ノートPC雑感
宇宙開発とは関係ないけれど、ITmediaのコラム記事「
日本の「パソコン」はどこへ行く?」をつらつら読みながら考えたことなど。
2年ほど前、blogが日本の社会に定着し始めた頃は、新し物好きな個人がMovableTypeなどのblog用のツールを自分たちで設定して立ち上げて、コミュニティが形成された。それと同じような試行錯誤の時代が80年代半ばのパソコン通信の黎明期にも日本にあって、新し物好きの人たちが自分たちでパソコンを買ってきて、パソコン通信のホスト用のツールをインストールしたり自分で開発したりして、いわゆる草の根BBSなるものが全国あちらこちらにあった。
その頃のパソコンといえば今とは比べものにならないほど脆くかつ高価なもので、特にハードディスクは衝撃や振動にとてつもなく弱かった。サーバーホストを設置した地域に地震があると、「うちのホストのハードディスクは大丈夫でした」などという情報があちらこちらの草の根BBSで飛び交ったものだ。
そんな「パソコンとは脆いもの」「稼働中のハードディスクには絶対に振動を与えるな」という「常識」が覆されたのは、IBMのThinkPadなど、対衝撃性の強いノートPCが開発されてきたことの貢献が大きい。時代とともに「常識」も変わる。ThinkPadはスペースシャトルの打ち上げ時の衝撃にも耐え、気圧の変動にも強いという性能を誇るから、NASAにも採用されたという経緯がある。
その一方で、変わらないものもある。ディスプレイ、キーボード、マウス(やパッド)などの入出力機器だ。休みの日にベッドの中でのんびりパソコンを操作したりする時に思うのは「ああ、もう少し楽な入出力機器は流行らないものか」と。
ウェラブルPCというのは、どうなったのだろう。いくらパソコン本体が小さくなっても、入出力機器がまともに機能しなければ市場では評価されないことは、PDAの盛衰が示している。オリンパスのEyeTreckも、その後、市場を席捲した、という話はついぞ聞かない。ちょっとGoogle検索してみたら、SONYがヘッドマウントディスプレイをまだ生産しているみたいだけど、この値段ならデスクトップPC本体が買えてしまう。解像度も普通のディスプレイを置き換えてしまうほどの衝撃的なインパクトはない。
その一方で、冒頭のコラム記事にもあるように、パソコン市場はどうも変な方向に進み始めている気がする。IntelやAMDが今年はチップのロードマップを大幅修正したことからもわかるように、さしもののムーアの法則にも「熱と消費電力」が大きな壁となって立ちはだかるようになってきた。WindowsとWordやExcelなどのOffice製品をひたすら「重たく」して、新しいパソコンに買い替えてもらおう、という、Wintel連盟の目論見は、さすがにもう通用しなくなり始めた。市場のサポートがなくなれば、これらの会社の変わり身は早いだろう。
個人的に2005年のPC業界に望みたい「こんなノートPCが欲しい」リスト。
・ウィルス感染の心配をしなくてもすむノートPC
・セキュリティアップデートの心配をしなくてもすむ
ノートPC
・ファイルバックアップの心配をしなくてすむノート
PC
・今の携帯電話と同じく、充電を2,3日忘れても平気
で使えるノートPC
・動作中に落としてもたたいても壊れないノートPC
・3年といわず、5年経っても陳腐化せずに、恥ずか
しげなく持ち歩けるようなノートPC
・今のディスプレイの解像度をはるかに凌駕する、
小型で軽量で安価なヘッドマウントディスプレイ
が使えるノートPC
・いつでもどこでも(特に空港ターミナルと旅客機と
新幹線)ネットワークにつながるノートPC
・何年経っても最新のブラウザとメールソフトが
ちゃんと動くノートPC
・どんなプロジェクタに接続してもまともなプレゼン
がちゃんとできるノートPC
いずれも、どこか一社が頑張れば実現する、というシロモノではないけれど、「ノートPC」という形態は早く卒業して、次の時代のパソコンのパラダイムを見せてくれることを、顧客の一人は望んでいますよ。
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