X1 Launch of SpaceShipOne
ごんざぶログ経由でX-Prizeのミラーサイトを知ったので、webcastで今日のSpaceShipOneのX-Prize挑戦1回目のフライトをなんとかリアルタイムで見ることができた。アクセスが集中してブツ切れだったけれども、どうにか様子がわかった、というところ。
無事100kmの目標をクリアして今着陸。カメラマンの前に機体が戻ってくる。かっこいい。歴史が刻まれる瞬間。
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ごんざぶログ経由でX-Prizeのミラーサイトを知ったので、webcastで今日のSpaceShipOneのX-Prize挑戦1回目のフライトをなんとかリアルタイムで見ることができた。アクセスが集中してブツ切れだったけれども、どうにか様子がわかった、というところ。
無事100kmの目標をクリアして今着陸。カメラマンの前に機体が戻ってくる。かっこいい。歴史が刻まれる瞬間。
SpaceShipOneによるAnsari X-Prizeの第1回目の挑戦まで、いよいよあと数時間、ですね。うまくいくといいな。
ところで、だいぶ前の記事のようですが、受験仲間の一人から教えてもらったので、ご紹介。
MSNBC: Airship groomed for flight to edge of space
成層圏プラットホームといえば、通信用の中継基地などをめざした技術開発が最近熱心に進められていて、先日も北海道で飛行船の無人飛行試験が行われたばかり。
上のMSNBCの記事では、JP Aerospaceという会社が、V字型の巨大な飛行船を作って、将来的には成層圏から飛行船で衛星軌道にまで到達することを目指しているという。
え、飛行船で宇宙へ? そんなことってできるの?
計画によると、ヘリウムを詰めた飛行船で成層圏、高度約30kmまで昇っていき、そこからイオンロケットで飛行船を徐々に加速、水上スキーのように、空気の抵抗を揚力として利用しながら、3日間から9日間ほどかけて、やがてマッハ25、地球の周りを回る衛星軌道に乗る計画、という。
ほんとうにそんなことが可能なのか?? 実現のためには解決するべき技術的課題はまだ山のようにあって、どのような解決案があるのかすらわからない。でも、もしかしたら、ロケットよりもずっと安上がりでかつ安全に、衛星軌道に到達できるかもしれない。これから先、注目するに値するアプローチかな、と、思う。
実際には、V字型飛行船の技術はまず、米軍の偵察と通信確保の目的のために、経済的な成層圏プラットホームとしてまず実用化される予定、という。これならいずれ、完成するだろう。
しかし、この会社の、夢にチャレンジする、途方もないスケールのでかさには、ただただ感服する。もしかしたら、ひょっとしたら、軌道エレベーターよりも先に実用化されてしまうかもしれない。ロケットが過去の遺物になる時代が来る...のか???
・内閣府:総合科学技術会議の議事要旨
9月9日に開催された第39回本会議の議事要旨が掲載されている。
資料1−2 我が国における宇宙開発利用の基本戦略(案)
すでに新聞でもその骨格が報道されて、細かく見ていけばいろいろと突っ込みどころの多い「基本戦略(案)」ですが、管理人が見るところ、一つ大事な記述がある。
4.分野別推進戦略
(6) 長期的視野に立つ研究開発の方向性
「我が国としては、当面独自の有人宇宙計画は持たないが、長期的には独自の有人宇宙活動への着手を可能とすることを視野に入れ、基盤的な研究開発を推進する。そのため、国際宇宙ステーション計画を通じた有人宇宙活動を今後も継続して実施する。なお、米国などの動向の影響を最小限としつつ、我が国の主体性ある活動を国際協力の枠組みにおいて実施し、着実に技術蓄積を行うための方針を策定する必要がある。」
国内の有人派の人たちから見れば憤飯ものの官僚作文に見えるかもしれないけど、どっこい、これはすごい文章だぞ、と、管理人は思う。メンツと整合性を大事にする官僚がここまで踏み込んで書いたか、と...
これは、JAXAからしっかりした二の矢、三の矢が飛んでくれば、日本の有人宇宙活動のための研究開発を、大手を振って開始できる環境になる、と、管理人は読んだ。ようは野田司令、ここで踏ん張らなかったらいつ踏ん張るのさ、ってことなんだけど。
この「基本戦略(案)」をもってして、河村建夫前文部科学大臣に「 有人宇宙飛行についても、長期的な視野でという指摘、重く受け止めたい。」といわしめたことの意味は大きいと思う。
麻生太郎前総務大臣の「 みんながやさしく見守って、よくやったとほめてくれる国は少ない。そこだけはよく頭に入れておいて欲しい。」という発言は、ごもっとも。
いろいろ言いたいことはあるけれど、ボールはとりあえずJAXA側に投げ返されましたぜ。
松浦晋也氏が自身のココログで「日本初の宇宙飛行士は秋山豊寛氏である」という記事を書いている。
TBS系の「ニュースバード」をながら視聴していてびっくりした。「日本人初の宇宙飛行士は1992年9月12日にスペースシャトル『エンデバー』に搭乗した毛利衛飛行士」と放送していたのである。
日本人初の宇宙飛行士を送り出したのはTBSじゃないか。それがなぜこんな間違いをするのだろうか
NASDAで5番目の宇宙飛行士、野口聡一氏の受験仲間として「5thstar」を名乗る我々としては看過できない記事だ。^^;
管理人自身の心証としては、秋山豊寛氏は日本人として初めて高度100kmを超えたので、NASAの定義に従って間違いなく日本人初の宇宙飛行士だ。Who's Whoにもそのように書いた。ただ、秋山さん自身の役割は、宇宙を旅した世界で初めてのジャーナリスト、と呼ぶほうがより適切だろう。昨年の世界宇宙飛行士会議でも、秋山氏本人がそのようなニュアンスのことを言っている。
一方、管理人から見た毛利衛氏は、「日本初の宇宙飛行士選抜に選ばれたうちの一人で、日本初の職業宇宙飛行士」という肩書きがふさわしい、と、思う。
5thstarのメンバーでもある長沼毅氏は、その著書「生命の星・エウロパ」の中でこのように書いている。
日本初の宇宙飛行士は毛利さんではなく、ジャーナリスト(現在は農業)の秋山豊寛さんだという意見もある。秋山さんは一九九〇年一二月二日に旧ソ連のソユーズで地球周回軌道に乗った。宇宙に行った世界初のジャーナリスト(宇宙特派員)らしく、第一声は「これ本番ですか?」だった。たしかに、秋山さんは初めて宇宙に行った日本人だが、宇宙飛行士の訓練を受けたのは一九八九年一〇月からであり、宇宙飛行士の資格認定は早くとも一九九〇年に入ってからだろう。話がちっくとくどいぜよ長沼センセ、ってのはさておき、5thstarのメンバーが自分たち自身を5thstarと呼ぶのは、やはり「職業宇宙飛行士になりそこなった」という誇りのかけら?なんだろう、と、思う...
一方、毛利さんは、最初のフライトこそ一九九二年九月だが(「チャレンジャー号」の事故がなければもっと早く飛べていた)、NASAのペイロードスペシャリスト(搭乗科学技術者)に宇宙飛行士として選定されたのは一九八五年八月である。このとき、向井千秋さんと土井隆雄さんも同時に選定されている。
したがって、最初に宇宙に行った日本人は秋山さんだが、日本初の宇宙飛行士は毛利さん・向井さん・土井さんだということになる。このなかで毛利さんが最初に宇宙に行ったので、“毛利さんが日本初の宇宙飛行士”と特別に扱われている。
「宇宙の日」がなぜ毛利氏の初飛行の9月12日に設定されたか、というのは、たしかに面白い問題だ。ジャーナリストを名乗るのであれば、この謎をもう少し深く掘り下げてみてほしいな。誰がどこでどうしてこうなったのか。
松浦氏はTBSのふがいなさに憤慨してるようだけど、私は当時のTBSのもう少し別のふがいなさ、に憤慨している。秋山さんが初めて宇宙からあの有名な「これ本番ですか?」の第一声を発した後、TBSの地上のスタジオは大混乱だった。
当時、ソユーズやミールからソ連の通信衛星を経て、西側の通信衛星を経由して、日本のスタジオまで秋山さんの肉声が届くまで、通信衛星のリレーは2段か3段ほど間に挟まっていた。この結果、秋山さんがなにかをしゃべって、スタジオがそれに答えてまたなにかをしゃべる、という場面で、電波の速度が有限であることからくる、1秒近いタイムラグが生じていた。(インターネットの世界でいうところのRound Trip Time、ですね)
当時、スタジオに詰めかけて、秋山さんと会話をしようとしたゲストたちは、このタイムラグのことを理解していなかった。
これがプロの特派員であれば、現場からの中継でこのタイムラグを織り込んで「はい」などのあいづちを相手よりも少し早めにしゃべり、相手からの質問をじっくり反芻するかのように待ち受けて、テレビに放映される会話を「正常な」状態に保とうとする。
悪いことに、秋山さんも、日本人として初めての宇宙からの放映で、この事態にうまく合わせる事ができなかった。
結果、スタジオとソユーズとで、あるいはスタジオとミールとで、「もしもし」「秋山さん」「はいはい」「あの...聞こえてますか」という意味のない会話がお互いにかぶりあって、貴重な中継時間を延々と浪費していく、という、目も当てられないような事態になった。
タイムラグの発生は単純な物理法則のせいなのに、中継のプロである放送局で、誰もこのような事態を回避するシミュレーションができなかったのは、なぜだろうか。
秋山さんのことを語るとき、忘れたくないのが、秋山さんのバックアップ宇宙飛行士として、秋山さんとまったく同じ訓練を受け、打ち上げのときにも地上で待機し、結局、宇宙飛行のチャンスがめぐってこなかった、菊地涼子さんの存在だ。彼女を抜きにしては秋山さんの飛行はありえなかった。
秋山さんを日本初と呼ぼうが、毛利さんを日本初と呼ぼうが、管理人はどちらでもいい。あの時代、あの興奮を、あの夢の中を駆け抜けた男たち、女たちの物語を、次の世代へ語り継いでいく語り部でありたい。そんなふうに思う。
以前の記事でも言及した、宇宙ステーションの酸素発生装置の件。その後も動作不良になっては宇宙飛行士が修理して、またすぐ壊れる、の繰り返し。非常用の酸素発生ロウソクSFOGの在庫もだんだん心細くなってきて、このままのペースでは今年のクリスマス前後には、宇宙ステーションの参加各国であらかじめ定められた手順に従って、乗組員を退避させるかどうかの議論に入らなければならないという。12月23日に打ち上げが予定されているロシアの補給船プログレスによる酸素と食料の補給、がもしも遅れるような事態になれば、来年1月には、宇宙ステーションから宇宙飛行士が退避し、無人になってしまうかもしれない。
Florida Today: Delays threaten space station evacuation
SpaceChronicle: Astronauts may have to abandon space station
予備のモジュールも調子が悪く、地上では交換用のモジュールを製作中だが、使えるようになるのは早くても来年2月とのこと。
まだ決定的な事態ではない、とはいえ、綱渡りのような宇宙ステーション運用がこれからしばらく続きそうです。
JAXAのサイトに中途採用と研究職公募の情報が載っています。
・平成17年度 経験者採用 募集中 (締切10/4必着)
・教授・助教授・助手 募集中
JAXA発足からもうすぐ1年ですが、旧NASDA方式と旧ISAS方式があいかわらず混在していますね。
残念ながら?宇宙飛行士の募集は今回はありません...って、現在NASAで訓練中の三人ですら、いつ飛べるかわかっていない状況では、まぁ当然ですが...
このサイトに書かれた記事を見て連絡してきた、とある人たちと会って話をした。もし実現すればなかなか面白い企画になりそう。
野口宇宙飛行士が選ばれたときの選抜と、三兄妹のときの選抜の、みずからの体験をいろいろと話した。話をしていくうちに記憶が蘇り、それがまた新たな話につながって、という、じつに楽しい時間を過ごすことができた。1時間の予定が、終わってみれば、軽く2時間を越えていた。
選抜のことをこんなに詳しく誰かに話したのは久しぶりだなぁ。心地よい疲労感。企画がうまく軌道に乗ることを祈ります。
「October...って、今はまだSeptemberですぜダンナ」っていうツッコミは却下。:p
松浦晋也さんの記事に触発されて、ってな訳でもないのだけれど、映画「October Sky」を見てみた。邦題は「遠い空の向こうへ」。1999年の作品。米映画の中にときどきある、とっても地味だけど、とってもまっすぐで素直な作りの映画。NASAのエンジニア、ホーマー・ヒッカム・ジュニアが自らの高校生のころに友人達とロケット作りをして、科学コンテストに出場した体験を綴った原作「ロケット・ボーイズ」の映画化。
世界初の人工衛星スプートニクの打ち上げって、10月だったのか。タイトルの「October Sky」はここから来ている...
こういう素直な作りの映画って好きだなぁ。スプートニクのころには管理人はまだ生まれてなかったけどさ。
この映画の中でホーマーたちのロケット作りを暖かく見守り、必要な書籍を買い与える女性教師ミス・ライリー。管理人にとって、このミス・ライリーのように自分の人生に大きな影響を与えたのが小学校の3〜4年生の時の担任の若い女性教師だった。
アポロ11号が無事、月に着陸し、いよいよ人類が初めて月面に降り立つ、という時、当時のわれらが担任の先生はクラスを休みにし、生徒達を帰宅させた。そのおかげで管理人はその世紀の一瞬を、自宅のテレビで家族と一緒にリアルタイムに眼に焼き付けることができた。
「小学4〜6年生の約4割は「太陽が地球の周りを回っている」と考え、半数以上は月の満ち欠けの理由を理解していない」という、国立天文台の縣助教授の調査結果を報じる新聞記事が、あちらこちらのブログで話題になっている。たとえば理系白書の元村有希子さんのブログでは
その子の心の中には、「なんで?!」という好奇心がむくむくと湧いてくるだろう。周りの大人が、その好奇心の扉をいっぱいに開き、子どもを次のステップに誘導してあげてほしい。その意味で、小学校の先生だけでなく、家庭の父親や母親の力も試されていると思う。と説く。
管理人自身の経験から言えば、小学生の時、父親の部屋に転がっていた一冊の天文雑誌をなにげにぱらぱらとめくりはじめたのが、宇宙に「ハマる」きっかけだった。当時、身体が弱くて学校を休みがちだったこともあり、文字通り手当たり次第に天文の本をむさぼり読んだ。太陽が東から昇り西へ沈むことは地球の自転のため、であることは、学校で習うずっと前に自分で読んだ本の中で知った。
しかし、そんな自分を理解し、支えてくれたのは、着任してきたばかりのその担任の先生、だった。管理人が夜ごと自分で撮影した、拙い天体写真のスライド上映会をクラスのみんなの前で行う機会を与えてくれたのも、この先生。今にして思えば、大勢の人の前でプレゼンテーションをする、という度胸はこの時に身に付いたものかもしれない。
そんな身体の弱い、運動音痴でカナヅチだった小学生が、ん十年後には宇宙飛行士選抜を受験する、なんてね。人生、わかんないもんだ。
今もし、人類が火星に初めて降り立つ、なんてことになったとしたら、授業を休みにして、生徒達に「世紀の瞬間」を目撃させてあげられる先生がた、って、日本に何人くらいいるのだろう? 時代は...変わってしまった...?
多摩六都科学館に展示されているスペースシャトルの耐熱タイル。
5thstarサイトの開設以来、宇宙開発関連の情報収集はもっぱらリンク集を使った「経験と勘」に基づく手動巡回に頼っていた。MyBlogListもいいのだけれど、Blogにしか対応してないのがちょっとあれ。
「そろそろアンテナを何か使いたいなぁ、どうしようかなぁ」と迷っていたところへ、Spiegelさんの記事。
ということで、「I know.」を使い始めてみました。たしかにこのインターフェースは使いやすい。ということで、しばらくこれで様子を見ることにします。
8月30日の記事で
野口宇宙飛行士の打ち上げは来年3月?と書いた件。その後、akiakiさんからもトラックバックをもらったように、9月5日に米国フロリダ州に上陸したハリケーン「フランシス」によってケネディ宇宙センターの建物のいくつかが深刻な被害を受けた。
JAXA Space Station: ハリケーン「フランシス」によるケネディ宇宙センター被害状況
この記事には
これらの被害によるスペースシャトル飛行再開時期への影響については、現在のところ調査中です。調査が進み状況が明らかになり次第NASAから報告がある予定です。とあるけれど、関係者から漏れつたわる話では、飛行再開のスケジュールになんらかの影響が出るのはどうも避けられないような雰囲気。
35年前、人類を月へ送った巨大なサターン5型ロケットが組み立てられた建物、VAB (Vehicle Assembly Building)の壁に、巨大な風穴が空いているのを見るのはどこか寂しい気がする。NASAもこの建物がまさか40年も使われることになるだろうとは、ライトスタッフの時代には想像もしていなかったのだろう。
スペースシャトルの耐熱タイルなど熱防護システムを製造する施設(Thermal Protection System Facility)の別アングルの写真。
ケネディ宇宙センターへの入り口のところに立っていたマーキュリー宇宙船とレッドストーンロケットの展示物も、無残に倒れている。
ケネディ宇宙センターといえば、管理人にとってはかみさんと二人で訪れた思い出の地でもある。そういえばあの時も、チャレンジャーの事故の影響で、スペースシャトルのフライトは中止されていたっけか。あれからもう17年か。あの頃から何が変わっていて何が変わらないでいるのか。野口宇宙飛行士のフライトまであと半年。どうにかして、打ち上げを見に行きたいものだなぁ... スケジュールが変わってしまうと、個人的にはとても微妙なのだけど...
PDE、パルス・デトネーション・エンジンという新しい原理のエンジンの開発研究が進んでいる、という話を受験仲間から教えてもらったので、覚書き。
パルス・デトネーション・エンジンとは、“爆発”的な燃焼で燃焼時に生じる衝撃波と燃焼波が合体して超音速の速度で伝ぱする燃焼波を用いる、新しい原理のジェットエンジン、あるいはロケットエンジン、で、原理的にはマッハ4〜5までの飛行が可能になる、そうです。
車のパーツを利用し飛行機マニアが日曜大工みたいに作ることもできるらしい。
筑波大では世界初のPDEロケットシステムの実験を行っている、とか。
楽しそうですね。なんか、いいなぁ。
参考ページ:
・PDE(パルスデトネーションエンジン)の紹介
・パルスデトネーションエンジンの作動に関する基礎研究
・Pulsed Detonation Engine FAQ
詳しくは書けないけど、某所で向井宇宙飛行士を招いての講演会の企画が進行中。と書いた件。この企画のwebサイトが公開されました。
第3回サイエンス・フロンティアつくば
〜 宇宙と生命:未知に挑む研究のフロンティア 〜
2004年11月14日(日)10:00〜17:30
講演者は向井宇宙飛行士、NASA/JPL前所長のBruce Murray氏、ノーベル物理学受賞者の江崎玲於奈氏、など、多彩な顔ぶれです。
「私が提案した某企画は、満場一致状態で受入れてもらえました。めでたしめでたし。がんばってね>某知人」と書いたのは、じつは昨日の記事でもご紹介した5thstarメンバーの長沼毅氏のこと。彼もしっかり「宇宙における生命の可能性」というタイトルで講演をおこないます。豪華キャストに見劣りなどしなゐよう、是非共頑張ってくれたまへ。
エウロパとは木星の衛星の一つ。17世紀初め、かのガリレオ・ガリレイが手製の天体望遠鏡を向けて、木星の周りを回っている4つの天体を発見した。このことから、木星のこれらの4大衛星は「ガリレオ衛星」とも呼ばれる。エウロパはガリレオ衛星の中では最も小さく、その表面は氷で覆われている。が、厚さ数キロとも言われる氷の層の下には、深さ数百キロに及ぶ海が広がっているらしいことが、NASAの探査機パイオニアやボイジャーの観測でわかってきた。
この本の著者、長沼毅氏は、このエウロパの海に、人類がまだ見たこともない地球外生命体が泳ぎ回っているかもしれない、という夢を見る。
長沼毅 著「生命の星・エウロパ」
NHKブックス ISBN4-14-001992-1
ただの夢ではない。深海生物学の専門家として、大西洋中央海嶺や南極、岐阜県の東濃鉱山の地下深く、など、地球の辺境という辺境を、自ら深海潜水艇に乗りこんだり、自分の足で歩き回る。極限の状況で生き続ける生命の姿に迫る。人類の想像を絶するような過酷な環境下で数十億年にわたって生き続けてきた、とてつもない生命力を持つ生物、そんな生物の生きるメカニズムに迫るうちに、著者はいつしか「生命の存在」が宇宙に普遍の方程式ででもあるかのように、地球の生命の進化の謎解きをしてみせる。その痛快なる知識量と筆さばきは、下手なハードコアSF小説を読むよりもはるかに面白い。
しかしこの本はまた、読者に「常識」の概念の再定義を迫ろうとするチャレンジングな本でもある。特に第1章では、あまりにも豊富な話題が背景知識の説明もなしに飛び交うため、読んでいるとまるで17世紀から20世紀までの科学の進展の歴史を3分間で語り尽くそうとするジェットコースターに乗せられたような気分になる。一歩間違えたら「トンでも本」の仲間入りになりかねない、という、ちょっとしたハラハラドキドキ感まで味わえる。
この本は、同じ著者の前著、
長沼毅 著「深海生物学への招待」
NHKブックス ISBN4-14-001775-9
の続編でもある。しかし深海の生物圏にテーマを絞ってこつこつと名探偵のような筆致を静かに進めた前著とくらべると、「生命の星・エウロパ」は趣が異なる。
秋の夜長、宇宙に普遍的に存在する(はず)かもしれない、まだ見ぬ地球外生命体の生態に思いを馳せるには、絶好の一冊といえるだろう。
ところで長沼毅氏は、この本の80ページでみずからカミングアウトしているように、野口宇宙飛行士と同じ時に宇宙飛行士選抜を受験した、つまり、5thstarのメンバーでもある。医学検査も野口宇宙飛行士と同じ班だったので、彼とも親友だ。この本のあとがきにはこうある。
わたしは生まれついての宇宙っ子です。わたしが生まれたのは一九六一年四月一二日、人類が初めて宇宙に飛び出した、まさにその日でした。誕生日ばかりは自助努力のしようがないので、親に感謝しなくてはなりません。このおかげで、わたしは物心ついてから今日にいたるまで、ずっと宇宙のことを考え続けることができました。飽きっぽい性格にもかかわらず、わたしが宇宙にだけはこだわってこられたのも、わたしを生み育んでくれた両親のおかげです。生物学と宇宙となんの関係があるかって? その謎を解くにはまず、この本を読んでみてください。
まいどおなじみ、受験仲間のMさんからの宇宙関連TV番組情報。
*****
さて、いつものテレビ情報です。
9/10 金 20:00〜22:25 NHK BS2 2001年宇宙の旅
http://www.nhk.or.jp/bs/popup/g_movie_bs231.html
9/11 土 25:00〜27:00 NHK BS2 2010年
http://www.nhk.or.jp/bs/popup/g_movie_bs232.html
9/12 日 23:00〜23:45 NHK BS2 あなたが選ぶ・プロジェクトX (1)
http://www.nhk.or.jp/bs/popup/g_cultu_bs213.html
今年の夏に開催されたプロジェクトX特別展でのアンケートで、人気があった作品を再放送するそうです。宇宙関係の物があるかどうかは不明です。木曜まで全5回の予定。
9/16 木 25:30〜26:15 NHK BS2 ザ・ホワイトハウス2 第9話 火星探査船ガリレオ
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/wh2/index.html
アメリカのドラマ。
9/25 土 21:00〜21:55 NHK総合 地球大進化・46億年・人類への旅5 大陸大分裂
http://www.nhk.or.jp/daishinka/
10/ 6 金 23:00〜25:21 NHK BSハイビジョン 2001年宇宙の旅
http://www.nhk.or.jp/bs/popup/g_movie_hi_n3.html
以下はスカイパーフェクTVの無料放送。
放送大学 (関東ではUHFでも放送)
9/16 木 20:00〜20:45 205ch 宇宙環境の科学
JAXA 宇宙環境利用研究システム長 井口 洋夫さん
http://www.u-air.ac.jp/hp/bangumi/bangum_1/020302.htm#64
> 講義内容
> 重力の極めて小さな宇宙空間では、互いに混じり難い2成分物質の界面が実際的
> に消失し、よく混合し、地球上では作りにくい新物質を創製できる。こうして
> 作られる新規物質のうち、特に分子エレクトロニックスの分野で興味ある成果を
> 中心に紹介し、今後の展望についても触れる。
以前もご紹介したと思います。年に2〜3回、同じ物を放送しているようです。
サイエンスチャンネル
9/12 日 17:30〜17:45 765ch 空へ 宇宙へ/JAXA2003
9/19 日 16:30〜16:45 765ch 空へ 宇宙へ/JAXA2003
http://www.jaxa.jp/pr/science_ch/index_j.html
JAXA製作の番組です。
最後に宇宙ネタではありませんが、
9/16 木 21:00〜23:24 テレビ東京 ボウリング・フォー・コロンバイン
http://www.tv-tokyo.co.jp/bowling_for_columbine/
同じくテレビ東京では9/9と9/10の深夜に「マイケル・ムーアのアホでマヌケなアメリカ白人」も放送します。「アホでマヌケな...」は関東のみ。
*****
Mさんどうもです。
高知県知事の橋本大二郎氏が半年ほど前からココログを始めている。気づいたのは最近になってからだけど、私の郷里のニュースに接することができるということもあって、ちょくちょくのぞかせてもらうようになった。
今日のエントリ(の一つ)は「宇宙酒はいかがですか」だそうで。
高知県からも、何か宇宙で出来る実験の種を出そうと、県の産業振興センターの関係者や、企業の方々が検討を進めていましたが、その中で、白羽の矢を立てられたのが、宇宙旅行を経験した酵母を使っての、日本酒づくりでした。ということらしい。要は、中国が神舟5号でやった、植物の種の宇宙線暴露実験と同じあれ、ですな。
現状、高知の外からみた土佐の酒、というと、必ずしも全国区、という訳ではないところがちょっと残念なところだけど、酔鯨あたりは外部のファンも比較的多いように思う。「宇宙酒」というブランドだけに頼る一発企画に終わらせるんじゃなくて、ぜひともマーケットリサーチと実力の伴った、足腰の強い企画にして欲しいところ。この際、杜氏を東京の吟醸酒バーに送り込んだり、パサデナあたりの寿司ファンに売り込んでみてはいかが?
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