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2005.01.09

評価する人間を評価するダブルループということ

今日のつぶやきの2005年01月08日(土)のところに「本当の指導者」というエントリが並んでいる。

朝日新聞の経済欄に載った樹研工業の社長さんのインタビュー記事に勇気づけられた、というのがこのエントリの主旨、なのだが、その中に、こんな記述がある。

評価する人間や組織をきちんと評価するという、とても大切なことを日本の多くの組織ではまったく行っていません。前にとある学会で開かれたお役人と語る会で、私が文科省の人に科研費の審査員を審査してはどうかと質問した時、その人は即座に「そのようなことをするつもりはありません!」と、きっぱり言い放ったことを今でもはっきりと覚えています。文科省周辺で行われている競争や評価というものがかなり危ないものであることは、どうやら官僚側でもわかっているらしく、この発言は「つつくと危険」ということを言っているのだと確信しました。
文部科学省の官僚、というのは基本的に、自分自身に責任が及ぶような状況に陥ることを極度に恐れる人種なので、上の応答を読んでも今更驚かないけれど、日本の組織のこのような情けない状況というのは、さかのぼれば太平洋戦争当時の日本軍にもその特徴を見出すことができる。

なんでもかんでもアメリカ流がいい、などというつもりは毛頭ないけれど、当時のアメリカ軍という組織にあって、日本軍にはなかった、組織文化の特徴を、日本人は戦後60年経っても全く学ぼうとしないように見える、のは、なぜだろうか?

以下、戸部良一他著「失敗の本質」から一部引用。

米海軍のダイナミックな人事システムは、将官の任命制度にも生かされていた。米海軍では一般に少将までしか昇進させずに、それ以降は作戦展開の必要に応じて、中将、大将に任命し、その任務を終了するとまたもとに戻すことによってきわめて柔軟な人事配置が可能であった。この点、「軍令承行令」によって、指揮権について先任、後任の序列を頑なに守った硬直的な日本海軍と対照的である。米軍の人事配置システムは、官僚制が持つ状況変化への適応力の低下という欠陥を是正し、ダイナミズムを注入することに成功したのである。
.....中略.....
学習理論の観点から見れば、日本軍の組織学習は、目標と問題構造を所与ないし一定としたうえで、最適解を選び出すという学習プロセス、つまり「シングル・ループ学習(single loop learning)」であった。しかし、本来学習とはその段階にとどまるものではない。必要に応じて、目標や問題の基本構造そのものをも再定義し変革する、という、よりダイナミックなプロセスが存在する。組織が長期的に環境に適応して行くためには、自己の行動をたえず変化する現実に照らして矯正し、さらに進んで、学習する主体としての自己自体をつくり変えていくという自己革新的ないし自己超越的な行動を含んだ「ダブルループ学習(double loop learning)」が不可欠である。日本軍は、この点で決定的な欠陥を持っていたといえる。
評価する人間を評価するシステムを作り上げることの重要さは、最近のNHKや三菱ふそう、西武鉄道、などの不祥事を見るまでもなく、あきらかだろう。ところが言うは易く、行うは難し。日本の組織でダブルループ学習が成功している事例を私は寡聞にして知らない。

宇宙三機関が統合して、JAXAが発足した時から私はJAXAがこのダブルループ学習をどのようにしてみずからの組織作りに役立てていこうとしているかを、外部からの限られた情報で判断しようとしているけれど、いまだ、芳しい進捗は見えてこない。要はリーダーとなるべき人間が、ダブルループ学習の重要性を肌身で感じているか否か、ということだと思うのだけれど...

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