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2005.01.30

ESAが今年後半に初のISS長期滞在

26日にカナダのモントリオールで開かれた宇宙機関長会議に関連して、ある人からタレコミ情報として下記のニュース記事を教えていただいた。この会議でESAの長官がロシアの長官と会って、国際宇宙ステーション(ISS)にヨーロッパ人の初めての長期滞在宇宙飛行士を今年後半にも送り込むことに合意した、という。

SpaceDaily.com: First European Long-Term Space Station Mission This Year
Roscosmos.ru: The ESA and Roscosmos leaders held a meeting in Montreal

ISSに搭乗するのは、1995年にミールで179日滞在した経験を持つESAのトーマス・ライター宇宙飛行士。「NASAも『断る理由はない』として、この形で進みそうです。」という。

ESAはロシアとの好調な関係を活かしてうまくやったなぁ、というのが第一印象。「ESAが長期滞在クルーを送り込めば、次は日本人もというのが流れ」というのが当然期待されること、だけど、日本にとっては微妙なタイミングだなぁ。

日本の国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士である、古川、星出、山崎、の3名は、昨年9月からNASAのミッションスペシャリストの資格取得を目指して猛特訓中。資格が得られるのは早くても今年の年末になる。一方で、宇宙ステーション長期滞在の切符を手に入れるためには「ミッション固有訓練」というのを1年ほど受ける必要がある。

つまり、現段階でもし、宇宙ステーションへの日本人の長期滞在が確定すると、ミッション固有訓練に対応できるのは、若田さん、土井さん、の二人しかいないことになる。

毛利さんは日本科学未来館の館長。向井さんはストラスブールの国際宇宙大学に出向中。野口さんはSTS-114の訓練がいままさに佳境。古川、星出、山崎の三人はMS訓練の真っ最中。

日本に巡ってくる数少ない長期滞在のチャンスを、若田さんか土井さんが対応してしまったら、若い三人の中で宇宙に行くことができない宇宙飛行士が出てくる可能性がとても高くなってしまう。

だから今回の話は日本にとって「ちょービミョーな」タイミング、なのだ。

管理人ごときが心配したってどうなるもんでもないけれど、とっても心配な話題である。

2005.01.29

宇宙飛行士御用達のバーが火災

outpost映画「ライト・スタッフ」には、エドワード空軍基地の近くにテストパイロット達がたむろする居酒屋のシーンが出てくる。壁には歴代の有名パイロット達の写真が飾られている。

ヒューストンにあるジョンソン宇宙センターの近くにも似たような雰囲気の居酒屋があって、歴代の宇宙飛行士の写真が飾られている。毛利宇宙飛行士や、現在、国際宇宙ステーションに滞在中のリロイ・チャオのサイン入りの写真ももちろん飾られている。

前回の宇宙飛行士募集の最終選抜では、ヒューストンを離れる前夜に選抜側が開いてくれたフェアウェルパーティの二次会で、受験生達はこの居酒屋「The Outpost」に連れていってもらった。

その歴史的な写真などを飾っている居酒屋が28日、火事になったという。

HoustonChronicle: Blaze damages landmark tavern

地元の消防署によると、火元となったのは、居酒屋の看板のネオンサインの電気配線の付近らしい。そこから屋根裏に炎が広がったとのこと。歴史のある写真やペナントなどの記念品は煙でややダメージを受けたものの、店主によると、復旧は可能、という。

とりあえず無事で良かった。でも、「ライト・スタッフ」を観た人ならおわかりと思うけれど、時代というのはいつも流れていくものだ。公的な記念館かなにかでも建てない限り、これらの貴重な記念品はいずれ宇宙開発の栄光の時代を支えた人々とともに、散逸・消失していってしまうものなのかもしれない。

ぱわーぽいんと

理系白書ブログの記事「PPT症候群」を受けて、「今日のつぶやき」の1月28日のエントリに「パワーポイント症候群」という記事が載っている。

パワーポイント症候群とは、伝えたい内容ではなく伝える方法が主役になってしまう病気のことなのだと思います。
という結語に、激しく同意。

そういえば最近の(というかだいぶ前からだけど)JAXAの資料とか、宇宙開発委員会の資料とか、総合科学技術会議の資料でもパワーポイントが増えたなぁ。情報公開の姿勢はありがたいけれど、やみくもにPDFに変換してしまうというのも、ちょっとどうにかしてほしい。個人的にはFlashに変換してもらったほうが画面で読むのに軽くて良い、かな。(などという管理人自身、自分の資料をPDFでwebに載せたりすることが多いので、あんまりえらそうなことはいえない)

つーか、Acrobat Readerの起動時間が1秒以内になってくれたらPDFでも別に文句はないのだけど。人生の時間の何パーセントかをAcrobat Reader起動の待ち時間でつぶしたくなんかない。

[追記] Return to FlightのサイトにReturn to Flight Task Groupの中間報告書がPDFで掲載されている。126ページにわたる力作だ。もちろんパワーポイントで作成されたものではなくてWordかFrameMakerあたりを使って作成された、ちゃんとした報告書だ。あまりに大部すぎて、とても全部に目を詳細に通す気にはなれないけど、これくらいの情報量があれば、PDFファイルにすることにはちゃんと意味がある、と思う。

[追記2] Spiegelさんからリンクしていただいたので、リンク返し。そこで紹介されている「PowerPoint絶対主義」という翻訳記事が面白い。

新年会

reunion0501「新年会」と銘打つには1月ももう終わり近く、だが、昨年12月の忘年会に出席できなかったメンバーのリベンジの意味も込めて開催。

野口宇宙飛行士の選抜の際のファイナリストの女性や、山崎宇宙飛行士の旦那や、このwebサイトを見て連絡してきた、とある可愛い女性も参加。じつに濃いメンツだ。某企画の聞き取り調査も兼ねて延々5時間半に及ぶ楽しい会に。

日本の宇宙開発の現状にはなかなか厳しいものがあるけれど、時々こうやって気炎を上げる場所がある、というのはじつに楽しいものだ。受験仲間万歳。

JAXAの閉鎖環境試験もぜひ女性も募集対象にするべきだ。応募したくってうずうずしている素晴らしい女性がここにいますよ>JAXA

2005.01.27

宇宙機関長会議共同声明

JAXA: 国際宇宙ステーション計画に関する宇宙機関長会議共同声明
読売新聞:日本の補給船を物資輸送に活用、宇宙機関長会議で確認

日米欧露カナダの5ヶ国の宇宙機関の長が26日、会合。確認されたのは、

  1. STS-114の飛行後、現在2名になっている宇宙ステーション(ISS)の搭乗員を早期に増やす
  2. 日本の補給船HTVなどを将来の物資輸送に活用する
  3. ISSを2010年までに予定通り組み立てる
  4. 完成後、研究・探査の目的に合致するようISSを利用し、さらに発展させていく
  5. 今秋開く同会議で改めて将来計画を話し合う
など。

ISS搭乗員の増員は、古川、星出、山崎の三宇宙飛行士がいつ飛べるか、に密接に関わってくる死活問題だ。

HTVが物資の補給に活用されるようになれば、日本の宇宙開発産業も活気づく。

特に驚くべきような内容は書かれていないけど、この合意・確認事項が早期に実現するかどうか、が、日本人宇宙飛行士にとってはじつに重要な意味を持つ。願わくは、現在の宇宙飛行士の数ではローテーションが組めなくなるほどISSが繁盛して、次期宇宙飛行士選抜が行われることにでもなりますように。

[2/2追記] JAXAプレスリリースに

ISS計画に関する宇宙機関長会議(HOA)の結果について

が掲載されました。

2) 各極からの進捗状況/課題の報告
各極から進捗状況及び課題が報告された。主な内容は以下のとおり。
.....略.....
JAXA:
* 日本実験棟"きぼう"(Japanese Experiment Module: JEM)の早期打上げ、資金制約への適合性の確認に必要な調整の促進が課題。
って、難しい日本語だなぁ。なんじゃらほい。

あとTPS/Jメールのヒューストンレポートには、

参加国は、6人勤務となった場合には2機のソユ−ズ カプセルを使えばライフボ−トの役割を果たすと主張するが、米国は対イラン核不拡散法の条項に縛られ、ロシアからスペ−スクラフトを購入できない立場にある。

2000年に米国議会を通過した法案によると、ロシアは核技術をイランに輸出できないことになっている。しかし、NASA国際部の広報担当ラ−ン女史は、米国とロシアはこの問題の解決を図ろうと努力していると述べている。
うーん、これも厳しい情勢だなぁ。日本人宇宙飛行士を応援する立場としては、「6人勤務」の態勢はぜひとも実現して欲しいところ、だけど。

2005.01.25

STS-114クルーが36時間の連続猛特訓

「国際宇宙ステーションとのドッキングに欠かせない測距レーザーが故障」「野口宇宙飛行士の船外活動用宇宙服のファンが故障」

これらはジョンソン宇宙センターでSTS-114の乗組員と地上クルーのチームを対象に36時間ぶっ続けで行われたシミュレーション訓練の一部。

ジョンソン宇宙センターのwebサイトにこのマラソン訓練の様子が詳しく乗っている。

JSC Features: Long haul: Return to Flight team completes first marathon simulation

36時間ぶっ続けで訓練、というのは、すごい。NASAはこうやって、宇宙飛行士や地上管制官の士気を本番に向けて高めていく。ほとんど偏執狂ともいえるほど、「これでもかこれでもか」と、あらゆる故障のシミュレーションをする。

これが宇宙飛行士の仕事、というものだ。

くどいようだけど、日本の組織でここまで偏執狂的なリスク回避訓練を行うところがあるのだろうか。数十億円で有人宇宙飛行を実現して見せると豪語したライブドアの堀江社長とか、日本国内でISS宇宙飛行士を養成してみせると頑張っていた旧NASDAとか。

NASAのシミュレーションは、宇宙飛行士のチームと、地上管制官のチームの両方に「想定故障状況」を臨機応変に投げ掛けてくる「第3のチーム」が存在することが最大の特徴だ。あらかじめどんな故障が起こるかとかそれに対する対応マニュアルを作り上げてから訓練に臨むのではない。

日本でよく行われている、あらかじめ作成されたマニュアル通りにしか防災・防火訓練をやらない人たちにも、ぜひこのNASA方式を取り入れて欲しいものだとずっと思っているのだけれど...

それをいうなら、何度シミュレーションをやっても物量の違いから敗戦、という結果が出ていたにも関わらず無視してアメリカに戦争を挑んだ旧日本軍の参謀も...

2005.01.23

シャトルフライトSTS-114の詳細

昨年12月19日掲載の記事だけど、野口宇宙飛行士が乗るスペースシャトル・ディスカバリーのフライトSTS-114の詳細な情報がSpaceflight Nowに掲載されている。

Spaceflight Now: STS-114 Shuttle Report | NASA sets sights on next space shuttle flight

アメリカのテレビ局三大ネットワークの一つ、CBS系列の"Space Place"という番組のために書かれた記事をCBSの許可を得てSpaceflight Nowに掲載したもののようだ。

Part 1〜10までの10ページで、打ち上げから帰還までの詳細な予定が書かれている。これだけの情報量を英語で読むのはさすがにしんどい。けど、じつに充実している。


問題の打ち上げ日時
の件。NASAの公式ページでは相変わらず「5月12日から6月3日の間」となっているけれど、Spaceflight Nowの記事もFloridaTodayの記事も、打ち上げは5月14日から6月3日の間、となっている。

この二日間のずれは、どうやら打ち上げ時に切り離された外部燃料タンクを詳細に撮影するための日照条件、からくるようだ。国際宇宙ステーションは1時間半で地球を一周する軌道で周回していて、スペースシャトルはそれぞれの周回のわずか2,3分間ほどのちょうどよいタイミングをねらって打ち上げないといけない。このタイミングを「launch window」というのだけれど、その時刻は打ち上げが1日遅れる毎に少しずつ早まる。

上の記事ではかりに5月14日に打ち上げだとすると、打ち上げ時刻は午後4時11分、ということになるらしい。ということは、切り離し後の外部燃料タンクの日照条件がベストになるのは、実は20日過ぎ、くらいか...?

今回のフライトで特徴的なことの一つに、TAL (Transoceanic Abort Landing)の予定地がモロッコからフランスのマルセイユの近く、に変更になったことがある。TALというのは、打ち上げの途中にエンジントラブルなどでスペースシャトルが大西洋を渡りきったところで緊急着陸する場合のこと。25年のシャトル飛行でも実際には一度も使われたことはないが、宇宙飛行士は日常的にシミュレーターを使って訓練する。

移転の理由はイスラム圏のモロッコよりもフランスのほうがセキュリティ上安心だから、ということだそうで、こんなところにまで9・11事件とその後の世界情勢の影響が及んでいる。しかしアメリカってフランスを嫌いになったんじゃなかったっけ...?

国際物理年

京都新聞のコラム「明日への視座」に物理学者佐藤文隆さんの記事。

2005年は「国際物理年」

また80年代のバブル景気の影響もあり、派手にこのブームは社会的に進行し、私自身もその渦中におった。そして「怖い」と思ったのは、一面的に誇張されたイメージに憧(あこが)れて優秀な少年、少女が数年すると研究室に登場することである。しかし「1番おいしいところ」はすでに過ぎたのだから、安易な気持ちでやって来れば単純な乗り遅れとなる。特に応用がその先に展開するのでないこういう分野は「遅れてきた」人たちで混雑するだけになる。
宇宙開発も、もしかして似たような側面がないか? 「応用がその先に展開する」かどうか、が、鍵、なような...

2005.01.21

古川・星出・山崎三宇宙飛行士のビデオインタビュー

JAXA宇宙飛行士活動レポート 2004年12月に古川・星出・山崎三宇宙飛行士のビデオインタビューが掲載されている。NASAの12月のクリスマス休暇にあわせて帰国した際に撮影されたもの、かな?

角野さん、もとい山崎さん、声がカゼ気味だ。帰国の飛行機の中でもらったのだろうか。お大事に。

映画「愛と青春の旅立ち」のワンシーンのような、ジェット機の操縦席からの水中脱出訓練の映像が出てくる。そのあと、ヘリコプターに救出されるというシナリオだが、そのヘリコプターがさらに夜間、水面に不時着して転覆した、という想定の訓練もやるそうだ。なんと用意周到な。JAXAの、つーか、日本人の文化では考えられないね。

古川さんと山崎さんはこのヘリの脱出訓練がいちばんつらかった、という。ちなみに星出クンは「つらかったものはない」という優等生発言。古川さんは左右の感覚を失って溺れかけた、という。もちろんサポートのダイバーがすぐに助けてくれるので、そんなに危ないわけではないけれど。

三人が口をそろえていうのはT-38の訓練が楽しかった、ということ。いいなぁ。うらやましいなぁ。ところで、管理人がT-38の脇で写真を撮った時には、空気吸入口の形状を改良した「新型機」が格納庫にあったのだけど、このビデオに映っているT-38はいずれも「旧型」の空気吸入口だ。あれから5年経っても改良が進んでない、ということは、新型の効果は薄かった、ってこと?

星出クン、髪の毛が野口センパイの後を追ってますぜ。

てぇ・じぇ・う゛ぇ

うるわしのブルターニュ経由:

フランスの新幹線ことTGVの広告です。

3本のCM全部見ましたが、個人的にはre'union loupe'eが大ウケ。visio cone'renceも面白いですが。

フランス人のこういうところ、いいなぁ。

ドメイン名になってる C'est un choix って、英語だと、「It's one choice.」ってことですね。

電子政府OSのソースコード評価

今ごろになって気がついた。昨年8月27日に総務省が発表した報道資料によると、

平成17年度 総務省 重点施策

3.電子政府・電子自治体の推進
(1)電子政府の推進
 5)OSのソースコードの評価
  ・電子政府・電子自治体で用いられる汎用OSの
   ソースコードの評価を行い、「推奨OSリスト」
   を構築する。
へぇ、国家予算を使ってこんなことをやるのか。担当は誰なんだろう。評価のプロセスや結果はオープンにしてもらえるのかな。

どっかの会社から圧力とか利益誘導とか受けたりしないように、しっかりとやって欲しいものです。

こんな話もある。

(2)電子自治体の推進
  ・公的個人認証サービスの新たな活用方策を検討
   するとともに、その利便性等を向上させる方策
   の研究を推進するほか、.....(略).....
これに関連してはこっちの話も気になる。LGPKIにするんならするで、某M社やFirefoxやらMozillaやSafariなどに一刻もはやく取り込んでもらえるように働き掛けて欲しいものだ。担当者に英語研修の費用と海外出張の旅費を与えるのが早道かな?

2005.01.19

NASAがすばる望遠鏡でタイタンを観測

t o k o k u ' s Hawaii diaryの2005年1月15日 (土) のエントリによると、

NASAは地上からもすばる望遠鏡を使ってタイタンの大気を観測しました。雪で準備が困難だったこの一週間、NASAスタッフは一生懸命に装置の準備をし、すばるスタッフも一生懸命サポートしていました。両者頑張ったかいがあって、雪の後で天気に恵まれ、いいデータが取れたみたいです。
とのこと。

マウナケア山頂は、水の配達が雪で滞ったりストライキがあったり、と、大変だったみたいですね。ある意味、宇宙ステーションの暮らし、みたいな。

この日記、マウナケアからの写真が素晴らしいです。「すばる望遠鏡日記」とか題して出版したりしないのかな。

元宇宙飛行士・秋山さんの「農」

Space Fighter Now経由:

asahi.com MYTOWN 山口: 「農」への帰結熱く/元宇宙飛行士・秋山さん

打ち上げまで1週間という朝。マイナス20度の中で体力作りのジョギングをしながら「1週間後に命を落とすかも知れない」「帰ってきたら、一度死んだつもりで、やりたいことをやろう」などと考えたという。
.....略.....
帰還後は、環境問題をテーマに番組を制作した。だが「自分の体を使って実行に移せないもどかしさ」を感じ、95年に53歳で退社。未知の世界に飛び込んだ。
なるほど、管理人は宇宙へ行ったわけではないが、秋山さんがなぜシイタケ栽培なのか、この記事を読んでやっとわかったような気がした。「1週間後に命を落とすかも知れない」という経験は、普通はなかなかできるわけではない。でも宇宙飛行士になると、「いまそこにあるリスク」として目の前にぶらさがるわけだから。

最終選抜の結果発表の日、東京のビジネスホテルの一室でウロウロと熊のように部屋の中を歩き回って、毛利さんからの電話を「今か今か」と待ち続けた日のことを思い出した。それまでの人生が走馬灯のように思い出されてきて...いや、貴重な体験でした。

ところでJAXAの宇宙飛行士になりたいと思っている人は、面接で「宇宙に行くのは1回だけでいい」などと答えると、落ちますよ。...って、管理人は「(機会があれば)3回くらいは行きたい」と答えた気がする。でも(機会があれば)という文脈が面接官には伝わらなかった気もする。落ちたのはこのせいか...?! ^^;

「JAXAは宇宙飛行士に何を期待しているのか」をよく考えておかないと...

2005.01.17

ブラウザ・シェア

Site Meterによるアクセスログ解析の最近の結果。

BrowserShare

このサイトに来てくれる人はFirefoxがお好き、な割合が多いのかな? FirefoxとNetscape 7で27%にもなる。1年前とは様変わり、ですね。

ちなみにOSの分布はこんな感じ。

OSshare

Blue Origin

Amazon.com CEOのJeff Bezosが設立した宇宙開発企業に関する記事2本。
CNET Japan: アマゾンCEO、宇宙船基地建設計画を発表
STSJ: オンライン書籍販売Amazon.com創設者が推進するBlue Origin計画に進展。

2005.01.16

マレーシアの宇宙飛行士選抜

ロシア宇宙開発ニュースのページ(BLOG版)にこんな記事が。

Malaysian Astronauts Trained By Russia Eligible For Other Missions

「マレーシアが自国の宇宙飛行士2名を選出してロシアで訓練を受けさせ、2007年10月に宇宙へ向けて出発する予定」だそうです。

びっくりしたのは、応募者の数がなんと3700人! 日本の前回の宇宙飛行士選抜の応募者の数が864人だから、4.3倍の応募者数、ということになる。

これに対して、マレーシアの人口は日本の約5.5分の1。つまり同じ人口あたりの「宇宙飛行士になりたい度」はマレーシアのほうが日本よりも24倍近くも高い、ということになる。

募集の要件とか、日本は4度目の募集だったこと、とか比べると、単純には比較できないけど、なんとなくマレーシアの人々の素朴さが伝わってくる、気がする。

この記事によると「マレーシアでは最終的に選抜される2名の宇宙飛行士を将来有人火星探査ミッションなどに参加させることも考えている」だそうで、これもなんか純粋というか、すごい。ロシアにお金を払うんだろうか、やっぱり。

話は変わって、松浦晋也さんのこちらの記事。「ホイヘンスまんじゅう」って言葉が脳内ループしてるという。なんか笑っちゃう。たしかにねぇ。

でも世界の人口の何割かが生中継を見た、という、人類初の月着陸、と比べると、今回のホイヘンスの着陸に心躍らせた人間の数を「世界がもし100人の村だったら」に換算するとどういうことになるだろう?

それだけ世の中の「関心の対象」というのが広く薄く分散しちゃったんじゃないでしょうか。寂しいけれど。

ホイヘンスまんじゅうが発売されるかどうか、ってのは、ひとえに「市場原理」だと思うです。

2005.01.15

ホイヘンスが土星の衛星タイタンに着陸

NASAの土星探査機カッシーニから分離したESAの小型探査機ホイヘンスが14日、土星の衛星タイタンに無事着陸、画像を送ってきた。これまでに探査機が着陸した天体といえば月,火星,金星,木星,小惑星エロス。タイタンは6番目、ということになる。間違いなく2005年の十大ニュースの一つ、だろう。

ESA Portal: First Images from Titan
NASA: Cassini-Huygens: Close Encounter with Saturn
JAXA/月探査情報ステーション:カッシーニ/ホイヘンス トピックス
読売新聞:タイタンの地表に河川や氷…探査機が画像を初送信
FloridaToday: Huygens sets down on Titan

Titan Surface
Credit: ESA/NASA/Univ. of Arizona

Titan Ariel View
Credit: ESA/NASA/Univ. of Arizona

[関連ブログ]
和紗泰信のひとりごと:着陸成功!
ごんざぶログ:ホイヘンスがタイタンに突入
松浦晋也のL/D:「ホイヘンス」、タイタンに突入!
こすもす:タイタンで待っているのは誰?
Words of A-Cubed Revisited: Huygens が土星の衛星 Titan に突入

宇宙ステーション補給モジュール

野口宇宙飛行士が乗るスペースシャトルのフライトSTS-114に搭載予定の、国際宇宙ステーションに補給物資を送るためのモジュール「Raffaello」の記事。

NASA: From Simulation to Space, Raffaello Prepares for Launch

STS-114といえば、JAXAのサイトに「STS-114ミッションサイト」がオープン。ケータイにも対応している。「JAXA 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター」の解説によると、

野口宇宙飛行士が搭乗するSTS-114ミッション特設サイトをオープンしました。ミッションの説明や野口宇宙飛行士の訓練状況など最新情報を分かりやすくお伝えしていきます。ぜひご覧ください。
だそうで。

ところで、「野田篤司の宇宙開発講座」という記事を読んでみて、一部のSF作家やSFファンから奉られている「野田司令」という人は、意外に情けない人なのかな、と思ってしまった。ISSやスペースシャトルなどのすでに開発されたものの問題点を指摘したり悪口をいうことは誰にでもできる。だがスペースシャトルが過去25年に渡って馬車馬のごとく働き続けてきたことへの尊敬や畏敬の念は、この記事に描かれた議論からは感じられない。その25年間、日本の宇宙開発はなにをやってきたのか。

JAXAをやめてLivedoorの宇宙開発専任部隊で働く、とでもいうことになったら、評価もするけれど。

STS-114関連でもう1件。FloridaToday紙の記事によると、ケネディ宇宙センターのシャトル組立ビル(VAB)で過去2ヶ月の間に2件の火災が発生した、という。2回とも、大事にはいたらなかったようだけど、VABには固体燃料ブースターロケットもあるので、もしこれに火がついたら大惨事になりかねない。ちょっと心配な記事だ。

宇宙開発、というのは、日々のこういうリスクと真正面から向き合うことだ。単なる批判や評論ではプロジェクトは前進しない。

ソユーズ宇宙観光客

メモ。

STSJ: ロシア宇宙機関 ソユーズの米国宇宙飛行士への無償提供を2006年以降停止。

現在、アメリカ人大富豪のグレゴリー・オルセン氏(光学機器開発)と日本人大富豪の榎本氏(livedoor社株主)、電通枠のもう一人の日本人の計3名が2005年以降の宇宙旅行を目指していると報じられています。

とのこと。

2005.01.14

松聲館

メモ。

なんとなくぐぐっていたらこんなページを発見。

2004年8月3日のエントリに注目。へぇ。

2005.01.13

ドイツからの手紙

ドイツから手紙が届いた。封筒の表を見ると、貼ってあったのは国際宇宙ステーションのちょっとおしゃれな切手。つい、スナップショット。

ISSstamp

ついでにこんな切手も...

Klassisches

JAXAの長期戦略

昨日の記事で取り上げた、JAXA理事長のインタビュー記事

日本の宇宙開発はここ数年でいろいろなことがありましたが、今年は活動を従来の軌道に戻したいと思います。そのために、JAXAは新たなビジョンとポリシーを持って事にあたる必要があります。現在、JAXAは新ビジョンを策定中で、3月には完成する予定です。
だそうです。

これに呼応するかのように、日本惑星協会や「いはもと版今日の話題(宇宙+etc...)」で、この長期戦略のことが記事になっている。

日本惑星協会:JAXAがまとめた日本の宇宙開発の長期構想の中間案
いはもと版今日の話題(宇宙+etc...): 大風呂敷倶楽部 続編
いはもと版今日の話題(宇宙+etc...): 大風呂敷倶楽部

深宇宙のラグランジュポイントに宇宙港、って、ジオン公国か? ってのはさておき。

この場所に出てくる人は、なかなか元気よさそうでよろしい。国際宇宙ステーション関係からはこれ関連の話が聞こえてこないような気がするけど、気のせいかな?

みどりII号の教訓

Space Fighter Now経由:

JAXA: 確実な人工衛星開発のために 〜「みどりII」の教訓を受けて

JAXAの宇宙利用推進本部長、古濱洋治氏曰く。

また、今後の衛星開発においては、(1)「研究開発」段階の強化・充実、(2)宇宙実証試験の充実、(3)設計力と検証能力をもった人材の育成を基本方針に掲げ、総点検で培われた成果を反映するとともに、確実な衛星開発を目指していきます。
いいけど

(4) 一つの衛星にあれもこれもと多すぎる技術目標、高すぎる工学的意義、を盛り込まないような人材の養成

ってのが抜けているんじゃ...??

2005.01.12

JAXA新理事長、新春インタビュー

JAXA新理事長の立川敬二氏がJAXAウェブサイト編集部のインタビューに答えた記事が、JAXAインタビューとして掲載されている。

インタビュー 第13回 立川敬二

ざっと眺めてみたところ、概ね予定調和的な談話になっている。まぁJAXAのサイトだから当然だけれど。しかし、たかがインタビュー、されどインタビュー。細かく見ていくと、管理人のような部外者にとっては伺い知れない、立川氏の人となりのようなものがかいま見えてくる、気がする。

以下、管理人の妄想と独断と偏見に満ちた、このインタビュー記事の分析を...

まず、このインタビューに答えたという姿勢自体が、前理事長とは異なり、積極的なものを感じる。自分がリーダーシップを発揮すべき存在であることの自覚のあらわれ、か?

次に、管理人的に評価できると思われる「立川語録」...

さらに長期的な目で見ると、人類が、地球上だけでなく、他の惑星などにも生存圏を拡大できるといいのではないでしょうか。
.....略.....
文化が違う「研究」と「実用化」の組織がひとつになったのですから、早急に一体化するのは難しいと思います。人事の交流も進めながら、全体の雰囲気をまとめていくことが必要でしょう。現在、各本部の場所が離れていて、それぞれが独立しているような形になっていますが、これは人事交流でかなり改善できると考えています。
 また、いまだに残っている官僚組織的な悪弊も、今後大いに払拭していくべきだと思っています。同時に先端的なコンピューターシステムなどを導入し、経営の効率化や情報の共有化、判断のスピードアップを図ることも必要でしょう。
.....略.....
今年は活動を従来の軌道に戻したいと思います。
.....略.....
今後の宇宙開発も、研究は一元的に行い、実用化して利用する点については、民間の競争原理が必要になってくると思います。
.....略.....
JAXA理事長の職に就いて、日本の宇宙開発分野のGDP(総生産高)の少なさに驚きました。
.....略.....
(日本の有人宇宙開発)これはJAXAだけが決めるのではなく、国の方針として決めていく問題だと思います。
.....略.....
今後どうなるかは、研究開発のためにどれだけ投資できるかによって変わってくるでしょうが、今のJAXAの予算規模では到底無理な話です。
.....略.....
つまり、人間を宇宙に運ぶということは、信頼性の向上に大きく貢献できる可能性があり、その観点からも、有人宇宙飛行を捨てずにやって行くべきだと思います。
「評価」という意味は、これら抜粋した部分には、善くも悪くも立川氏本人の本音が見え隠れしている、と、思うから。理事長がこれだけはっきりものを言う文化は旧NASDAにはなかったという記憶がある。JAXAが変わっていくひとつの予兆、に、なる、かな...?

2005.01.11

ひまわり後継衛星がまた無保険

東京新聞:ひまわり後継衛星 また『保険』なし

気象衛星ひまわり5号の後継機で来月打ち上げ予定の運輸多目的衛星は1999年11月に打上げに失敗した衛星の代替機。この時も、保険をかけていなかったことが随分と議論になった。今回の衛星は製作に163億円をかけているが、また保険をかけないで打上げる、という。

打ち上げに使うH2Aロケットは2003年11月の情報収集衛星の打ち上げ失敗の後の再開第一号となる。このため、記事によると、保険料が衛星価格の15%から30%に高騰、という。

う〜ん、微妙な話だ。保険料が30%というのは随分高い。しかし、気象衛星、という、国民の生活の安全を保障する衛星を、保険無しでまた打上げるというのはいかがなものか。庶民の感覚的には、保険料10%までならやはり税金を投入して国民の貴重な財産を担保すべき、と、思う。

それにしても30%とは保険会社に随分と足下を見られたな。関係者の努力不足and交渉力不足だ。国民の財産のリスク管理をなんと心得ているのかな。

この記事では宇宙工学アナリストの中冨信夫氏が「保険料の問題だけでなく、保険に入るには(保険会社の)審査があり、技術的なデータを開示しなければならない。失敗続きのH2、H2Aロケットの信頼性にかかわるデータを公開したくない事情も国にあったのでは。」とコメントしている。けど、この人、ウラを取らずに適当な憶測をしゃべることでも有名なので、話半分に聞いておかなくちゃね。東京新聞、どうしちゃったんだ。

しかし、気象衛星のような重要な衛星のリスク管理の基本はやっぱり中野不二男氏がその著書でいうように「予備機を同時に製作しておく」こと、じゃないのかな。

2005.01.09

評価する人間を評価するダブルループということ

今日のつぶやきの2005年01月08日(土)のところに「本当の指導者」というエントリが並んでいる。

朝日新聞の経済欄に載った樹研工業の社長さんのインタビュー記事に勇気づけられた、というのがこのエントリの主旨、なのだが、その中に、こんな記述がある。

評価する人間や組織をきちんと評価するという、とても大切なことを日本の多くの組織ではまったく行っていません。前にとある学会で開かれたお役人と語る会で、私が文科省の人に科研費の審査員を審査してはどうかと質問した時、その人は即座に「そのようなことをするつもりはありません!」と、きっぱり言い放ったことを今でもはっきりと覚えています。文科省周辺で行われている競争や評価というものがかなり危ないものであることは、どうやら官僚側でもわかっているらしく、この発言は「つつくと危険」ということを言っているのだと確信しました。
文部科学省の官僚、というのは基本的に、自分自身に責任が及ぶような状況に陥ることを極度に恐れる人種なので、上の応答を読んでも今更驚かないけれど、日本の組織のこのような情けない状況というのは、さかのぼれば太平洋戦争当時の日本軍にもその特徴を見出すことができる。

なんでもかんでもアメリカ流がいい、などというつもりは毛頭ないけれど、当時のアメリカ軍という組織にあって、日本軍にはなかった、組織文化の特徴を、日本人は戦後60年経っても全く学ぼうとしないように見える、のは、なぜだろうか?

以下、戸部良一他著「失敗の本質」から一部引用。

米海軍のダイナミックな人事システムは、将官の任命制度にも生かされていた。米海軍では一般に少将までしか昇進させずに、それ以降は作戦展開の必要に応じて、中将、大将に任命し、その任務を終了するとまたもとに戻すことによってきわめて柔軟な人事配置が可能であった。この点、「軍令承行令」によって、指揮権について先任、後任の序列を頑なに守った硬直的な日本海軍と対照的である。米軍の人事配置システムは、官僚制が持つ状況変化への適応力の低下という欠陥を是正し、ダイナミズムを注入することに成功したのである。
.....中略.....
学習理論の観点から見れば、日本軍の組織学習は、目標と問題構造を所与ないし一定としたうえで、最適解を選び出すという学習プロセス、つまり「シングル・ループ学習(single loop learning)」であった。しかし、本来学習とはその段階にとどまるものではない。必要に応じて、目標や問題の基本構造そのものをも再定義し変革する、という、よりダイナミックなプロセスが存在する。組織が長期的に環境に適応して行くためには、自己の行動をたえず変化する現実に照らして矯正し、さらに進んで、学習する主体としての自己自体をつくり変えていくという自己革新的ないし自己超越的な行動を含んだ「ダブルループ学習(double loop learning)」が不可欠である。日本軍は、この点で決定的な欠陥を持っていたといえる。
評価する人間を評価するシステムを作り上げることの重要さは、最近のNHKや三菱ふそう、西武鉄道、などの不祥事を見るまでもなく、あきらかだろう。ところが言うは易く、行うは難し。日本の組織でダブルループ学習が成功している事例を私は寡聞にして知らない。

宇宙三機関が統合して、JAXAが発足した時から私はJAXAがこのダブルループ学習をどのようにしてみずからの組織作りに役立てていこうとしているかを、外部からの限られた情報で判断しようとしているけれど、いまだ、芳しい進捗は見えてこない。要はリーダーとなるべき人間が、ダブルループ学習の重要性を肌身で感じているか否か、ということだと思うのだけれど...

2005.01.08

天文学トイレットペーパー

yosuke の日記経由:

毎日新聞:天文トレペ:国立天文台の学生ら試作 天文学に親しんでと
天プラ:【Astronomical Toilet Paper】
天プラ:***Astronomical Toilet Paper Project***

1個80円、か。なかなか面白いプロジェクトだな。JAXAにも応用ができそうな気がする。芯にレンズをはめて、双眼鏡に、ってところが笑っちゃう。「個室」でおもむろに切り取った紙切れを前にして、宇宙との思索にしばし浸るのも悪くない?!

外部燃料タンクがケネディ宇宙センターに到着

野口宇宙飛行士が乗るディスカバリー号の外部燃料タンクがケネディ宇宙センターに到着した。

FloridaToday: KSC morale lifts off
asahi.com: シャトル装備そろう、新燃料タンクが到着 NASA

打上げから約2ヶ月前の3月16日には、VABを出て打上げ台に移動するという。通常より1ヶ月早い移動。

特筆すべきは、FloridaTodayの記事の中で、打上げの候補日が5月14日から6月3日の間、とされていることだ。それも一回きりではなく、この記事でもこの記事でも書かれている。

以前書いた記事では「5月12日から6月3日の間」で、この根拠となっているNASAのAgency Newsを見ても昨年10月29日発表の記事しか見あたらない。

NASAはまだ正式に公表していないけど、FloridaTodayお得意の「関係筋からの非公式情報」というところだろうか?

3月くらいになれば、打上げ候補日の幅はもっと狭められるだろうと期待しているけれど、個人的には1日1日の打上げ候補日の変更がとっても気になる。

日本製ハッブル?

asahi.comに、国立天文台が構想を練っている口径3.5メートル級の宇宙望遠鏡の想像図。

asahi.com: 「第2の地球」探しに本腰 国立天文台

この図によると、構想されているのはハーシェル・カセグレンだ。副鏡の支持アームが主鏡の光路を妨げないので、干渉縞のない良好な画像が得られる。チャレンジングな点は、主鏡・副鏡の表面が中心をずれた放物面を正確に製作できるかどうか、だけど、すばる望遠鏡のアクチュエータの技術があることなどを考えれば、十分実現可能な気がする。コンパクトに折り畳まれた状態で打上げられるようになっている。なかなかうまい設計だ。これならH-IIAロケットでも打上げられるだろう。すばらしい。失敗を恐れずにどんどんチャレンジして欲しい。JAXA統合の効果をプラスに転じて欲しい。

2005.01.07

JAXAの広報

このブログにもよくコメントしてくださるkazuさんが
覚え書き@kazuhi.to: JAXAの広報・教育活動についてというエントリを書いている。

それに対してblack_knightさんからはこんなコメントも。

「戦略とか企画に関する事項が盛り込まれるべき」のくだりに同意。旧NASDAのwebページはアクセシビリティがビシッとしているなぁ、と、ある意味、いい参考にさせていただいていましたが、JAXAになってから、対象読者層や戦略を絞り込めていないような、なんとなくぼやっとしているなぁという感触を持っていました。

「全ての発言記録を別添する」ってのも、担当者は大変でしょうが、傍観者の一人としては、ぜひ実現して欲しいことだと感じます。

個人的には「個人的には木達さん復帰したら?」ってのに激しく同意。

2005.01.06

りなっくす

ひさびさにまとまった時間が取れたので、意を決して、ずっとほったらかしてあった自分用メールサーバーのsendmailをアップデートした。ここまでほったらかしてきた理由は、READMEファイルを読むのが億劫だったから、で、実際、読み始めると2時間近くかかったのだが、肝心の実作業は過去の作業メモを見ながらやったら5分程度で終わってしまった。ううむ。

今はやりのFedraとかに移れば各種メンテナンス作業もずいぶんと楽になるとは思うのだが、なにせ7年前のノートPCを使っているので、新たにマシンを調達してサーバーをたてるとかでなければ、なかなか勇気がなくて踏み切れない。

この作業のおかげで、sshのポートフォワード経由のPowerBookのApple Mailが約8ヶ月ぶりにまたさくさくと使えるようになった。じつに快適。

ところで、その昔、ロシアの宇宙ステーションミールがまだ健在だった頃、こんな話がネットで流れた。

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RISKS-LIST: Risks-Forum Digest Friday 27 February 1998 Volume 19 : Issue 60

Date: Thu, 19 Feb 98 9:15:19 PST
From: "Peter G. Neumann" <neumann@csl.sri.com>
Subject: Shuttle conversation; April already?

[Note: The last previous Friday the 24th was in October 1997,
and the next one, ominously, is in April 1998.]

From THE WEEKLY UNIX NEWSPAPER, London, 16-20 Feb 1998, Issue Number 667

On Friday the 24th, I was watching the NASA Channel on cable TV to see how the experiments and Shuttle crew were doing. The men on board needed to send some adjusting instructions to the automated setups doing experiments in the cargo bay, and they were using a laptop to do the sending. As some of you may have heard, there was a "computer problem" on board as reported by CNN. The dialog between the crew and the Johnson Space Center (JSC) went something like this:

Crew: Urgent, Johnson, we can't get a DOS prompt!
JSC: Press "C:<enter>".
Crew: Heck, we're not familiar with all this.
JSC: What screen are you looking at?
Crew: It says "My Computer", and, er, various other icons.
JSC: Click on "Start", and then "Shutdown".
Crew: You click the "Start" button to shut down?
JSC: Yeah. Isn't it obvious?
Crew: Somebody get me an aspirin.
JSC: Just hit the damn "Start" button.
Crew: We can't do that. It didn't load a mouse.
JSC: Didn't load any mouse at all?
Crew: Well, yeah, a PS/2 or something. But we don't have one of those.
JSC: Okay. Press Alt + Esc.
Crew: And what does that do?
JSC: It should help.
Crew: Negative.
JSC: Stand by, will attempt to replicate the problem down here.
Crew: Roger.

<Long Pause>

JSC: Okay then. Double-click on the MS-DOS icon.
Crew: I don't have a mouse.
JSC: Go to the backup plan.
Crew: Which is what?
JSC: Dock with the Russians. They have a Unix workstation you can borrow.

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24日(金)、ケーブルテレビのNASAチャンネルで、シャトルの実験がどんな風に進んでいるかを見ていた。乗組員は(シャトルの)カーゴベイで行われている実験の自動化手順にある変更指令を送ろうとしていた。CNNのニュースを見ていた人はご存知だと思うけれど、この時「コンピュータ上の問題」が発生した。以下は乗組員とヒューストンのジョンソン宇宙センターが交した会話の一部。

乗組員:ヒューストン、緊急だ。DOSプロンプトが出てこない。
ヒューストン:"C:<enter>"を押してみろ。
乗組員:チェッ、おれたちゃこの状態に全然馴れてないぞ。
ヒューストン:今、どんな画面が見えているんだ?
乗組員:えーと、「マイコンピュータ」ってのと、他にもいろんなアイコンがある。
ヒューストン:「スタート」をクリックして、それから「シャットダウン」だ。
乗組員:シャットダウンするのに「スタート」ボタンを押すって??
ヒューストン:そうだ。自明だろ?
乗組員:誰かおれにアスピリン(頭痛薬)を持ってきてくれ。
ヒューストン:いいからそのクソ「スタート」ボタンを押せ。
乗組員:それはできない。マウスが認識されなかったんだ。
ヒューストン:マウスが全く認識されなかった?
乗組員:えーと、そうだ。PS/2がどうとかいってたな。ここにはそんなものはない。
ヒューストン:オーケー。じゃぁ Alt + Esc を押してみろ。
乗組員:そうするとどうなる?
ヒューストン:それでうまくいく。
乗組員:だめだ。
ヒューストン:待機せよ。地上で同じ状況を再現してみる。
乗組員:了解。

<長い沈黙>

ヒューストン:オーケー。MS-DOSアイコンをダブルクリックしろ。
乗組員:だから、マウスが認識されないといっただろ。
ヒューストン:バックアップ・プランに移行せよ。
乗組員:それってなんだ?
ヒューストン:ロシア人達とドッキングしろ。連中はUNIXワークステーションを持っているから借りられる。

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ネタとも実話とも判断がつきかねるのだけど、スペースシャトルはいったん打上げられたら、ミールとのランデブーをするような燃料はない。ミールとの特別なドッキング用モジュールも搭載してなければドッキングできない。ヒューストン一流のジョーク、かな?

マックホルツ彗星みえた

野尻ボードを見て、「そういえば今日は空が澄んでいたな」と思い出し、7x50の双眼鏡を首から下げて自宅ベランダに出てみた。自宅周辺は決して空が暗いほうではなく、目に付くのは3等星くらいまで。目を凝らしてぎりぎり4等星が見えるかどうか、という程度。

すでに西に傾いたおうし座のプレアデス星団の下あたりに「なにか」を感じて、さっと双眼鏡に目をあてると、いきなりマックホルツ彗星が視界に飛び込んできた。

さすがに手持ちの双眼鏡の一撃で彗星をしとめるのは初めての経験だったので、何度も確認したけれど、やっぱりマックホルツ彗星に間違いない。もっと空の暗い場所だったら、それなりに感激の対面、だったろう。

子供の頃、高知県の彗星ハンター、関勉さんが書いた「未知の星を求めて」という本を読んで憧れて、大人になったら彗星ハンターになりたい、なんて思っていた。あの頃の自分に今の自分はどう見える...?

ヒューストンに降る雪

大晦日は管理人の自宅周辺でも雪が積もって、道路の雪かきが大変だった。筋肉痛。

ところで米国テキサス州ヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センター周辺では、雪とは珍しいもの、らしい。

NASA/JSC Features: Winter wonderland at JSC

子供の頃は四国にいたので、雪が積もること自体が珍しく、3〜4cmの積雪で大はしゃぎしてちっちゃな雪だるまを作っていたことを思い出した。そういえば関係ないけど、映画「クールランニング」も面白かったなぁ。

トリビアネタ、だけど、このジョンソン宇宙センターの敷地、関係者に聞いたところによると、NASAがここにセンターを作る前は、日系人の農家の敷地、だったらしい。日系人の土地をアメリカ政府がダイレクトに買いあげたりするといろいろ差し障りがあるので、エクソンモービルだかどこかが仲介に入ったとか入らないとか。ジョンソン宇宙センターの近所には、この日系人の名前がついた道路があるらしい。

ジョンソン宇宙センターがなぜそもそもテキサスに建設されたのかの経緯については、いろいろとドロドロした面白い話が満載、らしいのだが、確実な一次情報を知っているわけではないので、また今度。

2005.01.04

津波で壊滅したアチェの衛星画像

スマトラ島沖地震の津波被害は、犠牲者が15万人にせまる勢いで、想像を絶する大災害ですね。気の遠くなるような人数です。あらためてご冥福をお祈りします。

インドネシアのアチェ特別州地方は、政治情勢が不安定であることもあって、被害の状況がなかなか伝わってこないようですが、DigitalGlobe社のQuickBird衛星が捉えた画像でアチェの被害状況の概観を見ることができます。

Space Fighter Now経由:

今日の地球画像:これが津波襲撃の瞬間だ。全貌記録特集 注:ページを開くと音楽が流れます

津波前の画像と比べると、町がまるごと流されてしまっているように見えて、胸が詰まる。

悲惨さに追い討ちをかけるようなアチェの政治情勢を解説した記事としては例えばこんなところ:

暗いニュースリンク:スマトラ沖大地震:大災害の裏側
極東ブログ:スマトラ島沖地震津波被害支援、その後の印象

スリランカやソマリアなどの状況も気にかかります。

義援金情報などはこちら。

ごたまぜの引き出し:スマトラ沖地震 義援金情報

Japan Net Bankなども義援金の受付を24時間体制で始めましたね。

[1/5 追記] こちらのページに今回の津波の衛星画像関係の情報がまとめられています。
[1/9 追記] こちらのページには義援金を送る団体を選ぶ際の非常に参考になる論考がまとめられています。

2005.01.03

スペースシャトルの燃料タンクがケネディ宇宙センターへ

明けましておめでとうございます。今年の正月休みはどこにもでかけず自宅でゴロゴロしていました。10〜15年前に8mmビデオで撮ったいろんな素材をメディアが読めなくなる前に、と思ってMPEG2化を試みて悪戦苦闘。一台しか残っていない8mmデッキの調子が悪くてかえってテープを傷めてしまう。8mmが市場から無くなる前に予備のデッキを買っておくべきだった。映像メディアの変遷のいかに激しいことか。どこかで新品の8mmデッキ、売ってないもんでしょうかね...

[追記] Googleで「8mm ビデオデッキ 販売」で検索したら、こんな製品が見つかりました。受注生産かぁ...

*****

閑話休題。年末年始は宇宙開発関連ネタが少ないので、昨年の大晦日のネタを...

12月31日、ディスカバリー号の外部燃料タンクがニューオーリンズ港からフロリダのケネディ宇宙センターに向けて出港。

FloridaToday: Revamped shuttle fuel tank begins trek to Space Coast
HoustonChronicle/AP: Improved shuttle fuel tank on its way to KSC

STS-114の準備が着々と進んでいます。

さらに昨年4月30日の記事だけど、ロッキードマーティン社のwebページには、この外部燃料タンクの前でポーズを取る野口宇宙飛行士ほかクルーのかっこいい写真がこちらに。

Lockheed Martin Space Systems Company: Michoud News

野口さん、ちょっとよそ見をしてるね...

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