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2005.02.24

文章を書くということ

『メロスはすぐに出発した。初夏、満天の星である。』

ご存知、太宰治著「走れメロス」の一節。メロスが国王の怒りを買って処刑されそうになる場面で、妹の結婚式に出席するために国王に処刑の延期を願い出、親友セリヌンティウスを身代わりにして、故郷に向かって駆け出す場面。

小学生低学年の頃、ある本を読んでいたら、文章がいきなりこの出だしから始まっていた。まだ「走れメロス」を読んだこともなかった年齢。なぜか印象に残った。

当時の本が手元に残っていないので記憶が定かでないが、その本とはこれだったのではないか?

星座の楽しみ
草下英明著
東京 : 社会思想社, 1967年

本はこのあとたしか「メロスが駆け出した時、夜空を飾っていたのはどのような星座だったのだろうか。」のように続いて、星座を知ることが人生の楽しみをより豊かにしてくれることを説く。

小学生の頃に読んだ文章の出だしがなぜかすごく印象に残っていて、大学生時代のある授業で「印象に残った書き出しの本の感想文を書け」という宿題が出た時、この本をネタにして『メロスは...』の書き出しで原稿用紙2枚ほどの文章を書いた。そしたら次の授業で先生がいきなりその感想文をみんなの前で読み上げ始めて、びっくりしたことがある。

小学生の頃、身体が弱くて学校を休みがちだったこともあり、ベッドの中で手当たり次第片っ端から星座やギリシャ神話や天文学の本を読みあさったことが、今の自分のベースの何パーセントかを形作っているように思う。

ひるがえって現代、丸の内オアゾの丸善などで天文関係の書籍コーナーに立ち寄って、つらつらといならぶ本を眺めてみても、子供の頃によく読んだような「余韻」が残るような本に出会う機会がめっきり減ったような気がする。かつては天文関係の書籍にも文学の素養を感じさせる文筆家が数多くいた。

子供の頃に出会ったいろいろな本や文章は、振り返れば自分の人生観に大きな影響を与えていると感じる。今の時代の子供たちにはどのような出会いがあるのだろうか。

@niftyがパソコン通信を終了する、という記事を読んで、とりとめもなく昔を想う。思えば、いろいろな時代を駈け抜けてきた。

「星座の楽しみ」はその後、改訂版が出ていて、Amazonでも在庫があるようだ。

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