去りゆく2003年
2003年は宇宙開発関係者にとってきつい一年だった。来年は明るい年になりますように。
この一年を振り返って、5thstar的「今年の十大ニュース」。
■コロンビア号空中分解
2月1日、スペースシャトル・コロンビア号が大気圏再突入時に空中分解し、交信が途絶。テキサス、アーカンソー、ルイジアナ各州の住民が、大きな音を聞いたほか空で炎を目撃。西海岸からテキサス、アーカンソー、ルイジアナにかけての広い範囲に破片が落下する。宇宙飛行士リック・ハズバンド、ウィリアム・マックール、マイケル・アンダーソン、デビッド・ブラウン、カルパナ・チャウラ、ローレル・クラーク、イラン・ラモンの7名全員が死亡。
■新生JAXA発足
10月1日、宇宙開発事業団(NASDA)、宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)が統合されて宇宙航空開発研究機構(JAXA)が発足。
■中国が初の有人宇宙飛行に成功
10月15日、中国が初の有人宇宙船「神舟5号」の打ち上げに成功、ガガーリン、ジョン・グレンから42年ぶりに世界で3番目の有人宇宙飛行技術を保有する国となった。
■コロンビア号事故調査委員会報告
8月26日、コロンビア号事故調査委員会(CAIB)が報告書を公表。コロンビア号が再突入時に空中分解した原因は、打ち上げ後81.7秒に外部燃料タンクから落下した断熱材の破片が左翼前縁を直撃し、耐熱タイルに穴が開いたためと特定。調査委員会が勧告する再発防止策は外部燃料タンクの製造工程の見直しから軌道上での耐熱タイルの修理、NASAの安全軽視の組織文化の見直しなど多岐にわたる。248ページの報告書をNASAは77,935部コピーし、本部と10ヶ所すべての事業所の全職員に配布。シャトルの事故を再発させないための報告書だが、提言のうち85項目がNASAの他のプロジェクトにもあてはまるという。印刷と郵送の費用だけで約2,800万円。
■野口宇宙飛行士がシャトル飛行再開時のメンバーに
4月26日、NASAのオキーフ長官がコロンビア号事故後初のフライトとなるSTS-114のメンバーを発表。3月1日に打ち上げ予定だった野口宇宙飛行士も選ばれる。打上げは2004年9月12日から10月10日と想定されている。シャトルの耐熱タイルが損傷した場合の軌道上での修理方法などを確立する。
■SpaceShipOneが音速の壁を突破
「2005年1月1日までに民間資金だけで3人乗りの宇宙船を高度100kmまで打ち上げ、無事に帰還させ、同じ宇宙船で2週間以内に再度打ち上げる」ことを初めて達成したグループに賞金として1千万ドルを与える「Xプライズ」に7カ国27チームがエントリー、競争が白熱。ライト兄弟の初飛行から100周年にあたる12月17日、スケールド・コンポジット社の「SpaceShipOne」が高度15,000mからの飛行でマッハ1.2を突破。設計者は1986年に無着陸・無給油で世界一周を達成した軽飛行機「ボイジャー」を設計したバート・ルタン。
■ガガーリン宇宙飛行士訓練センターでの訓練
古川、星出、角野の3宇宙飛行士が「ソユーズ宇宙船の運航技術者の資格の取得」のため、7月7日から9月26日までガガーリン宇宙飛行士訓練センターで訓練。
NASDAプレスリリース■「きぼう」船内実験室がNASAに到着
ISS計画においてソユーズ宇宙船は、ISSへの搭乗員の輸送手段として活用されているとともに、当面唯一の緊急帰還機であることから、ソユーズ宇宙船の運用技能を有していることは、ISS搭乗宇宙飛行士の技量として、高く評価される。
国際宇宙ステーションの日本の実験モジュール「きぼう」の与圧部が5月2日に横浜港を出港、同30日にNASAケネディ宇宙センターに隣接するポートカナベラル港に到着。
■第18回世界宇宙飛行士会議
10月12日から17日にかけて日本科学未来館で第18回世界宇宙飛行士会議が開催。14カ国64名の宇宙飛行士が参加。
■5thstar.orgオープン
コロンビア号事故の弔意と請願を受験仲間で起草。ガガーリンの人類初の宇宙飛行とスペースシャトル初飛行の記念日の4月12日に弔意と請願の英語版を米国大統領とNASA長官に、日本語版を総理大臣、文部科学省大臣、NASDA理事長に送付。4月30日、webサイト http://www.5thstar.org/ を開設。
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野口聡一宇宙飛行士からの年頭所感が21時現在、もうJAXAのwebに掲載されている。数時間早いぞ... 大晦日の勤務ご苦労様です > web関係者さま ^^;
「日本の「匠」の心意気を持った宇宙飛行士としてがんばりたいと思います。」その心意気やよし! 来年もよろしくね。
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