グラハン
休日というのに朝早くから起こされ、子供の球技大会の審判に駆り出される。グラウンドを駆け抜ける風があまりにも気持ちがよかったので、大会が終わった後、もう数年も触っていなかった愛機のパラグライダーを近所の広場に持ち出して、虫干しがてらのグラハン。グラハンというのはグラウンド・ハンドリングの略で、要するにパラグライダーに風を受けて機体を膨らませて操る「地上練習」のこと。と書けばなにやらかっこ良く聞こえるかもしれないけれど、数年ぶりのグラハンでは風を読み切れず、体重もうまくかからず、で、帆掛け船に翻弄される小舟よろしく地上を転げまくる。なぜ急にパラグライダー? 松浦さんの記事に触発されたから...ではない...きっと。^^;
人様にはとてもみせられたものではないぶざまなグラハンだったけれど、久しぶりに土まみれ、草まみれになって、ハーネスを装着したまま大地に寝っ転がって、太陽の匂いを嗅ぐ。爽快。またスクールに通わなきゃね。でもそんな時間あるかなぁ〜?
私が初めてパラグライダーで空を飛んだのは、1989年11月。といっても、観光客相手の、お金を払ったら1回切り飛ばせてくれるという、ニュージーランドでの出来事だったので、あまり威張れる経験ではなかった。それでも宇宙飛行士選抜の面接では「パラグライダーで空を飛んだ経験があります」というのは、我ながらなかなかいいアピールポイントだったなと今にして思う。
本格的にスクールに通うようになり、自分の機体も買ったのは、最終選抜に落ちてからのことだった。宇宙飛行士になれないのなら、せめて自由に空を飛びたい、という想いから。エンジンの音もなく、ただ風の音だけを聞きながら、自分の体がぽっかりと宙に浮いているというのは別世界の感覚。
1980年代、パラグライダーはフランス語で「パラパント」と呼ばれていた。「パント=斜面」という意味で、「斜面のパラシュート」。フレンチアルプスで始まったレジャースポーツ、と、長らく思われていたけども、その発祥は実は1960年代のNASAのアポロ計画にまで遡る。NASAから技術研究の嘱託を受けていた技師David Barishが、アポロ計画のカプセルを無事に帰還させるためのさまざまなパラシュートのアイデアをひねり出しているうちに考えだしたもの、という。
この時のパラグライダーのアイデアはアポロ計画には採用されず、結局は円形のパラシュートを三つ組み合わせたものが使われたけど、それから40年近くたって、NASAはいよいよ太陽風の中のチリを採取して大気圏に再突入させるカプセルに、パラグライダーを利用するという。
日本でも誰か、パラグライダーと再突入カプセルの組み合わせを開発しないかな。
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