもらった。

原稿の送稿も携帯電話ではなく、有線電話かKSCの無線LANに頼らざるを得ないかもしれません。

ハリケーンが接近してきましたが、現地(9日午前5時)はそんなに風も強くなく雨も降っていません。9日から10日にかけてフロリダ半島の西側を通るのでシャトルへの影響はなさそうです。ただ、この影響でKSCへのクルー到着が一日早まり、9日午後6時半ごろに設定されました。予定が流動的で大変です。

最近のマスコミは日本の宇宙開発については批判的に見るか無関心、NASAには一種のブランド志向があるような気が。」という疑問をお持ちの方もおられるようなので、現地で記者の方とお話する際には、逆取材もしてみましょうか。

とにかく打ち上げ成功して欲しいです。

そういえばAstro-E2もまもなくですね。

野口宇宙飛行士、フロリダへ向かう

星出宇宙飛行士から送られてきた特ダネ。

ヒューストンからフロリダのケネディ宇宙センターへ向かうNASAのビジネスジェット機に乗り込む野口宇宙飛行士らSTS-114のクルーと、5thstarのTシャツを着て、それを見送る星出宇宙飛行士。

gulfstream

> Just saw the crew off for the Cape.
> Noguchi-san looked good, and ready.
> L-4 days and counting!

> Hoshide

がんばれ〜!

[追記] 関連記事など

理系白書ブログ:野口さん
朝日新聞:野口さん、ケネディ宇宙センターに到着 シャトル再開
読売新聞:野口聡一さん、ケネディ宇宙センターに到着
毎日新聞:ディスカバリー:野口さんら宇宙飛行士7人、発射基地到着
共同通信:「さあ、宇宙へ」 野口さんら発射基地到着

読売新聞:英同時テロ影響、シャトル打ち上げ会場でメディア規制
読売新聞:「ディスカバリー」搭乗の野口さん、1日早く基地入り

普段はワシントン駐在の笹沢教一記者も現地入りしたんだ。でも野口さんは自ら操縦するジェット練習機で現地入りする。」と書いてある。彼のシャトル関連の情報収集は他社が拾わない話題を狙いすぎて基本を外している感がちょっとあるのだけど... ワシントンカルチャー??

2005.07.09

N900iG

シャトル打ち上げ見学ではケネディ宇宙センターのそのへんの草むらにバスで運ばれてから数時間放置プレイされることになる。NASAの構内放送でカウントダウンなどの情報は流れてくるというものの、打ち上げ延期とかになった場合、現場では何が起きているのかさっぱりわからない事態になることが予想される。

(ウィルコムがアメリカで使えれば宇宙作家クラブ掲示板に情報を頼るところなのだけど...って、ちょっとチガウ)

ということで、ドコモの海外ローミング携帯N900iGのレンタルを申し込んだところ、今日、届いた。

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かつて「ドコモなんて自分とは一生縁がないだろう」と思っていたけど、この携帯をレンタルするためだけのためにドコモと契約した。GSM/W-CDMAデュアルモード対応で、iモードにも対応。現在日本でレンタルできる中では最強のローミング携帯かも。当然、我が家の大蔵省は渋い顔... ^^;

電源を入れて、早速モブログ投稿のテスト、と思ったけれど、国内では使用できない。あたりまえか。

アメリカ国内のローミング先はCingularTMO。どちらもiモードに対応しているようだ。運が良ければ現場から準リアルタイムで投稿できるかも。

しか〜し! ケネディ宇宙センター周辺には数万人の見学客が押し寄せる。基地局の数なんて限られているだろうから、あっというまに周波数帯域がパンクする。打ち上げ前後は電話もメールも使えないと考えておいたほうがよさそう。

それと、電話をかけてきてくれた人と電話を受ける側の双方に、日米間の国際電話料金が課金される。ビジネスならともかくプライベートな目的にはあまり適していない。なので、記者の方々、その点ご了解の上で、心して電話してきてね。

シャトル打ち上げ準備は続行

スペースシャトルディスカバリー号の打ち上げまであと5日。メディア関係者も現地入りを始めた。

理系白書ブログ: 荷物はどこに

ハリケーン・デニスがキューバを直撃。大きな被害が出ているらしい。NASAは一時、ハリケーンの回避のためにディスカバリー号を整備棟(VAB)に戻す準備を始めたが、その後、日本時間の8日午後7時30分にこのまま打ち上げ準備を続行することを決めた。

デニスの予想進路を見ると、このままフロリダ州とアラバマ州の州境付近をめざして進み、ケネディ宇宙センターには大きな影響はなさそう。

FloridaToday: NASA to keep Discovery on launch pad

でも、シャトルとは関係ないけど、キーウェストはかなり被害が出そうだな...

NOAA: Hurricane DENNIS

Dennis

CBS News: 09:15 a.m., 07/08/05, Update: NASA managers rule out shuttle rollback

ディスカバリー号の乗組員は現在、ヒューストンの隔離施設で医師の健康診断などを受けている。米国時間の日曜日の朝にジェット練習機T-38に分乗し、フロリダのケネディ宇宙センターに移動。その日の午後6時(日本時間で月曜の朝7時)に打ち上げのカウントダウンが始まる。

[追記 7/9] FloridaTodayによると、宇宙飛行士達はハリケーンのために予定を早め、今日、ビジネスジェット(ガルフストリーム)でケネディ宇宙センターに到着するようだ。T-38に分乗しないのは異例のこと。

現在の天気予報では打ち上げ予定の13日の天候は良好とのこと。14日はやや下り坂、15日には雷雨の発生が予想されている。

JAXA側のSTS-114ミッション緊急連絡先が筑波宇宙センターから東京に移動した。筑波宇宙センターの関係者もそろそろ現地入りするようだ。

2005.07.08

JAXAi展示の新型宇宙服

JAXAiに展示されている宇宙服が新型になった。p253i0000917756.jpg

STS-114のクルーが最終調整へ

星出君からの情報によると、野口さん達STS-114のクルーは、今日から打ち上げまでケネディジョンソン宇宙センター内のクルークォーターに隔離される。いよいよだねぇ。

今回のミッションでは軌道上のスケジュールもフロリダとほぼ同じだから、時差調整の必要はないないわけではなくて、多少調整するらしい。

2005.07.06

VIPエスコート?

昨日の日記で打ち上げ見学ツアーのことを書いたら、とあるVIPからメールで問い合わせ。携帯の番号を教えたら、速攻で電話がかかってきた。なんという光栄!

打ち上げ見学ツアーのVIPエスコートを拝命するかも〜。楽しい道中になるかな?

2005.07.05

意外にシビアかも

STS-114打ち上げ見学のためのチケットが届いたので注意書きをつらつら読んでみた。

まず打ち上げ当日のケネディ宇宙センター到着時刻が指定されている。

指定された時間より早くても遅くても、センターに入場できない! ウィンドウは1時間半。渋滞とかで遅れたりしないんだろうか。少々心配。

あと、映画とかでおなじみの屋根付の観客席で見られるのかと思ってたら、センター内のそこらの道端で見ることになるらしい。それだけのためのバスチケットに16ドルって高いよ! しかも折畳み椅子は持ち込みできないし。

持ち込み禁止品も厳しい。銃火器とか弾薬とかナイフを持ち込めないのはまぁ当然として、カッターナイフ、つめ切り、先のとがったもの、バックパック、大きなかばん、クーラーボックス、折畳み椅子が禁止。食べ物も外から持ち込みできない。愛・地球博なみ?

真夏のフロリダ、サバイバル態勢で心してのぞむ必要があるな。日よけと雨よけと虫よけ、どうしよう。スコールでも来たら目もあてられない。でもまぁ発射台から6マイルというのはNASAの基準でいえば至近距離だ...

2005.07.04

Deep Impactが彗星に命中

NASAの探査機ディープインパクトの銅製の衝突体が日本時間午後2時52分、テンペル第1彗星に命中した。

deepimpact
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/UMD

FloridaToday: Deep Impact live journal

すごい。370kgほどの衝突体がここまで大きなインパクトを与えるなんて。彗星の深部の物質の化学組成がこれで詳細に分析されるだろう。太陽系探査の歴史の新たな1ページ。NASAはとにかくやることがハデだね。

日本のはやぶさの小惑星イトカワとの接触はこれとくらべるとずっと地味なものになるだろうけど、広報だけはリアルタイムでしっかりやってほしいと思う。

「こんなことしちゃって、彗星人から反撃の宇宙戦争をしかけられるんじゃ...」という反応が周りにチラホラ... ^^;

ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」を思い出した。なんとなく。

2005.07.02

「STS-114について」を更新

本家サイトの「STS-114について」を7月13日打ち上げの予定にあわせて更新した。予定通りの打ち上げなら、スケジュールの概要は日本時間では以下の通り。

14日(木) 午前  4時51分 打ち上げ
16日(土) 午前  1時27分 国際宇宙ステーションとドッキング
17日(日) 午後10時56分 1回目の船外活動 〜 18日(月) 午前5時26分まで
19日(火) 午前  3時16分 広報イベント
19日(火) 午後10時26分 2回目の船外活動 〜 20日(水) 午前3時56分まで
21日(木) 午後10時26分 3回目の船外活動 〜 22日(金) 午前3時16分まで
22日(金) 午後  7時31分 日本向け広報イベント
23日(土) 午後22時38分 国際宇宙ステーションから離脱
25日(月) 午前  0時46分 広報イベント
26日(火) 午前  0時01分 着陸

以前のスケジュールと比べると、日本向け広報イベントが日本に都合の良い時間帯に変更になっている。誰か日本側から申し入れたのかな?

4月にお会いした記者の方からちらほらと問い合わせが入るようになった。みなさん、9日頃には現地入りするようだ。

5thstarのメンバーは仕事のやりくりのつかない人が何人かいる。星出君は今回は残念ながらフロリダには来られないようだ。みんなと現地でお会いできることを祈る! みんな、Tシャツは持ったかい?!

STS-114のプレスキットが公開

7月13日(日本時間7月14日)に打ち上げのスペースシャトルディスカバリー号のミッションの詳細を記したプレスキット改訂版をNASAが公開した。

NASA: NASA Return to Flight Press Kit Available Online
NASA: The Space Shuttle's Return to Flight: Mission STS-114 Press Kit (PDF 8.7MB)

JAXAが提供するプレスキットがシャトルや宇宙ステーションの一般的な解説やFAQ的な内容を織り込んで、読み手が前提知識を持っていなくても読みやすくなるように編集されているのに比べると、NASAのプレスキットは今回のミッションに関する情報、特にコロンビア号事故調査委員会の勧告項目とその各種対策のことに重点を置いている。JAXAのプレスキットもいろんなトリビア的背景説明的な「コラム」があったりして、読んでいて楽しいけれど... こういうのをいつも目にしていれば、そりゃ万起男ちゃんじゃなくてもシャトルおたくになるわな。

以下、NASAのプレスキットから拾ったトリビアをいくつか。

NASAは今回のSTS-114と次のSTS-121で打ち上げ時と帰還時に2機の高々度観測機WB-57を飛ばして、シャトルの状態を詳細に撮影する。

WB57
Image Credit: NASA

WB57flightpath
Image Credit: NASA

この飛行経路を見ていて、「いつ打ち上げになるかの保証がないのに、打ち上げの瞬間をねらって最適なフライトがよくできるなぁ」とよくよく考えたら、今回のミッションは宇宙ステーションとのドッキングがあるので、打ち上げ可能時刻が一日のうちの数分間に限られるのだった。もしこれがシャトル単独のミッションだったら、直前になっての打ち上げホールドはよくある話なので、この飛行経路通りには飛べないね、たぶん。

WB-57にはシャトルの映像を詳細に記録されるためのハイビジョンテレビと近赤外線テレビが超望遠レンズに接続されて搭載される。「超望遠レンズ」とは、天文ファンならおなじみのセレストロン社の口径27.5cm、焦点距離4,200mmの反射望遠鏡。ハイビジョンテレビはパナソニック社のAK-HC900。近赤外線テレビはSensors Unlimited社のSU640SDV 1.7RT/RS-170

外部燃料タンクの断熱材や氷の剥離などを監視するために、タンクや固体燃料ブースターロケットにもカメラが増設される。オービターの底面とタンクの様子をモニターするために増設されるTVカメラはSONY社のXC-999

外部燃料タンクの燃料パイプ接続口付近には従来35mmカメラが設置されていたが、これを今回はKodak社のDCS760というデジタルカメラに交換する。

このKodak社のカメラはこの他にも、シャトル打ち上げ後に外部燃料タンクを切り離した後、野口宇宙飛行士が外部燃料タンクの状態を記録するために400mmの望遠レンズで撮影するのに使われたり、シャトルが宇宙ステーションとドッキングする前に、オービター底面の様子を宇宙ステーションの乗組員が400mmと800mmの望遠レンズで撮影するのに使われたり、船外活動時の作業記録用カメラとして使われたり、NASAの宇宙活動の様々な場面で大活躍している。

Kodak社のDCS760って聞いたことないなぁ」とGoogleで調べてみてびっくり。なんのことはない、Nikon F5のOEMじゃないか!

とまぁ、あらためてNASAのプレスキットを詳細に読み込んでみると、日本製品が思いのほかいろんなところで活躍しているのを見てびっくりする。光学系はMade in Japanの独壇場だね。浜松ホトニクスの製品も火星まで旅したし。

日本人の一人としてなんか嬉しくなる。単純?

2005.07.01

野口さんのシャトルは13日に打ち上げ

日本時間で本日朝5時すぎ、NASAのグリフィン長官は「ディスカバリー号を7月13日午後3時51分(日本時間14日午前4時51分)に打ち上げる」と発表した。

FloridaToday: Discovery set to launch on July 13
読売新聞: 野口さん搭乗のシャトル、13日に打ち上げ決定

先月15日のディスカバリー号の発射台への移動の段階でNASAはすでに7月の打ち上げに対して自信を見せていた、とはいえ、実質「トゥー・ウィークス・ノーティス」ですねこりゃ(笑)。

のぐっちゃん、いよいよだね。がんばってくれ!

1996年5月29日の合格発表から苦節9年と1ヶ月半。君の夢がいよいよ実現する。

見学のための航空券は手配済。ホテルの日程を調整して、レンタカー手配しなきゃ。

フライトプランはCBS Newsが詳しい。あとで本家サイトの情報もアップデートしておきます。

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